ジュンの
若衆の中に
二卵性の双子の妹がいる
という男がいた。
妹は
幼い頃に養女に
貰われていき
記憶に無かったが
親と喧嘩をした時に
ふとした母親の一言で
妹がいる事が分かった。
ずっと自分に
黙っていた事に
腹を立てて、家を飛び出したが
慣れない水商売で
身体を壊し、ジュンに
世話になった。
顔も知らない妹が
どこにいるのかも分からず
会いたい
会ってみたい
という、思いだけが
心のなかに沈んでいき
いつしか澱のように
なっていった。
ある日
自分の後をつけてくる
足音があることに
気がついた。
足を止めて
耳をすませば聞こえないが
歩き出すと
聞こえた。
ひたひたと、自分の後を
追ってくる
密やかな足音。
顔色の悪さが気になり
この若衆の独り言のような
話を聞いていたジュンは
若衆を見ていて
おかしなことに気がついた。
まるで、
姿が二重写しのように
見える。
若衆の目はどこか
焦点が合わず
地に足がついていない
ふわふわ浮いている
風船のようだった。
しばらくすると
ジュンに相談された
フミヤに、引き合わされた。
ちゃんと
眠れているか
聞かれたが
フミヤの質問に対して
答えているうちに
自分自身が何をしていたかの
記憶がないことに
気がついた。
思いだそうとしても
思いだせない。
説明しようにも
記憶が無かった。
この若衆は
三日後に死んだ。
布団の中で
眠ったまま
心臓が止まっていた。
警察から
実家に連絡が行き
母親が来たが
覚悟が出来ていたように
冷静だった。
息子には
二卵性の双子の妹がいるが
養女に出した
親から、交通事故で
亡くなったと
連絡があった。
二卵性とはいえ双子は
通じるものがある
息子は命を落とすのでないか
と、思っていた。
話を聞いていれば
自分の子供を
二人も亡くして
なぜ、
そう冷静でいられるのか
と、聞かれた母親は
引きつった顔をして
答えた。
双子として生まれた時から
子ども二人とも
薄気味悪く、
自分が産んだとは思えなかった。
いつも、子どもの視線は
母親の背後を見ている。
ある日、人より早く
喋れるようになった妹は
自分は早死にする
から、兄も後から
来ると、言い出した。
大きくなる前に
養女に出したが、
手元に残した
息子は誰と喋っているのか
誰もいないのに
いつも話し声が聞こえていた。
長じてからの
息子とは、反りが合わず
些細なことで
言い争いになり
妹を残して
お前を養子に出せば良かった
と、つい言ってしまった。
フミヤには
この若衆の姿が
透き通って見えていた。
昔は、
男女の双子は
心中した二人の生まれ変わり
だと言われて、
忌み嫌われた。
だいたいが、
暗黙のうちに、
跡取りの男の子を残して
生まれてすぐの女の子が
母親や産婆に
殺されたという
記録がある。
