我が投稿句 「選外・類想句の一覧」より
六月の辛さ祝祭日の無さ 素手男
六月やウィークディ全部働くけん 素手男 江戸っ子が
切字「や」を使った句はたくさんあった。読み慣れ、使い慣れた切字だ。口語を使う俳句にもたくさんあって興味深い。
六月や外仕事やで降らんでよ 無門しゅい
広島なら「外仕事じゃけん」、名古屋なら「降らんでちょ」、、「やで」「でよ」はどこの言葉だろ?
六月や舐めたらしょっぱい手の甲よ ゆかりん
「よ」終助詞なら再度の詠嘆となるが、間投助詞ならいちころだ。
六月やモネはコピーでまあ良いか 肴
「か」は副助詞の軽い疑問。「まあ」を初めて見た、驚いた。
六月やお地蔵さんが目を開けた 山口雀昭
「や」があるので口語俳句の切字「た」は軽くなった。
「や」を形容詞終止形で
六月や空き家を埋める花青し 田村 宗貞
「空き家」「埋める」で文語を離れたが、下五「青い花」では趣が違うのだろう。
六月や揺蕩う着物仄明かし 丸山一赳
「揺蕩う」で口語俳句として読んだが、「明し」は古語。
「や」を動詞終止形で
六月や遊びの予定を立ててみる 森無田
祝祭日の無い事実を伏せたまま、逆手に取った。やるなあ、一等賞。
六月や陰気の波の街を呑む 花吹雪
なんとなく心惹かれるのは、こんな風に呑んだことがあるから。でも主語は「波」か。
六月や菩薩の眼濡れそぼつ 恋瀬川三緒
「濡れそぼつ」を口語に読んだが、古語「濡る」「そぼつ」同じ意味の複合動詞かも。
六月や漆カンナを研ぎに研ぐ 花亭五味
古語「に」格助詞の使い方と同じだが、気配は口語俳句。
六月や切手の値段確認す 餅入桜
10月値上げだが、葉書はすでに85円になっているので。
六月や離婚届のふにゃふにゃす 馬場めばる
「ふにゃふにゃ」、ゆれるよね。
「す」は口語では「する」で、未然形以外は古語と同じ。
六月や妻は女性に恋をする ダンサーユウキ
「恋をする」は口語的な言い方の終止形。例えば、
たねしあれはいはにも松はおひにけり恋をしこひはあはさらめやは 読人不知 古今集512 「種し」「恋をし」の「し」は強意なので、意味は「恋を恋ひ」、「恋し続ける」。
六月やサバイバーとて鼻毛切る びんごおもて
「とて」は例外を示す口語の接続助詞、古語にもある。例えば
春ごとに咲くとて桜をよろしう思ふ人やはある 枕草子
春が来るたびに咲くからと言って(それを理由に)、桜を平凡な花と思う人がいるだろうか(いえ、そんなことはありません)。拙訳。俳句なら
避暑地とて好きな格好して歩く 稲畑汀子
訳せば、「とは言え」とか。
六月や騒つく水面を跨ぎ越す 井口あき子
「騒つく水面」には少しの不安がありそうで、増水中らしい。心象風景もありか。
「や」で切って、句末の終止形がたくさんあることに驚いた。この時には「や」の直前の言葉がボケてしまう気がしていたが、言い切り感が潔い。今風とは言えないかもしれないが、いつかやってみよう。
※「俳句ポスト365兼題六月」を読んでゐる。「佳作」以上は畏れ多いので、「並選句」のみを勉強させていただく。特に口語俳句に興味が湧くので、その辺を中心に。
https://haikutown.jp/post/result/other-tuesday.php?k_no=322
