名前を呼ぶと「はい!」とお返事ができるようになった。手をきっぱりと天に向け、はっきりした口調で。


初めて聞くわが子のしゃべり声だ。感慨深いものがある。


もちろん、これまでだってイヤってほど泣き声は聞いてきたし、喃語(なんご)とか、何かを指差して言う「あった 」とか、彼女が発する声は耳にしているのだけれど、それらはしゃべり声とは言わないだろう。ちゃんと意思を持って言う「人の声」を聞けるようになったのはここ最近だ。


その薄毛ちゃんの声を聞いて、ちょっと驚いた。写真でしか見たことのない人の声を初めて聞いたような感じと言えばいいのか。そういう場合、大抵は想像と違って面くらうことが多い。


薄毛ちゃんの場合もそうだった。


外見は男の子のようなのに、声は正真正銘、女の子だったのだ。


1歳少しの子供の声に男の子、女の子の区別があるのかという突っ込みはこの際どうでもいい。とおちゃんには間違いなく女の子の声に聞こえたんだからっ!


これから、彼女の声でいろいろな言葉をしゃべってくれるようになるだろう。んー、とおちゃん、この分だと萌え死にしそうだよ(笑)