昨夜は家族の忘年会だったので、気が緩んで少し酔ったかも。
予約の電話をした時にいつもと違う感じがしたけど気にもせず、しかしドアを開けてソムリエ氏の顔を見てびっくりした。コロナ禍前にはよく通った別のレストランの方だったから。彼が今回の予約の電話を受けたらしく、知っていて親し気だし笑顔だったけれど、私の怪訝そうな雰囲気に気づいてか『いろいろあったんですよ』と語っていた。詳細は聞いていないけれど、それにしても転職先が近すぎないか?
入口で一発くらって面食らったけど、気にしない。
案内された席にはナプキンの載った見慣れたグランアッシェというか位置皿positionner le plateauが置かれていた。アッシェドプレゼンタシオンと習ったこともあるけど。
位置皿にプライドを込めレストラン
先ずはアミューズの鶏白レバーのパテを摘みながら、近頃飲み慣れたビール。ソムリエさんに『今夜はビールですか』と聞き直されたが喉越し期待の夜もある。
前菜にはソービニヨンブラン。ニュージーランド系の夏向きキャピキャピのそれではなくて、コトー・デュジェノワのしっとりした白ワイン。
シェフの趣向を凝らした賑やかな前菜が楽しい。
前菜に喚声上がるおちこち
店のマダムに会うのは4年ぶりかな、、相変わらず若々しく颯爽としていた。
いつだったか隣町のビストロでばったり出会った時は、彼女は私服で長い髪を下ろしていたので気づかず、帰られてからその店のマダムに「知り合いみたいなんだけど」と尋ねたら、ためらいがちにラヴォアールのマダムとお教えてくれた。彼女は気づいていたらしいけど。
前菜の二皿めはフォアグラにしたので、こってり系のシャルドネに。サービスの時には計量台を使っていた。
さすがグランヴァンVire-Clesseヴィレクレッセ シャルドネの神髄だね。
シャルドネの開く香に黄金色
ワイン会では基準グラスを置いて、その位置まで平等にワインを注ぐようなことは知っていたけれど、計量器があるとは知らなかった。世界は進化しているんだな。それに久々に素晴らしいシャルドネを味わえて満足した。
フォアグラの残る脂をパンに取り
気分転換にはピーナツカボチャのポタージュ。なにやらムースで覆うのがシェフ流で、混ぜる作業がトキメキを生む。実は牛蒡のポタージュが好きとご存じのマダムが『そのうち牛蒡をやるみたいですよ』と教えてくれた。飾られた香草はイタリアンパセリかな。
ポタージュのスプーンにイタリアンパセリ
お魚はシェフの釣り上げた鰆。彼は休日の火曜日にはしばしば釣りに行き、食材を仕込んで来る。いつだったか鮪を仕留めた時は大盤振る舞いをされていた。この皿では添えられたバルサミコが記憶に残った。
春の字を持つ魚鰆年忘
このころから赤ワイン。庶民のピノをと注文したら、コスパの良さは不明だけれど、シュペートブルグンダーを供された。ビショフクロイツはドイツの造り手で、ピノノワールがその地では呼び名が変化している。
かつてはほぼ北限の葡萄品種でワインは薄く軽薄だったが、この赤は少しはマシになった。直前のシャルドネでワイン狂は頂点に達していたので、食事に向かうための熱冷ましにちょうど良かった。
うら若き赤ワインを口説いてゐる
肉は羊、アニョーでいいのかな、良い匂い。ヨーロッパ野菜は嫌いなので、この程度の野菜が美味しかった。ソムリエ氏にいつも甘いソースだねと言ったら『ペリグーです』と答えたので、うっかり「えーっ」と声に出して驚いてしまった。ずっとソースマデールとばかり思っていたし、このソースにもトリュフの勢いがなかったからだけど、その気になれば切り刻まれた黒いものが確かに見えている。
この甘さ故に、このコースでの牛steak de bœufは苦手。子羊も本当はアニョードレに興奮してからはみな大したことないのだけれど。
脂身に羊の過去を振り返る
お口直しは柿のソルベだった、甘し。減塩生活のお陰で以前よりは甘さに抵抗感はないが、家の柿をさんざん食べた後なので嬉しくはなかった。
一口が切り刻まれて柿ソルベ
デザートではカシスのアイスクリームが濃厚過ぎて、急いで飲み込んだ。この頃にはワインの酔いもかなりだし、お腹も一杯だし、♂にはもっと軽くていいな。ミントの葉の下にはチョコレートだし、食べる肩に力が入ってしまった。(元健啖家より)
デザートに解ける酔いの心地よさ
食後の寛ぎのコーヒーには小さなお菓子が添えられている。
中央のお菓子はパッションフルーツのギモーヴで、卵白を使えばマシュマロになる。甘さ控えめで頭がすっきりした。
ありがとうあっという間のこの一年
さあ 帰ろう
宴果ててクリスマスツリーが明るい











