こんにちは。行政書士の名倉武之です。

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つい先日、新年を迎えた感じでしたが、暦は3月です。日に日に気温は高くなり、季節は観梅から観桜の時期に移ろうとしています。

 

さて、今年最初のブログで、「世の中の動き」(2024年上半期の経営に関わる主な内容)について、ご紹介させていただきました。

来月4月1日には、

  • 相続登記の義務化
  • 残業時間の規制(建設業・運送業・医師)

などがスタートします。

そして、あっという間に新紙幣の流通開始の時期(7月3日)を迎えることになります。

 

新札発行となった場合、

  • 今、家にあるお金(紙幣)はどうなるの?

と、ご心配の方もいらっしゃると思います。

 

現在の紙幣(一万円、五千円、千円)の発行は、平成16年11月です。令和6年は平成37年ですから、21年前に発行されました。

 

現在、40歳以上の方(当時、20歳の成人を迎えておられる方やお勤めの方)であれば、銀行に旧札を持ち込み、新札に交換されたご経験があるかと思います。そのため、「急ぎ、新札に交換せずとも大丈夫」と、ご認識のことと思います。

 

一方、世の中の動きに大きな変化がありますと、社会の変化を逆手に取った新たな「詐欺行為」が蔓延する可能性があります。

例えば、

・今すぐ新札に交換しないと使えなくなります!

と、心配をあおる詐欺行為などが想定できます。

「そんなことはない」とご認識のご高齢者も、

・〇〇銀行です(ニセ銀行員)。自宅の紙幣をお預かりして、新札に交換させていただきます!

・何もかも20年前の社会とは変化しています!

・セキュリティ強化で、ATMも自動販売機も、紙幣を使用する機器は旧札が使えなくなります!

・7月に入ると紙幣交換に時間がかかります!

・今、予約いただけると速やかに交換できます!

など、冷静に判断すれば「怪しいな?」と思うことでも、つい騙されてしまう。新札発行に関連する新手の詐欺行為は十分に考えられますので、ご注意ください。

 

さて、今回は、詐欺行為対策の話ではなく、

  • タンス預金

についてです。

タンス預金とは手許(てもと)現金と呼ばれます。財布の中の現金も、自宅の金庫で保有している現金も手許現金です。

→ タンス預金と呼ばせていただきます。

 

日本銀行の資金循環統計(2023年第3四半期)では、家計の金融資産の総額は2,121兆円(2023年9月末)と公表され、タンス預金は100兆円とも言われています。

この100兆円もの巨額なお金が、新札発行を機に市場に出回る可能性があります。

なぜならば、「銀行に旧札を持ち込む」ことが予想されるからです。

 

新札発行後、すぐに旧札が使えなくなることはありませんが(平均して5~7年間は旧札が市場に出回ると言われています)、いずれは各種機器(ATMや自動販売機など)でも、商取引でも旧札が使用できなくなるでしょう。

また、意図的に、旧札が使用できなくなるように仕向けることもできます。

 

先のことは予測できないため「取り急ぎ、新札に交換しよう!」と考えるのがごく当たり前の行為だと思います。

そこで、3桁、4桁のタンス預金の保有者が銀行に持ち込んだ場合、あなたが銀行員ならばどのように対応されますか?(答えはでますよね)。

こうして、タンス預金の炙り出しが始まります。

 

さて、ここで、

新札に交換後、引き続きタンス預金にするから、

タンス預金は金融機関の記録に残らない

相続時にタンス預金はバレない

タンス預金は遺産の計算から外せる

等と、お考えの方がいらっしゃると仮定します。

果たしてそうでしょうか?

 

高額なタンス預金を保有している場合、

新札交換時には手数料が発生します。

手数料が発生するということは記録が残ります。

また、高額であればあるほど、金融機関では別の記録・管理がなされる可能性が考えられます(金融機関の関係者ではないため憶測です)。

また、高額な交換や取引があれば税務署の確認が入るのではないでしょうか。

 

つまり、

  • 申告しなくても税務調査でバレる

可能性は十分に考えられると思います。

万が一、不自然なお金のやり取り(動き)があれば、税務署の指摘が入る可能性があることを意識された方がよろしいかと思います。

→ 〇〇党の議員の裏金問題同様、疑わしい、不自然な行為は「いつかバレる」と思っていた方が無難だと思います。

→ 未申告で不正行為が発覚したら大事です。

 

タンス預金は、

すぐにお金が使える

相続の際、被相続人が死亡しても口座凍結の心配はない

というメリット(自由度)はありますが、

タンス預金は相続時に揉める恐れがあります。

 

例えば、

・親(被相続人)と同居の兄弟がいる

・その兄弟が、タンス預金を発見

となった場合を想定してください。

誰も(金融機関上の記録でも)、

タンス預金の存在や、金額が不明・・・

となれば、魔が差すことも考えられますゲッソリ

 

その後、遺言書が見つかり、

・遺言書にタンス預金の額が記載

されていたが、遺言書に記載のタンス預金の額と実額が一致しない

 

仮に遺言書がなくても、

・父のことだから手許にお金を置いていたはず!

・まったくないのはおかしい???

と、何もやっていなくても、疑われる可能性があります。そうなると、相続でなく「争族」になってしまいます。

 

以前のブログでもご紹介しましたが、

遺産総額5,000万円以下での「争族」が多いというデータがあります。

なんと、5,000万円以下の争いが76.3%です。

 

また、相続時に揉めないとしても、自然災害により滅失してしまうリスクの可能性もあります。

 

新札発行に伴い、おそらく、お金の管理の方法を検討される方が多くなるのではないでしょうか?

そうなると、税金(節税)対策やら、相続対策やら、いろいろ思案します。

節税対策といっても、

・保有している資産の種類や額

・個人の置かれている環境

などは、様々ですから、損得は一概に判断できません。すべてケースバイケースになります。

 

上述しましたが、何事も、

  • メリットがあればデメリットもある
  • 表があれば裏もある
  • プラスがあればマイナスもある
  • 徳をすれば損をすることもある
  • 良いことがあれば悪いこともある
など、
「正負の法則」的なものがあるように思います。
将来を予言できるような特殊な能力がない以上、先の予測は不可能ですが、プラス(徳)になることに意識が働き、結果、一時は徳をしても、どこかでマイナス(損)をする可能性もあるような気がします。
 
特に、税金(節税)対策、相続対策は、損得勘定でご自身のみで判断をなされずに、士業の専門家にご相談されることをおススメいたします。市販の書籍を見ても、複雑なケースでは対応が難しいのが現実です。
 
税金(節税)対策のご相談をお受けすることはできませんが、相続・遺言について、何かご不明な点がありましたら、「小さなこと」でもお気軽に当事務所にご相談ください。