「SALONE TOKYO(サローネ トーキョー)」@日比谷(☆☆☆)
http://www.salone.tokyo/

 

 横浜から全国に名を轟かせた「サローネ 2007」と同じく「サローネ」を冠するリストランテがミッドタウン日比谷開業とともに開店。

 シチリアとエミリア・ロマーニャの現地料理を分解・再構築しモダンな料理は驚愕の皿ばかり。総統括シェフである樋口シェフが常在し、その昔から光る組み合わせの妙が輝いています(笑)。
 サローネが濃い青色のイメージだったのですが、こちらはよりシックでモダンで大人な「黒のサローネ」と呼べましょう!
 
住所:千代田区有楽町1-1-2東京ミッドタウン日比谷 3F 316
電話:03-6257-3017
定休:無休
営業:12時~15時/18時~22時半
 
 東京ミッドタウン日比谷の3階の角にこちらがあります。右隣は「鮨なんば」。
 緩やかに湾曲する黒いタイル張りの壁にサローネのマーク。
 シックで高級感ある店構えで、ガラス張りの扉の前にはスタッフの男性が。

 中も美しいダイニング。白基調のテーブルクロスにベージュ色の椅子やベンチシート。テーブルの上のろうそくも素敵なシェードです。

 金で縁取られた皿の上には精巧で美しいレース。

 その上には上質な封筒があり、本日のメニューやドリンクの一覧が。カトラリーは最初から左右に並んでいます。これぞリストランテですね。

沖縄県産コーディヤル使用ジンジャーエール 1000円

 少し甘めで生姜の効いたジンジャーエール。

 白ぶどうジュースに。

 評判が良かった赤ブドウのジュース。

Menù degustazione a 11 portate 15000円
 メニューはお任せ1本。この10月からは8皿から11皿構成に変わり、樋口シェフの監修が色濃く出ているらしい。
 
栗とラルド Agnolotti dal plin ripieno di castagna e lardo

 銀縁の白い陶器の皿に同じ蓋がついた突き出し。
 ピエモンテ州の伝統的な詰め物パスタであるアニョロッティ・ダル・プリンが2つ。
 上にかかっているのはシチリアの伝統的ハードタイプのチーズであるラグサーノとローズマリー。
 適度な硬さと食感のアニョロッティの中には軽やかにコリッとして甘い栗とラルド。
 ラグサーノの旨味と塩気にほんの少量のローザマリーの香りが素晴らしいアクセントです。
 奥の方には牛のスーゴをかけてあり、旨味の味変を楽しめました。

イカとココナッツ Tartar di calamari e mousse di cocco

 金のボウルで出てきました。
 ココナツミルクを細かな泡のようなクリーム状にして包み込み、ライムピールをふりかけています。
 中には塩して水分を抜いたイカの身。濃厚な旨味であるフォアグラのプリン。そして苦味と食感のアクセントとなるラディッキオ。
 少し甘めのココナッツクリームにキュッとしまったイカの食感は異次元の体験(笑)フォアグラの旨味に爽やかで苦いライムが合わさり、不思議と美味~い!!
 
鮟鱇と雉の赤いスープ Pescatrice al forno in brodo rosso

 こちらは鮟鱇のオーブン焼き。上にはイカスミパンのペーストを乗せています。そして酸味のあるオキザリスの葉。淡白でありながら程よい身の食感と旨味ある鮟鱇は美味。
 スープが印象的で、アサリとビーツのスープにアニスを効かせたもの。雉というのは聞かなかったような気がしますが、入っていたのかな? にしてもこのスープ、アニスが強い!! 珍しい一皿でした。
 
仔牛のコトレッタ 酸とスパイス Cotoletta di Bolognese nostrano

 コトレッタ。生ハムを巻いた仔牛の赤身を薄く衣つけて揚げています。
 仔牛の肉は低温調理的な均一な火の通りで充実の旨さ。ライムとレモンにバラのシロップを使った甘めの味付け。そこにロングペッパーとコリアンダーを効かせたスパイシーで独特のソースをたっぷり絡めていただきます。

茹でタコ 2018/シチリア Vapore di polpo 2018

 これは特にこの日一番気に入った一品。
 基本は明石のタコ。ぶつ切りにしたタコを沸騰した湯の中に火を止めてから茹でる。オリープオイルとコルクを一緒にいれ、72度で4時間。プリプリのレアでグラマラスなタコのみです。
 これにかけられているのがアサリとジャガイモで作られているというアサリだしの効いた泡のソース。ここに香り良いオレンジ風味のオリーブオイルをふりかけています。
 「サローネ2007」の定番メニューのヴァポーレを、削ぎ落として削ぎ落として、エッセンスを新しい形に再構築しているのです。素晴らしい。

