昨日はスパゲッティナポリタンが食べたくなって、晩飯にと昼にパスタを茹でた。

ナポリタンの時は、茹でたてのアルデンテは和え物的ピンボケなので、冷蔵庫で冷やしてからケチャップと一緒に焼く段取りで食せば至福ナリ。塩分25%カットのソーセージを使い、塩胡椒はゼロなので、パルメザンチーズをこっそり多めにしちまったが、昔と比べたらかなりの薄味でかみさんには申し訳ないと思っている。

 

薄味のせいもあってか、ピーマンの香りがよく効いて美味しかった。

 

春雨や使ひなれたるパスタ皿

 

茹でたり下ごしらえの済んだ昼過ぎには隣町のATMまでウォーキングして6000歩だった。手ごろな距離だ。

遊歩道の途中では木蓮が咲きだして、気分良き午後になった。

 

木蓮やATMまで三千歩

 

 

今朝の庭には沈丁花の香りが際立っていたけれど、なんとなく暖かいからかな。

 

雨除けの袋に朝刊沈丁花

 

庭の片隅にはユキヤナギが小さな花を付けた。これから賑やかになりそうだ。

 

まず一輪辺りをうかがふ雪柳  

 

足元の水仙は静かに健康的に花開いている。主張しない花に思えるのは、水仙を好きだからかな。

ふっくらとした萼の内側にはよく似た花弁三枚、その中心に淡く黄色い花冠がひっそりと開き、その三種の全てが争いごとを嫌うように住み分ける振舞いの花。季語的には冬の花だけど、三月の雨の日には心惹かれる。

 

水仙や弾薬尽きし兵の群

 

赤味を帯びた梅は力尽きようとしているけれど、その赤はむしろ濃くなって激しい。秘めたるものが顕わになって、最後の時を楽しんでいる。

 

蕊は垂れ萼の朱の透く老が梅

 

白い花ばかりになってしまったけど、春らしく色濃き花も咲いている。

それにしては、季節外れともなんとも言いがたいサルビアには驚かされているワケで、雨に濡れた赤が鮮烈で気持ちが良い。

 

越冬のサルビア(いと)し春の雨

 

流れた血の固まったかのような色のストックの花は、花を愛でる心をふと現実に引き戻すようで、不思議な迫力がある。

 

ストックは茎の意味なり名草の芽

 

 

ピンクのこの花は桜草と呼んでいたが、田島が原自生する桜草とはまるっきり違う印象なので、プリムラとした。

一つの花を見れば確かに桜草っぽいのだけれど妙に重いし、それは色合いが原因かもしれないけれど可憐でない。どこで生まれた花なんだろうな。

 

プリムラへ届きにけらし重力波

 

ひるがえってビオラの大きな花に雨が淀むのを見ると、なんだか安心する。だからその平和の証に菫と呼ぶ。

花の上の艶やかな雨の表に、それを見ている人が映っているかもと覗き込んだけど、ワカランかった。

 

花芯まで濡るる菫や温き雨

 

いっとき止んだ雨がまた降りだして、気温も低いまま。

いつの間にか人恋しい夜になった。

 

ということで、今夜はごま油を効かせた中華風焼きそばを作った。女房には悪いがもちろん減塩、ウスターソースは香だけ。

 

春宵や日々の感謝の飯支度