おでかけ用品が入ったバックは薄毛ちゃんにいつも狙われている。
たいていは、出先でお腹が空いてギャーギャーしたときの緊急用に入れているせんべいが目当なのだが、今日は喉が渇いていたらしく、バックからのぞいているミッキーさんの水筒 を見つけて水を飲もうとしたらしい。
「プーしゃーん、プーしゃーん」と言いながら(人違いもとい動物違いも甚だしいのだが)、水筒を取り出そうとした。
しかしそこは100均レベルの水筒。フタが甘い。しかも満水。
知能レベルが1歳6ヶ月の薄毛ちゃんは、そんなことを知る由もなく、フタを不用意に持ってしまった。
見事、フタが開いて、水が畳にぶちまかれぇっー!
異変に気づいたかーちゃんは、思わず「たいへーんっ!!!」と叫んだ。
もちろん、薄毛ちゃんは悪くない。100均のしょぼい水筒に水を満タンに入れておく大人が悪い。かーちゃんには薄毛ちゃんを叱る気は全くなく、事態が事態だっただけに(笑)思わず大きな声をあげてしまったのだ。
すると、薄毛ちゃん、「たいへーんっ!」と言いながら「ムンクの叫び」のポーズをした。「ムンクの叫び」は、かーちゃんの大げさに驚く様を真似しているもので、最近の薄毛ちゃんのブームだ。
そして次にしたことが予想外だった。なんと、かーちゃんの顔を見ながら「ごめんしゃーい」と何度も言ったというのだ。しかも、悲しそうな表情を浮かべながら。
いや、薄毛ちゃんは悪くないんだよ。かーちゃんは必死になだめたそうだが、薄毛ちゃんにはあまりなぐさめの言葉にはならなかったらしい。しばらくしょぼんとしていたそうだ。
んー、ふだんそんなに厳しくしつけているつもりはないんだけれどな。「ごめんなさい」は言わせるようにしているが、しつこく何度も言わせたりはしていない。むしろ「ごめんしゃーい 」という様がかわいくて、おかしくて、親はつい笑ってしまうのが常だ。
最近は薄毛ちゃんが悪いことをしてかーちゃんが叱っても、意地を張っているのか、なかなかごめんなさいを言えない。なのに、今日はなんで自分から、しかも叱ったわけでもないのに、こんなに激しくごめんなさいをしたのかはわからない。大事(おおごと)になってしまったことにビックリしたのかもしれない。
「悪いことをしてしまった」という気持ちがいつの間に理解できるようになったのか。薄毛ちゃん、あなたは日々成長しているのですね。
それにしても、こちらがちょっと後ろめたくなってしまうような出来事だった。
とおちゃんはこの話を後から聞いたのだが、「ごめんしゃーい」を必死に連呼するわが子を想像し、不覚にも泣きそうになってしまった。
あーやだね、歳取ったわ。あ、来月また1つ歳とるんだった。やだやだ。
