さて、僕は高校を辞めて働き出すのだが、学歴のない僕が就職出来るわけもなく、近所のセブンイレブンで働き始める事となる。

ちなみにこのセブンイレブン、家から20秒の距離にあった。

だから僕は、週6〜7というシフトで働いていた。

とにかくお金を稼がなきゃいけなくて、貯めなきゃいけなかった。

稼ぐには、とにかく働く事が一番だが、
貯めるには、とにかく働いてお金を使う暇を与えない事だと思ったのだ。

家には月5万ぐらいは入れていたが、それでも十分に貯金出来た。

休みの日と言えば、山崎と遊ぶぐらいで大してお金も使わなかった。


しかしまあ、僕は人生で三店舗のセブンでバイトしている。累計20年ぐらいはやってるんじゃないだろうか。そんじょそこらの新人オーナーより、セブンの事はわかっている。

それはさておき、セブンで働き、帰って来て映画を観て、姉とお喋りして、寝る。
そんな生活を一年続けた。

結果、一年で二百万のお金を貯める事が出来た。

さあ、映画学校をそろそろ選ばないと、という時、母から「今、借金で首が回らない。お金を貸して欲しい」と言われた。

今思えば、かなりの人生分岐点案件だが、僕は二つ返事で「いいよ」と貸してしまった。

母も「来月には返す」と言っていたのも大きいだろう。

しかし冷静に考えて、今現在お金のない人が、一月後に二百万の大金を返せるわけはない。

案の定、母はお金を返してくれなかった。

「あのお金は、すぐには返せない」と、泣きながら言う母を見て、おばあちゃんを思い出した。

「絶対にお母さんを泣かしてはいけない」という言葉を。

僕は母に「いいよ、あのお金はあげるよ。」と言い、バイトに行った。

母はあの時の話を一切しないし、僕も一切しない。

僕は本当に、お金持ちになりたいとはあんまり思ってない。

でも、お金の大切さ、有り難みは、誰よりもわかっている。

だからコンビニのレジでお会計する時、お金を投げるヤツが大嫌いなのだ。

これは最近の写真。