今日も昨日と同じように、急に雨が降ったりやんだりの繰り返しの天候です。私たちは、このような手の届かない天候のようなものに翻弄されながら、生きる道を探しつづけているのでしょうか。太宰治のパンドラの匣を読み終わりました。その一部を列記します。
「船の出帆は、それはどんな性格のを出帆であっても、必ずなにかしらのかすかな期待を感じさせるものだ。それは大昔から変りのない人間性の一つだ。君はギリシャ神話のパンドラの匣(はこ)という物語をご存知だろう。あけてはならぬ匣をあけたばかりに、病苦、悲哀、嫉妬、貪欲、猜疑、陰険、飢餓、憎悪など、あらゆる不吉の虫が這い出し、空を覆ってぶんぶん飛び廻り、それ以来、人間は永遠に不幸に悶えなければならなくなったが、しかし、その匣の隅に、けし粒ほどの小さな光る石が残っていて、その石に幽かに「希望」という字が書かれていたという話。 それは昔からきまっているのだ。人間に絶望という事はあり得ない。人間は、しばしば希望にあざむかれるが、しかし、また「絶望」という観念にも同様にあざむかれる事がある。正直に言う事にしよう。人間は不幸のどん底につき落とされ、ころげ廻りながらも、いつかしら一縷(いちる)の希望の糸を手さぐりで探し当てているものだ。」(パンドラの匣、太宰治)
「船の出帆は、それはどんな性格のを出帆であっても、必ずなにかしらのかすかな期待を感じさせるものだ。それは大昔から変りのない人間性の一つだ。君はギリシャ神話のパンドラの匣(はこ)という物語をご存知だろう。あけてはならぬ匣をあけたばかりに、病苦、悲哀、嫉妬、貪欲、猜疑、陰険、飢餓、憎悪など、あらゆる不吉の虫が這い出し、空を覆ってぶんぶん飛び廻り、それ以来、人間は永遠に不幸に悶えなければならなくなったが、しかし、その匣の隅に、けし粒ほどの小さな光る石が残っていて、その石に幽かに「希望」という字が書かれていたという話。 それは昔からきまっているのだ。人間に絶望という事はあり得ない。人間は、しばしば希望にあざむかれるが、しかし、また「絶望」という観念にも同様にあざむかれる事がある。正直に言う事にしよう。人間は不幸のどん底につき落とされ、ころげ廻りながらも、いつかしら一縷(いちる)の希望の糸を手さぐりで探し当てているものだ。」(パンドラの匣、太宰治)
![]() | パンドラの匣 (新潮文庫) |
| 太宰 治 | |
| 新潮社 |

