エルサルバドルへの本社移転を発表したテザー社は、
なぜこの国を選んだのでしょうか。
先日はエルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用した経緯についてお話ししましたが、
今回はテザー社がエルサルバドルを拠点にすると決めた理由について調べていきたいと思います。
エルサルバドルは仮想通貨取引のハブである
ハブといっても、沖縄に生息する毒ヘビのことではありません。
ハブ(HUB)とはビジネスにおける中核となる機関や場所のことをいい、ITにおいてはネットワークの情報データ集約地点のことをいいます。
テザー社は仮想通貨取引において、
エルサルバドルが主要な取引中心地になると考えたのです。
テザー社が発行するUSDTは、
法定通貨である米ドルに連動して一定の価値を保つよう設計されたステーブルコインであり、
価格変動のリスクを抑えながら仮想通貨の利点を活用できる効率的な取引手段として生まれました。
テザー社はステーブルコイン市場において、
最も優位な立場を確立していると言って良いでしょう。
エルサルバドルはビットコインを法定通貨にしたことで知られていますが、
それ以前に米ドルを法定通貨にした歴史もあります。
現在も一般的に普及している通貨としては米ドルが最も多く、
今のところエルサルバドルの法定通貨と言えば米ドルであるというのが多くの国民の認識です。
テザー社はエルサルバドルで仮想通貨ビジネスを広げるため、
デジタル資産サービスプロバイダーのライセンスを取得、
本社をエルサルバドルに移転することを発表しました。
パオロ・アルドイノCEOや、その他の経営陣と協同創始者もエルサルバドルに移住する予定だそうで、
今後はエルサルバドルがテザー社の拠点となります。
ただし従業員のすべてが本社移転に伴って転勤するわけではなく、多くのスタッフがテレワークとなるそうです。
テザー社は今後100人程度のエルサルバドル人を雇用し、
現地スタッフとして働いてもらいたいとしています。
エルサルバドル以外の選択肢はなかったのか
国民全体にビットコイン取引を普及させようとする姿勢や
実際に法定通貨化を実現させたことを評価した結果が、
エルサルバドルに本社を置く一番の決め手になったでしょう。
一方、「エルサルバドルしかなかった」という見方もあります。
テザー社はEUで仮想通貨事業を行うライセンスがなく、
アメリカでも許可されていません。
米ドルに連動したステーブルコインを発行していながら、
アメリカやヨーロッパで認められていないというのは弱点の一つでもあります。
テザー社はビットコインと米ドルを法定通貨にしているエルサルバドルに拠点を構えることで、
どちらの取引市場も自社のために利用できると考えたのではないでしょうか。
USDTはビットコインと交換することも多い通貨です。
米ドルが上がっても、ビットコインが上がっても、
USDTにとって良いことばかりというわけですね。
テザー社が自国に本社移転を計画していることを受け、
エルサルバドルのブケレ大統領もXにて「おかえりなさい」と歓迎しているようです。
さらに、大統領は動画共有プラットフォームRumbleのCEOにもラブコールを送り、本社移転を勧めたとか。
その数日後にはRumbleがエルサルバドル政府とクラウドサービス契約を結んだとのことで、
大統領のこうした仕事の早さも、テザー社がエルサルバドルを選んだ理由の一つなのかな?と思わせます。
日本の政府も、ブケレ大統領くらい積極性のある営業マンだったらいいのにね…
ガツガツしたセールスは批判も多いかもしれないけど、そうしないと数字はついてこない。
いつまでも「検討します」ばっかり言ってないで、
30ドル配るから使え!ってくらい強引に押し進めてもらいたいものですね。