16世紀の再現 イカチョコ煮 Stufato di calamari al cioccolato

 ここでも来ましたワンスプーン料理。
 16世紀にチョコレートが入りイタリアで使われたということから作られたメニュー。イカのチョコレート煮です。ベルギー産のカカオ85%のチョコレートで、,赤タマネギとともに煮ているらしい。ここにニンニクの香りをつけてローストした松の実。チョコレートはそうだと言われないとわからない調味料になっています。赤ワインビネガーで酸味が加わり、松の実の脂分でまろやかにいただける。

タリアテッレ 兎煮込み 菊芋 Tagliatelle al ragù di coniglio con topinambur

 これも「サローネ2007」に通いつめた人間としては泣きたくなるような嬉しいメニュー。
 手打ちのタリアテッレで、絡められているのはウサギのラグーソース。
 ここにカリカリの菊芋チップスとゴロゴロとしたボイルした菊芋、ピューレにした菊芋の3形態取り混ぜながらいただく。上にかかっているチーズもサローネでよく食べたリコッタサラータ。塩漬けして熟成させたリコッタチーズです。
 さらにシャントレルというジロール茸の仲間のキノコのソテー。
 さて、ここで嬉しかったのは樋口シェフがよく出したラグーのパスタであったということです。このラグーの味にホロリと来ました。もちろん、パスタ自体も美味しい。おかわり欲しかった!!

鯖と鰯のダブルインサオール Sgombro e alici salsa di saor

 これが難しい一皿。よくぞ、この料理を日本で出せたなぁと思う(笑)。
 インサオールはヴェネツィアの名物料理。南蛮漬けです。
 驚愕なのはイワシの南蛮漬けをミキサーにかけてペーストに。同じく酸味がある鯖を乗せて一緒にたべるというもの。横の粉みたいのはシナモンの香るパルメザンチーズをかりかりに焼いたもの。
 上にはスペアミントとマイクロレモンバームのハーブ、下には極細のパスタのカッペリーニ。
 酸味は苦手なのですが、食べるとこれが……じわじわ美味しい(笑)!
 

 さて、メインに入れなかったものを先に出すという面白いお皿。
 シンプルににんにくで香りをつけたジロール茸と焦がし小麦のスプーニャ…スポンジです。ここにかけているのが牛のソース。
 珍しく、シンプルにそのままな感じ。

鹿のアッロースト ジュニパーベリー Arrosto di cervo al profumo di ginepro

 鹿のローストです。正直、「イ ルンガ」でそうとはっきり認識して以来、鹿は苦手な食材なのですが、この鹿肉は美味い!!
 ストゥルーデルをイメージしているらしく、添えてあるのが面白い。
 手前から、りんごのコンポート、カルダモンを効かせたリンゴのジャム、アマレットのゼリーです。ソースにはジュニパーペリーを使い、横に添えられた薄いパートフィロにはクリーミーなチーズ。そして、紫色の葉のアマランサスです。

エルベのソルベ Sorbetto al erbe

 イタリアヴェネト州のエルベのソルベ。
 レモンのマーマレードのシャーベットです。
 上の緑は香り良いエストラゴン。加えたのは少量のマルドンの塩とアニスのリキュールであるペルノー。

白いティラミス Tiramisù bianco 

 真っ白なティラミスです。

 出来たてトロトロを食べてほしいので、マスカルポーネを目の前で仕上げて出してくれます。

 最初から皿に並んでいるのは生のローリエのアイス、グラッパのゼリー、ブルーベリージャム、クルミのキャラメリゼ。フリウリの郷土菓子のグパーナのイメージらしい。
 そこに先程のトロトロのマスカルポーネを。ラム酒を効かせてあるので激ウマ!!
 仕上げににコーヒーの香りを移したパウダーにした生クリームを。
 うひょ~!! 美味い。毎回これでもいいな。

小菓子 Piccola pasticceria

 3品の構成。 左からメレンゲにルッコラ。ルッコラの苦味が以外に合いました。
 真ん中はフェンネルを効かせたチョコレート。これも香りよく好み。
 右はクルミのキャラメリゼ。塩してあり、塩キャラメルにクルミのまったり感と苦味が加わります。
 

 コーヒーはエスプレッソに。うん、しっかり美味しい♪

 ちなみにトイレは奥の方左に入った場所。黒基調でモダンなトイレ。

 こちらの奥には個室や、テラス席のようなテーブルも見られました。
 

SALONE TOKYOイタリアン / 日比谷駅有楽町駅銀座駅
夜総合点★★★★★ 5.0