婚約したころには,すでに彼女の実家とはしょっちゅう行き交う関係になっていた。

引っ越しをするときも,荷物運びを手伝い,母親とも一緒に食事をする仲になっていた。

彼女は1人娘で,父とは都合により別居していた。

母親はパートをしながら娘を支えていた。

もちろんパートだけでは食費もままならない。

別居中の父親に生活費を要求するが,不況の折そんな余裕があろうはずもない。

当時の私は独身貴族よろしく,給与も余裕があった。

私は彼女だけでなく,時折彼女の母親も誘って外食に連れ出した。

それまではけじめが大事と,彼女の外泊を認めることはしなかった。
門限までに帰ってこなければ,成人といえども厳しく叱られていた。

しかし婚約してからは,さすがに母親も私に気を許してくれ,週末婚を認めると言い出した。
外泊が認められるとあって彼女ともども喜んだのもつかの間,泊まりに来るはずのその日に彼女は母親を連れて私の家に来た。

聞けば外泊の準備をする傍らで,母親が体調を崩し嘔吐を繰り返す有り様。
そんな母を一人置いてはいけない。
しかも事によっては病院まで連れて行かないと心配と言い出した。

車を持っているのは私だけ。

仕方なく,彼女は母親ともども私の家に泊まりこむ事となったのである。
以後,彼女は母親とともに私の家に居続けることとなったのである。