本日午前、ニュージーランド出身の登山家、
エドモンド・ヒラリーがオークランドの病院で死去した。
ヒラリーは1953年、シェルパのテンジン・ノルゲイとともに
世界で初めてエベレストの山頂に到達した人物。

88歳だった。
彼の名に、ちなんで名づけられたのが、
ここ、ヒラリー・ステップ。

山頂への最後にして最大の難所。

ここ(8500m)ですべったら、
6500mの場所まで落ちてしまう。
「サウス・コルには、死の匂いがする」
かつて、ヒラリーはこう言った。
8000m近く(7925m)のこの広い荒野は、
最終キャンプ地になるという。
強風が吹きあれ、酸素は地上の3分の1しかなく、
そこにいるだけで体力を異常に消耗する。

だからこの周辺では、何十年にもわたり
クライマーガ残していった、テントの残骸、何百という酸素ボンベ、
ロープ、そして、いつのものとも知らない遺体、が横たわる。
http://www.panoramio.com/photo/1279795
この地では遺体を下まで降ろすものは、誰もいない。
いやできない。
■カップルのクライマーの話■

<写真は、ヒラリーとシェルパのテンジン>
ロシア人男とアメリカ人女の二人が登頂をめざしていたが、
山頂直前で彼女が力尽き動けなくなった。
彼女はそこで待つといい、男性だけで登頂し戻ってきた。
戻ってくると、彼女の両足は凍傷していた。
だが意識はしっかりしている。
男性はキャンプに戻り、酸素ボンベと飲み物を持ってきた。
そして彼女の足をマッサージした。
しかし彼女の足は動かない。
そして日が暮れ始めてきた。

もうどうしようもないことを悟った男は、
彼女の目の前でダイブした。
そして彼女は、その夜、凍死した。
それまでの彼らのやりとり、救助を求める声は無線でキャンプに届いていた。
だが、誰も彼らを助けることはできなかったという。
標高8000mとは、そういう世界らしい。
自力で歩けなくなることは、すなわち死を意味する。
だから自分の足で歩くしか、助かる道はない。
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そんな山を、最初に征服したのがこの2人だった。

偉大なる、ワイルド・チャレンジャーに合掌
<サガルマータ/チョモランマ/エベレスト>からの、
パノラマは↓
http://www.panoramas.dk/fullscreen2/full22.html
おしまい