おっちゃんは腰に手を当てならがゆっくりと腰を下ろした。
おっちゃん:『誰でもって訳じゃねぇが、本来可能性は誰にでもあるさ』
ちゃまる:『じゃあポリンしか倒せない僕でも?』
おっちゃん:『お前、ポリンしか倒せないのか!?』
おっちゃん:(どうやってここまで来たんだ・・・)
ちゃまる:『・・・そ、そうだぷに!』
ちゃまる:『そんな人でも強くなれるのかぷに?』
おっちゃん:『がっはっはっはっはー!』
おっちゃん:『ポリンしか倒せない奴はきいたことがねぇな』
おっちゃん:『こりゃーお先真っ暗だ』
ちゃまる:『う、うるせぇぷに!』
ちゃまる:『真面目に話してバカみたぷに!』
ちゃまるはおっちゃんに背を向け、
両の手で握り拳を作りながら階段へ向かった。
おっちゃんはその小さくも折れていない後ろ姿に、
過去の記憶の何かを重ねて見ていた。
そして天井を見上げて一言吐く。
おっちゃん:『本当の強さは力やスキルじゃねぇんだ・・・』
その言葉に自然と足が止めるちゃまる。
ちゃまる:『・・・っえ?』
ちゃまるが振り返ると、
おっちゃんは棚に倒れて置かれる写真立てを見つめていた。
おっちゃん:『本当に強いってのはな』
おっちゃん:『己を見失わず生きる強さだ』
おっちゃん:『ワシはそう信じている』
ちゃまる:(己を見失わず生きる強さ・・・)
ちゃまる:『それって自分らしく生きるってことぷにか?』
おっちゃん:『まぁそんなとこだな』
ちゃまる:『なんだ、そんなことで強くなれるなら、とっくに強くなってるぷによ』
ちゃまる:『真面目に臭い匂い我慢して聞いて損したぷに。。』
ちゃまる:『じゃあ帰るぷに。ちゃんと歯磨きするぷによ!』
ちゃまるは再びおっちゃんに背を向け歩き出した。
おっちゃん:『かつて伝説と呼ばれた英雄がいた・・・』
去り行くちゃまるにどこか寂しげでか細い声を
おっちゃんは吐いた。
そんな弱々しい言葉がちゃまるの足に絡みつき、
次の一歩を踏み出させない程の力で拘束する。
おっちゃん:『そいつは元々誰よりも弱かった』
おっちゃん:『しかし、誰よりも秀でたものが一つだけあった』
おっちゃん:『どんなに辛くても己を見失わず』
おっちゃん:『己を信じ、生き抜いた』
おっちゃん:『誰もが皆、そいつを嘲笑っていたさ』
おっちゃん:『このワシでもな・・・』
ちゃまるはその話に自分を重ね憤りを感じるも、
脳裏には逃げ出してばかりの記憶が蘇ってくる。
おっちゃん:『でも奴は諦めず夢を成し遂げた』
おっちゃん:『皆、掌を返したように褒め称えた』
おっちゃん:『己を信じ、生きるってことは、簡単そうで簡単じゃない』
おっちゃん:『己自身が壁となり甘やかす』
おっちゃん:『己自身だからこそ、誰のせいにも出来ないのさ』
おっちゃん:『お前は本当に自分らしく生きられているのか?』
心のありかを正確に見抜いたように、
おっちゃんのその言葉はちゃまるを鋭く貫いた。