東大寺大仏開眼の導師を務めたインド僧・菩提僊那で有名な大安寺の仏像展示をやっている東博へ 久しぶりに行って来ました。
間に合ったぁ って気分です。
これは企画ものなので特別展とは違って通常展示の扱いになり、入場料一般1000円に観覧料は含まれています、お得。
大安寺は今では高野山真言宗の寺院ですので、新しいですけれど弘法大師坐像も展示されていました。
展示の入り口には堂々たる多聞天木造(一木)が置かれ、訪れるものを睥睨しているのです。
造像的には乾漆のような豊かな形状に驚きました。
横から観ると鎧の下の鍛えられた肉体を感じることができます。
多聞天はいわゆる四天王の一人ですが、男はつらいよの寅さんの毘沙門天と呼ばれる方が親近感はありますね。
一般的になんとか天(烏賊天、穴子天など食用を除く。ちなみにお好み焼きのイカ天の天は天かす入りの意味)と呼ばれる仏さんは六道輪廻の最高ランクの天の住人です。
最高とは言え我等と同じ衆生であり、死ねば六道のどこかに転生する運命にあるワケで、彼らの苦しみは我等と同じです。
他の仏像と違って四天王像は仏法の守護神として位置づけられているので武装しています。
でもお名前からも伝わるように、多聞天は仏つまり悟を開いて輪廻から解脱された如来の言葉を必死に聴く役でもあります。
大安寺の四天王像の持物は欠落していますが、本像でも右手に宝棒を持っていたはず。本像では左手に何もお持ちではありませんが、多宝塔を持つ事も多いです。
持物とは西洋絵画のアトリビュートのようなもので、観音さんの水瓶などのように宗教的な意味を持っています。
広目天
天平時代は白鳳の豊かな肉体美と違ってどこか荒々しく力強い感じが好きなのですが、展示されている像の下腿部の形状からは天平よりやや古いかもしれません。左手には経巻、右手に筆が定番です。
増長天
右手には戟を持つことが多い。
戟は東博展示では(金象嵌)銅戈と紹介されていたものに近い武器で、銅製のピカピカの武器は恐ろしい光を放ったことでしょう。
まぁ個人的には矛や戈と見分けられませんが槍の先に装着して使った武器で、手で扱うタイプもあったようです。
持国天
基本的に両刃の剣を持つ印象が強いですが、そのような武器を携行されていたはず。
持国天の左手はいつも腰に当てるだけって感じなので、あるいは最前線でなく対捕虜の役回りだったかも。
大安寺の四天王像では、有名な東大寺四天王像のように邪鬼(人々に災いをもたらす存在)を踏みつけてはいませんが、座は偶然の形状ではなく、邪鬼を意図しているよいうにも思えます。
(続く)