第107回「悠々自適」句会に楽しく参加させていただきました。

悠人さん ありがとうございました。

 

結果は低空飛行でほぼ墜落。さっそく今朝ウォーキングで立ち寄った神社にご報告申し上げた。

ということで、以下に拙句の弁明を。

 

【漢字席題】「渡・大・送・解・車・探」から、「渡」を選んだ。

渡し舟抱いて放さぬ花見酒

 

舟からの花見はまた格別だけど、この人は花見の名所である対岸へ渡ろうとしている。

櫓をこぐ度に左右に揺れる川舟に乗り、これから始まる花の宴の仲間とわいわい無駄話をしつつ、うっかり落とさないようにと酒瓶はしっかり抱えている。

卵焼の沢庵と蒲鉾の大根漬けを大家さんから渡されちまったら、一升瓶の中身はお茶てぇことになりますな。

 

言問橋界隈の座敷へ上がらずとも墨堤の芸妓茶屋を覗けると、浅草駅からまっつぐつつーっと橋を渡るのも悪くない。

ちょいと前なら、猪牙舟なんぞの小舟を駆ってどこぞへ急いだご仁も居たかもしれないが、今時なら水上バスがあるので、川からの桜見物にはうってつけかも。ただ同じようなことはみんな考えるので浅草の乗船場は大混雑だし、だからと言って日の出桟橋からざざっと行くのもきっと混みそうだし、並ぶのはキライなのでやっぱり徒歩にして、ちょいと先の桜橋を渡ろうか。

 

【句型課題】上五〔季語(名詞)〕+〔中七〕+〔下五(動詞)+けり〕

春の海てふてふ渡り来たりけり

 

とりあえず季重なりの暴挙に出たワケだけど、そのアレルギーは根強いらしく残念無念の南無阿弥陀。

春の海を海峡とするのは、安西冬衛さんの『てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った』が記憶に鮮明すぎてムリだ。

 

春の海には冬が過ぎて刺すような光は失せ、穏やかでふくよかな日差しが戻って来ている。海辺に立って湿度の高い霞む光を見ていたら、蝶々がててふふと眼前を横切った。

たちまちに消えたから、幻だったか…

 

 

花篝すべなくて恋ひ渡りけり

 

この句は句跨りの「恋渡る」の言葉が命で、「恋ひ」と送り仮名を入れたのは読み手への注意喚起の意味のつもりだったが、どうだったか。「渡る」には「距離的に渡る」と「時間的に渡る」とがあり、「恋渡る」は思い続けるとの意味で後者である。

 

夜桜を共に楽しみながらも、結ばれてはならぬ二人の心が篝火に妖しく照らされている。角を曲がれば薄暗がりにある出合茶屋を、気づかぬ振りして歩くのも定めってか。

 

レストランでのシャンソンライブで、佐久市在住の浜田美恵子さんが歌ってくださった♪花明かりを紹介しますね。

音が拾えてないので歌詞を書き出します、こちらは踏み入ってしまった道ならぬ恋の話。

♪花明かり byすずめ σ(^^ )

尽きぬ思いに また身を急かされて

花の盛りに あなたと逢った

誰に許してもらうとか

誰に認めてもらうとか

決してしないと決めた人

好きなあなたの 指先が

わたし(→僕)の心を撫でてゆく

恋の契りをおぼろげに

照らす桜の 花明かり

 

火照る体を また抱き寄せられて

桜月夜を あなたと帰る

誰に自慢をすることも

誰に遠慮をすることも

決してしないと決めた人

好きなあなたの 手のひらに

わたし(→僕)は頬を押し当てる

恋の名残をおぼろげに

照らす桜の 花明かり

 

https://www.youtube.com/watch?v=jH-SUdpMzyo

 

歌詞中わたし→ボクと変更になって、二丁目的な妖しげな雰囲気だけど、この夜は彼女の衣装やステージがかなりボーイッシュだったので、意図的な企画だった。

 

以上、秘密ですが、テイストを変えながら三句ともに「渡」を使わせていただいた。

 

蛇足;ウォーキングの帰り道で艶やかな花を見つけた。時期的にも木蓮かな、とげとげした感じのは葉ではなくて萼か。葉っぱはもっと滑らかだから。

 

木蓮や準備整う墓仕舞