液状化被害、遠い「住」再建 「復興特区」案も 千葉
2011年9月13日00時47分
傾いた住宅や店舗に「仮移転先」「休業中」の張り紙。我孫子市の布佐東部地区では住人が去った家が無残な姿をさらしている。
かつて大小三つの沼があった約12.5ヘクタールの範囲に被害が集中し、全壊が100世帯以上にのぼる。高齢者世帯が多く、子どもの家に身を寄せたり、近くにアパートを借りたり。地区を離れた人も少なくない。「歯が欠けるように、さびれてしまった」。住民は嘆く。
残った人も先行きに不安を抱える。約30年間、中華料理店を営む井上房男さん(63)は4月下旬に店を再開した。床だけは修理して平らにしたが、住居を兼ねる建物は50センチ以上沈んだ。
市が5~6月に行った被災者の意向調査では、家屋を「修理する」は約4割、「取り壊す」は約1割。半数は「そのまま・未定」と答えた。市同地区復興対策室は「多額の費用をかけて直しても、将来売れる保証はない。引っ越した方がいいのでは、と悩んでいる人が多い」という。
都心部にあり、現役世代が多く住む浦安市でも、再建に悩む人は少なくない。
市は戸建て住宅の再建に国や県の制度に最大100万円を上乗せする独自支援を打ち出したが、工事を終えて補助金を申請したのは103世帯にとどまる。
同市今川の主婦(63)が25年前、地震対策のため基礎だけでも300万円かけて建てた家は、最大20センチ沈んだ。手すりのない階段では体がふらつく。
修復方法を住宅メーカーに相談したが、「同じような地震が起きれば保証できない」と言われた。建て替え中の隣家は15メートルの杭を40本打ったと聞いた。「家が建った状態ではできない。あきらめるしかない」
■地域ごと「復興特区」案も
被災者個人が取れる対策に限界がある中、地域全体でまちづくりを目指す動きも出ている。
約4500戸の被害を出した習志野市は、被災した戸建て住宅を取り壊したうえで地盤改良し、マンション化する案を市民代表や学識経験者らによる復興検討会議に示している。
個々に改良するより、ビル建設仕様の基礎工事で地盤は強固になる。住民の居住部分以外は分譲販売して建設費を捻出することで、費用負担の軽減も見込む。
地域は都市計画法で低層の戸建て専用地域と指定されている。マンション化の実現には高さ・床面積の規制緩和が必要なため、市は「復興特区」として国への申請も視野に入れる。
意見集約はこれからだ。「個人では限界がある。安心して住み続けるにはよい方法では」と積極的な意見がある一方、「液状化地域のマンションを買う人間がいるのか」と疑問を投げかける声も少なくない。
住民の合意が大前提となるだけに、同会議は12月までの協議の中でマンション化の是非を含め、市への提言内容を検討するという。
浦安市の舞浜3丁目自治会(約500世帯)は地域を再液状化防止のモデル地区にしようと取り組む。約140カ所で独自に地盤調査を行い、地中に格子状に壁を作るなどの地盤改良ができないか研究する。
11日の住民集会では、国が検討中の宅地と道路を一体的に地盤改良する新制度を活用し、官民一体で再発防止にあたるよう市に要望することを決めた。自治会の震災対策特別プロジェクトチームのリーダーの伊能隆男さん(49)は「3・11以前より安心・安全な街にしたい。行政や開発業者、研究機関との連携が必要だ」と話している。