ちょっと話を戻して、僕が小学生の頃は、まだバブルだった。

うちの親は印刷会社をやっていて、まあまあ儲かっていたのだと思う。

バブル前に住んでた家はお風呂がなかった。

でも下町だからか、異様に銭湯が多く、さして困ったりはしなかった。

というか、銭湯に行くのが普通だと思っていた。

そしてバブルが訪れ、そこそこ儲かり始めた頃、父親が「お風呂の付いてる家を借りる」と言い出したのだ。

家族全員が「お風呂のある家に引っ越しだー!」と思ったのだが、

まさかの、

「今住んでる家以外に、お風呂のある家をもう一つ借りる」

という、なんともバブルらしい行動に出たのだ。

だからある一時期、うちは二つあった。

新し目のマンションで、みんなこの家にわざわざお風呂に入りに行っていた。

父はほとんどこのマンションにいて、近場の別居生活のような感じだった。

当時は「お風呂あるっていいな〜」ぐらいにしか思ってなかったが、
今思えば、銭湯に行くのと変わらないじゃないか。

多分家賃だけで、20万ぐらい使ってたと思う。

ホントどんぶり勘定だ。

この後バブルが崩壊し、億近い借金を背負う事になるとは、まだ誰も知らないのだ。


僕が金遣いが上手くないのは、完全に親に似たのだろう。


この頃飼っていた猫は、こんな茶トラだった。