女はな
好きな男に
尽くすモノなんだ。
なんで?
法律で決まっているの?
憲法何条?
六法全書を
チラ見したジュンの
目が泳いだ。
弁護士の資格を持つ
ジュンの元には
ご隠居の口コミから
広がった、法律に明るい
旦那として
相談に来る人は
結構な人数がいた。
心付けとして
相応のお金を包む人もいたが
気持ちだけ貰って
ボランティアで相談に乗る
町内の弁護士の
旦那だった。
ジュンの好きな
ユーハイムのバームクーヘンを
手土産に持って行ったら
案の定、床に正座して
レース編みをしながら
六法全書を暗唱していた。
いつもの
佐助さんに渡す
雑巾は、とっくに
縫い上げたようだった。
着ている
ピンクのセーターは
ツカサ姐さんの手編み
いつも六法全書を暗唱している
弁護士の風上に
いるような男だ。
ピンク色が似合うと
褒めたら
さっきの
言葉だった。
尽くす?
ってなに?
なんで
尽くすの?
誰が言ってんの?
誰かが言ったの?
猛然と
レースを編み始めた。
はっやー!
じょうず!
わけわかんない
法律も暗唱してる
頭いいねー!
すごーい!
世の中に
選択肢は
いっぱいあるよね
手編みも既製品も
暖かさは
同じ
でもね
セーターは編むより
買った方が
早くない?
