程なくして彼女と結婚したが,私自身は義母と同居など考えてもいなかった。

甘い新婚家庭を夢見ていた私にとって,義母はうっとおしい存在と言わざるを得ない。

妻に繰り返し,義母を自宅に返すようお願いした。

仕事を辞め,専業主婦となった彼女にとって,義母は頼もしい存在だった。

それまで家事を一切したことがなかったため,洗濯,掃除,調理などどれも危なっかしくし仕方がない。
特に調理に至っては味見ではなく,匂いを嗅ぎながら味付けを決めていたのには驚かされた。

洗濯はどれもこれもネットに小分けし,大量の洗剤を投入して洗っていた。干すにもこだわりがあるのか,3人分の洗濯物を30分以上かけて干す始末。

掃除はといえば,毎日大掃除のようにリビングの椅子を別室に運び出し,入念に掃除機をかけてはもとに戻す。そんなやり方ではリビングだけで体力を使い果たし,他の部屋についてはほとんど手が回らない。

見かねて義母が家事の殆どを担当した。

これまで家事を教えてこなかった罪滅ぼし,これからは娘に家事を教えてやるのだと言いながら,その実,家事の大半を義母がほとんど片付けていった。

教えるよりも自分でやるほうが早い。

それはそうだろうが,家事を教える名目で毎日のように我が家に来ては,19時を越えようものなら,私が送るまで家に帰ることはなかった。

仕事に疲れ,やっとの思いで家に帰り着いた私が,なぜに義母を毎日送らなければならないのか。

このようにして居座り続ける義母に業を煮やした私は,義母のために歩いて5分以内のアパートをみつけ,転居させることにした。

当初の費用は私が立て替えた。

しかし,それでも義母は夜道が暗いからとせっかく借りたアパートに帰ることは殆どなかった。