こんにちは。行政書士の名倉武之です。

→ 事務所HPはこちらになります。

 

このブログでは、高齢化の問題を何度か取り上げてまいりました。

少子化・核家族化により家族構成も変化し、

  • 高齢者ご夫婦のみの世帯
  • おひとりさまの世帯

が増加傾向にあります。

また、これらの高齢者世帯では、犬や猫を「大切な家族の一員」としてお飼いになられている方もいらっしゃいます。

60~70代で犬猫の飼育率は約20%とのデータもあります。

 

(出所)一般社団法人ペットフード協会(令和5年調査データより)

 

また、人生100年時代と言われていますが、やはり高齢者(65歳以上)になりますと、身体に不安をお感じになる方は増え、中でも認知症有病者数令和5年版厚生労働白書)は、

  • 2025年で約700万人
  • 高齢者の約20%(5人に1人)

と推計されています。

「認知症等で施設に入院、永久の別れ(死別)」によって、ペットの飼育ができなくなった時のためにペットに、遺産を遺したいとお考えの方はいらっしゃいますが、

相続ではペット(犬や猫など)に遺産を遺すことはできません。

『大切な家族なのになぜ?』

それは、法律上(民法)「モノ」として扱われるからです。

一方、動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)では、

  • (基本原則)

    第二条 動物が命あるものであることにかんがみ、・・・

と、「命あるもの」とされています。

 

その他、以下の義務や罰則があります。

  • 犬を飼った場合は登録の義務※1
  • 登録した犬又は猫の死亡届の義務※2
  • 犬や猫の殺傷者には刑事罰が※3

※1 狂犬病予防法(第四条)

※2 動物愛護法(第三十九条の八)

※3 動物愛護法(第四十四条)「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。」

 

 人とペットとの共通点 

人であれば生まれたとき、死亡したときに出生届と死亡届を提出します。

人を殺傷した者には刑事罰が科せられます。

人もペットも「命あるもの」としての共通点です。

 

 動産(モノ)とペットとの違い 

動産(モノ)の場合、一部のモノ(例:自動車の登録や抹消の義務)には登録等の義務はありますが、一般家庭における日常生活において、自己の所有物に登録等を行うことは通常ありません。

他人の大切なモノを破損した場合、損害賠償はあれど、破損者に刑事罰が科せられることはありません。

また、ペットが交通事故等で死傷した場合、飼い主の心の痛み(精神的苦痛)を鑑み、慰謝料を請求できることがあります。

この点も、ペットとそれ以外のモノとの大きな違いです。

ペットの飼い主への慰謝料について以下の判例があります。

名古屋高裁平成 20 年 9 月 30 日判決 平成20(ネ)483

において、裁判所は以下の見解を示しています(「3 慰謝料について」抜粋)。

(Fとは自動車事故にあった飼い犬のこと)

 

その他、国会では、2023年3月2日の参院予算委員会において、岸田総理は「動物はかけがえのない存在だ」と答弁されています。

 

 ペットのもつ力 

ペットには癒しの効果があります。

ペットと触れ合うと「オキシトシン※」という幸せホルモンが分泌されると言われています。

※自律神経を整え脳の疲れを癒す効果がある

犬を飼う人の認知症発症リスクは40%低下する

という研究報告もあります。

 

健康維持には身体的、社会的、精神的に良好な状態を保つことが大切です。

  • 身体的:適度な運動
  • 社会的:孤立を避け人とつながる
  • 精神的:リラックス、癒し

犬を飼うことで、

散歩という運動習慣が生じ、

公園などで飼い主どうしの交流の場がうまれ、

ペットとの触れ合いでオキシトシンが分泌され、

心が落ち着き、癒される。

ペットがもたらす魔法の力(ペットの愛)ですね。

 

さて、誰もが年老い、いずれ大切な家族との別れがやってまいります。

残された家族への想いは人もペットも同じです。

当事務所では、

「人とペットの想いをつなぐ」

お手伝いをさせていただいております。

ご自身で飼育ができなくなったときに、

大切な家族が路頭に迷わないように、

ペットの生活を守るお手伝い(契約など)

をさせていただきます。

『小さなこと』でもお気軽にご相談ください。