カズミは
警察官になる
と、心に決めたとき
ジュンに相談をした。

カズミの
話をじっと
聞いていたジュンが
クチを開いた。

カズミは
交通事故で死んだ
お姉ちゃんの
仇を討つために
警察官になるつもりなのか?
と。

そうだ
と、答えたカズミに
ジュンが
静かに話し出した。

お姉ちゃんを
殺された
と、思っているから
仇を討つ為に
警察官になる、と思う。

それでは、
警察官としての道を誤る。

それよりも
お姉ちゃんが、交通事故で
亡くなったから
世の中から
交通事故を無くしたい
と、思うほうが
亡くなったお姉ちゃんへの
供養になるし
なによりもお姉ちゃんが
弟の気持ちを
嬉しく思うだろう
と。







カズミが
左折してきたダンプの後輪に
巻き込まれて即死した姉を
殺された と言わず
亡くなった という言い方を
するのを、警察官だからこそ
そう言うのか と思って
交通事故で、お姉ちゃんを
殺されたんだね、
と、聞いた時に
話してくれた。

ジュンは
事あるごとに
カズミ、お前は
どんどん出世して
世の中から
交通事故を無くせ
と、言っていた。

カズミは
お姉ちゃんと
ジュンが居てくれたから
今の自分がある
と、真顔で言った。

ただし、
と、口止めされた。

警察官の自分が
ヤクザのジュンに
人の道を説いてもらったとは
カッコ悪いから
黙っていてほしい
らしい。

わかっているよ
カズミは
ジュンを
ヤクザだなんて
これっぽっちも
思っていないことを。

ジュンが
風邪を引いたりすると、
真っ先に心配顔をする
カズミの
気持ちを。

私は
あんたたちの
姉御だもの
わかっているよ。

ついでに
女にモテるジュンを
少しだけ
羨ましく思っている
ことも。