今日は
梅雨の晴れ間に
広い座敷いっぱいに
掛け軸を広げて
虫干しをしている。
私は、塩瀬の水羊羹を
手土産に、フミヤの
手伝いをしていた。
掛け軸は、
かなりの年代物のようで
由緒ありげな
箱書きを読んでいる
若者がいた。
路地裏で
酔い潰れて寝ていたところを
ジュンに拾われ
フミヤに預けられたが
10代にしては
落ち着きがあり、
ふた親を早くに亡くし
苦労をした割には
擦れていなかった。
墓まいりに来たのか
ジュンの
声が聞こえた。
山帰来の
白い花の掛け軸を
指差して
この花が好きだと
若者に話しているところに
作務衣姿の
フミヤが水羊羹を
持って来て
お茶の時間となった。
佐助さん手作りの
麦茶はジュンの
好物だ。
フミヤが
若者が仏門に入る決意を
したことを
ジュンに話した。
美味しそうに
麦茶を飲み干して
自分自身に
誇れる
生き様をしてみろ
深い泉のような目で
じっと、若者を見つめて
ジュンが言った。
自分の
好きな花だと言った
山帰来の花言葉は
不屈
ジュンにふさわしい
花だと思った。
