父がいなくなった当日
ここからは
私の気持ちの変化を書いていきます
そうしないと苦しくて仕方ないから
3月13日(水)
臨終を告げられた後
私と弟は父と3人にしてもらえた
流れる涙は止まらない
胸が苦しい
張り裂けそうだ
生きている時から私は
嫌がられながらも
バグしたり
ほっぺにキスをしていた
その都度
「気持ち悪いな!欲求不満の変態だなお前は」
おちゃめに顔をしかめながら父が言う
まだ暖かい父の顔
私は唇にキスをした
ありがとうと伝えながら
他人から見たら気持ち悪いかもしれない
けれど私はそれをせずにはいられなかった
今なら拒否されないもの
介護が始まった頃から
父は私に
「ありがとうな」
そう言ってくれるようになった
今まで病院に連れて行っても
何をしても
ありがとうも言ってもらえなかった私は
ねぇありがとう言わないの?
そう聞いたことがある
「思っても言わないもんだ
お前は言ってもらいたくてやってんのか」
憎まれ口を叩く
そんな父が
「ありがとう」をしきりに言うようになっていた
うんちが漏れそうで
急いでトイレに連れて行った時
「間に合ったぁありがとなぁ」
お風呂に入れた後
「やっぱりお風呂は気持ちいいなぁ
さっぱりしたぁ!ありがとう」
そんな会話が思い出されて
「ありがとう」がまた聞ける気がして
聞きたくて
さっきまで
ついさっきまで
頑張っていた父が
目をとじてここにいる
信じられるはずもない
こんな突然に
最愛の父が居なくなるわけない
流れ続ける涙
それでも時は進む
看護師さんが来て
身体を綺麗にしてくれて
まるで
婚姻届みたいな
死亡届を渡されて
寒くて
病院の1番奥にある
霊安室に運ばれる
亡くなると
人は人ではなくなり
霊柩車でしか帰れない
父の親友に連絡して
葬儀会社を呼んでもらう
行き先はご自宅ですか?
葬儀会社で預かりますか?
私は迷わなかった
自宅にお願いします!
家が大好きで
入院が苦手だった父
帰るよ家に
今朝まで寝ていたベッドに
静かに眠る父
まだあたたかい
起きて
と言ってみる
お父さん
何度も呼んでみる
応えてくれない父に
涙が止まらない
苦しい
私も死にたい
死なせてください
そればかりを考える
父の死は私の死を意味する
早くに母を亡くし
父との暮らしが長い
病気をしてからはずっと一緒
お互いを支えながら生きてきた
支えが無くなった私は
生きていけるのだろうか
そんな私は
弟を困らせる
死にたい
一緒に逝きたい
寂しい
死にたい
どうして死なせてくれないんだ
父と逝くことが
私の幸せなのだから
死なせてくれ
繰り返し続けた
さようならは突然にやってくる
水曜日透析が終わったら
入院の予定だった
火曜日から血圧が下がっていたが
いつも通り話していた父
心配で黙って父の部屋で寝ていたが
深夜見つかってしまい
「何でここで寝ているんだよ!まったく
俺は死ぬのか
こんな所で寝てるなんて」
怒るくらい元気だったので
わかったよぉ、自分の部屋で寝るね
おやすみ
そう言って自分の部屋で寝た
水曜日の朝方
父がピンポンと押したが
弟が対応した
その時も
「なんでアイツは昨日ここで寝てたんだまったく
死ぬわけじゃないのに」と
愚痴っていたらしい
私はいつものように
朝食を作り父に出した
「今朝は食べられないな」
私は父の異常を感じた
血圧を計るが
エラーになる
首の動脈が触れたら
血圧は60以上はあると聞いていた
触れない
透析のシャントが触れたら
それでも大丈夫
触れない!!
父に具合は悪くないか聞いても
足は痛いが他は大丈夫だと言う
訪問看護の方に電話するように
弟に指示
相談の結果
救急車を呼ぶことにした
父を安心させるため
血圧が低いから念のため
今日入院する病院に
救急車で行くよ
と説明
父はベッドに座って救急車を待つ
寝ていないと
何で救急車を呼んだんだって言われちゃうよ
そんなことを話していると
救急車が到着
救急隊員が
父に名前と生年月日を確認
笑顔で答える父
今日は何月何日か聞かれ
答えられない父は
照れ笑いしている
「最近わかんないんだよなぁ」
私が
家にいると
曜日とかわかんなくなっちゃうよねぇ
と助け船
その時も
血圧
酸素飽和度が計れない
担架に寝かされ
救急車に移動
入院するはずの病院が引き受けてくれ
救急隊員がOKを出す
サイレンが鳴り
救急車が動き出す
10分ほどの距離の病院を目指す
意識が落ちたら大変なので
父に話しかけたり
痛いと言っていた足をあえて叩く
「痛いなぁ」と父
救急隊員が
血圧も酸素飽和度も計れないけれど
どこかおかしいとかない?
そう聞いても
「なんともありません
普通です」
その後
父は横にある器具を掴むような仕草
私が起きたいの?
そう聞くと
「うん」と
救急隊員が
血圧が低い人は寝てもらうんだけど
少しだけ上げるよ
だけど
そんなことしたら病院の先生に叱られちゃうから
着いたら寝かせるよ
そんな会話がされていた
私もその時
この先何がおこるか
考えてもいなかった
このまま入院して
元気を取り戻して帰ってくるんだと信じていた
なのに
その時は突然に訪れた
父の顔色が白くなり
目の瞳孔が開いたのがわかる
そして上げていた手がバタンと落ちる
意識が飛んだ
心臓が止まったとわかる
私は叫んだ
父を取り戻そうと
何度も
お父さんと叫んだ
病院に着いた
医師が待っていて
私は待合室に
何で!何で!
父を担当している訪問看護師に電話をする
泣きながら過呼吸になる
病院の看護師が来て
大丈夫
お父さんも頑張っているし
医師たちも頑張ってくれているから
しばらくして主治医が来た
助けてください!父をお願いします
泣きながら叫んだ
力の限り
しばらくすると
主治医が来て
私は救命室に呼ばれる
そこには
力尽きた父がいた
父が亡くなる時は
笑顔で送ろうと思っていたのに
できなかった
泣きながら叫んでいた
弟も
こんなことになるとは思っておらず
到着が送れる
心電図の波形は
少しだけ波打っているが
生きているとは言えないそうだ
弟が到着後
死亡を宣告される
3月13日
9時33分
ご臨終です
片道切符にはさせないよ!
丸二日寝ていないのに眠くない
父が心配で眠れない
人って凄いな
今日は二回
訪問看護の方が来てくれた
信頼できる心強い
父を見守る応援団
今朝は前日より血圧が低く
座って話していることが不思議だと言われた
父は仙人なのかもしれない
ケアマネージャーも
父の応援をしてくれている
私は素敵な人に恵まれた
職場の人間関係には恵まれず
パワハラを受けていますが
介護に関しては
素晴らしい人たちが側にいて
心強い
明日は
透析の後入院
必ず
今より良くなって帰ってくる
そう信じて
皆が待ってる
応援してるよ
大好きなお父さん
