「新ばし 星野」@新橋(☆☆彡)

 いまはなき名店「京味」で12年修業された星野芳明の大将の日本料理店。

 西さんの教えが色濃く残る素晴らしい料理で、一般的には予約を取ることは不可能。この店に伺えたのは奇跡ですので、幹事と誘ってくれた友人には深く感謝です。

 良い素材、それを活かす技量を確かに感じる名店です。

 

住所:港区新橋5-31-3
電話:03-6450-1818
定休:日祝日
営業:18時〜20時半/20時半〜23時
 
 新橋駅から結構歩いた場所にあります。食べログの最寄駅は御成門になっていますね。
 緑の鉢を店の前に置いた木の板張りの前面に掠れた暖簾。
 中はL字型の白木のカウンターの和の空間。壁の一輪挿し以外余計なものがなく、すっきり清々しい。

 店主の星野芳明氏は眼鏡をかけた優しい風貌で、一流料理人にありそうな雰囲気のない方です。しかし、西さんの技量をしっかり継承して予約の取れない名店を築いているのだから実は凄い。厨房に立って料理している時は一味違います。
 

24年8月20日夜の来訪。

 昼に貸切会の空席の話が回ってきた時に、ほぼ即決で18時の回に間に合うよう周辺にお願いし伺いました。

 店の前には若い方が2名待っていて案内してくださいます。これも勉強の一環でしょうか。

 料理はおまかせ一本。
 

 最初蓋付きのガラスの器に冷たいそうめん。
 気を衒わず、上に刻んだ茗荷とおろし生姜で。
 そうめんは硬めで粘りのある食感。出汁は穏やかで美味しい。
 「日本料理 仁」@石川町も最初に米粉麺で出されたものが美味しかったことを思い出す。暑い時期は最高ですね。
 

 新銀杏の飯蒸し。
 新銀杏は7月から出始めているそうなのですが、8月に入るとムチッとした食感が出てくるので使い始めるのだそう。塩を振っているのですが、その塩梅が素晴らしい。塩を見極められる料理人は良い料理人だと思っています。
 

 淡路の鱧の炙り。ちょうど入店した時に骨切りされていました。
 炭火で焼いて皮目が熱く、身は冷たいと言う温度差を楽しむ仕上がり。
 塩を振り、酢橘を絞って、ポン酢を落とし、おろしたての山葵を添えています。
 

 定番だと言う芋茎の吉野煮。
 吉野葛を使ってとろみのある出汁で煮込んだ芋茎は美味しい。
 上にはおろし生姜。
 

 雲丹ゼリー。
 利尻の馬糞雲丹。驚く甘味で美味しい雲丹です。
 周辺にはとろとろのキジハタの出汁。青柚の皮を削りおろしています。
 

 黒鮑の唐揚げ。これがこの日一番素晴らしかった皿。

 酢橘と塩でいただく。

 大きな黒鮑を活きたまま捌いて、薄い衣をつけて揚げているので、凄い歯応えと弾力に旨味。素晴らしすぎる。

 後付けで塩で食べることを勧められる肝も実に良い。
 

 キスとトウモロコシの天ぷら。
 揚げ方が素晴らしい。
 酢橘がキスに合います。とうもろこしはとても甘い。
 

 2キロの大物のアコウと車海老の洗い。醤油でいただく。
 氷を持った皿に緑の葉を乗せ、その上に盛り付けています。中央には胡瓜の花。
 尻尾付きの車海老は包丁を入れて食べやすく飾られ、洗いのアコウと一緒に盛られています。最近は洗いを出す日本料理店が減ると大将が話されていたが、脂の香りを削ぎ落とし旨みを感じやすくする引き算の料理の代表的技法なので、この店らしいと思った。
 

 鰻と冬瓜のお椀。
 つゆに塩をしていない出汁のみで、福岡博多湾の天然青うなぎの白焼に強めに塩をしているのだと。
 鰻の塩をつゆに溶かしながらいただくと言う食べ方。
 にしても、鰻の白焼自体が美味い。美味すぎます。
 柔らかく煮込まれた冬瓜裸足を吸って美味しくなっており、大変満足。
 

 奥飛騨の高原川の鮎。
 この店のために特別に鮎を釣る人がいて、満足な鮎が釣れない時は出さないのだそう。
 鉄串を打って炭火で炙られていると思います。鮎の香りを炭火の香りが消すことがあるので、電熱の方が香りを与えないため良い場合もあると言われていた。ただし、電熱は火力が足りないとのことで、炭火なようです。
 自分で骨から身を外しながらいただく。
 最初に尾をちぎり取り、身に箸を当てて、尾の方に滑らせるように身を外すのだそう。なるほど〜。
 蓼酢でいただきます。
 

 鰊と茄子の甘露煮。これが素晴らしい。
 柔らかな京都の久世ナス。炊き上げてふわふわ。
 味が濃い鰊を合わせていただく。素晴らしいね。
 横には刻んだ絹さや。上には木の芽。
 鰊には有馬山椒のようなものが付いていたので、一緒に山椒の実を煮込まれていたのかな。
 

 口直しにとオクラのおろし和え。
 酸味があります。

 お茶も一緒に。
 

 チリメンジャコ、梅干しを使ったカブの千枚漬け、和牛の時雨煮と生姜。

 味噌汁は赤出汁に三つ葉の茎。

 ご飯は黒く大きな土鍋で炊いたもの。米一粒一粒が立っている素晴らしい仕上がり。山形は本庄の米とのことだったが、それだけでなく研ぎ方にも秘密があるらしい。
 なんにせよ、米が美味い。
 最近はダイエットに励んでいたので、ご飯を食べないようにしていたのだが、食べないわけにはいかない。しぐれ煮の美味いことったらない。

 おかわりは鰹節たっぷりと黄身を乗せたものを。醤油をちょいとかけていただく。

 さらにおかわり。全卵をいただき、卵かけご飯にしていただく。飼料の抹茶を与えた京都宇治の卵ということで臭みがない。

 お腹がいっぱいなのですが、茶漬けをさらにいただいた、梅干し入りでサラッと入り美味しい。
 

 甘味はくずきり。
 黒蜜が激うま。
 

 食後に緑茶をいただく。
 

水出し玄米茶 500円

 

冷茶 500円

 

 一般的には予約も取れないし、価格帯も50000円と高いので、再訪はできないため、評価は☆☆彡(二つ星半)にしておきました。

 

新ばし 星野日本料理 / 御成門駅汐留駅新橋駅
夜総合点★★★★ 4.5