自分達が通っていた中学には、いろんな女子の派閥があった。

男子は仲良しグループみたいなものはあったけど、基本みんな仲が良かった。

しかし女子は違う。

同じ派閥の人間としか遊ばないし、喋ることすらしない。

まさに、「女子」だった。

そんな中、派閥を越えて誰とでも交流する女子がいた。

齋藤という女子だ。
絵に描いたような女番長だった。

性格は明るく、懐が広く、先輩や後輩からも愛されるやつだった。
同じバスケ部だったため、自分も仲が良かった。

不良で問題児の女子がいたのだが、この齋藤が廊下でコーナーに追い込んで、ずっとメンチ切ってるのを見た事がある。

噂では、その後殴り合いのケンカをして、秒で終わらせたらしい。

次の日その不良と齋藤は仲良く喋っていて、ほんとにケンカした二人なのか、と思った。

齋藤とは、そんなやつだった。

もう一人、実力者と言われた栗原という女子もいたが、齋藤と栗原は、妙なバランス感覚で争いはなかった。

知らないだけで、タイマンとか張ってたのかもしれない。


こんな書き方すると、もうこの世にいないみたいだが、まだ地元でぴんぴんしている。

だいぶ会ってないが、久しぶりに会っても
「北ちゃ〜ん!!」
とガラガラのダミ声で話しかけて来るのが想像出来る。

でも、特に会う予定はない。


猫の後頭部。