ママが
10日間休暇をとり
ハワイに行っている。
ママの代わりに
仕切っている女がいたが
一か月前に入った割には
なんとなく
ふてぶてしい態度だった。
ジュンが
言っていた。
お前を嫌っているから
気を付けろ
と。
カズミにべったり
張り付いているが
フミヤに色目を使っている。
もう少し、大人になりな
と、言いたくなるくらい
フミヤは態度に出す。
とにかく
濡れ雑巾みたいな女を嫌う。
自分はナメクジが
這って出てくるような
暗い歌を歌いあげて
悦に入っているわりに。
アタリメを齧りながら
観察していると
この女は、不思議な人間に
思えて仕方ない
とにかく
読み取れない女だった。
ジュンと
ヒソヒソ話しをしていたら
カズミが声をかけてきて
いっしょに歌おうと誘う。
ジュンとデュエットしながら
カズミが何か
囁いている。
大男二人で
カナダからの手紙
なんか、不気味。
こーゆー時は
カズミとジュンは仲良く
歌いながら
密談をしているのだが
なんだかんだ
楽しそうに見える。
フミヤはひとり
ふてくされながら
女と目を合わせない。
この女の目つきが
一瞬で変わった。
男になった。
男になった変な女が
フミヤに自分の水割りを
ぶっかけた。
カズミが
わかっていたように
フミヤに殴りかかろうとする
女を後ろから
羽交い締めにした。
まるで獣のように
声を上げ、暴れている。
私は
昔、目の当たりにした
カンダーリ
憑依現象かと思ったが
女は黒帯のカズミを振り切って
カウンターに入り
ナイフを持って
出てきた。
すでに顔が
別人だ。
ジュンが私を抱いて
車に走り出した。
唸り声を上げて
追いかけてきた女は
カズミが気を失わせた
ようで、振り向いて見たら
地面に倒れていた。
警察を呼び
カズミが何か話をしていたが
まるで
テレビのサスペンスドラマを
見ているようだった。
ジュンの
行きつけの寿司屋に移り
初めて身体が
震えてきた。
フミヤは
憑依現象ではない
と言い、
ジュンとカズミは
デュアルパーソナル
二重人格だろうと言った。
ジュンがずっと
抱いていてくれていたが
震えは止まらない。
カズミは
何度か、二重人格の人間に
対峙したことがあり
目の前で人格が入れ変わる様は
まさに憑依といっても
いいくらい、顔付きや声が
変わり、
鳥肌が立つ思いをしたらしく
人格が入れ替わると同時に
たとえ持病を持っていても
瞬時に消えるとも言っていた。
カズミが
シャツの袖口をまくって
女が掴んでいた右手首を
見せてくれたが
青黒い紫色の
手形がくっきりと
付いていた。
しばらくの間は
あの変な女の
目付きを
思い出すたびに
肌が泡立つ感覚があり
そのたびに ジュンに
話すと
兄貴に、よーく
抱いてもらえ
としか言って来なかった。
