費用1000億円 足りぬ予算 習志野市の公共施設建て替え
「この公共施設は古いなあ」と感じたことがある人は多いはず。人口が急増した昭和40~50年代に各地で建てられた公共施設が、一斉に老朽化している。習志野市は公共施設の状況を総合的に分析し、専門家らから提言を得た。提言の試算では、25年間で施設の建て替えに約1000億円かかるのに、見込める予算は半分しかない…。 (小川直人)
市は、市庁舎や学校、公民館、福祉施設など計百二十四施設(床面積計約三十二万三千平方メートル)を対象に、施設の利用率やコストなども分析。専門家らが検討を加え、三月に提言書がまとまった。
百二十四施設の約七割が築三十年以上。今後の二十五年間に耐用年数を迎える施設の建て替え経費を標準的な単価を基に試算すると計一千十三億円。過去五年の予算の実績から、充てられる費用は年約二十一億円。大幅な税収減がないとしても、二十五年で五百二十五億円が上限。四百八十八億円も不足する。
提言では、施設の面積の総量を25%減らし、事業費で二百四十四億円を圧縮。残る半分は未利用地の売却などで「年平均約九億八千万円の新たな財源を確保する」とした。
「施設の維持」より「機能の維持」を優先させ、異なる機能を合わせる施設の多機能化や複合化を目指すことなども提案した。
市の分析では、老朽化の状況に加え、公民館の稼働率が全体で46%であることや、幼稚園より保育所のニーズが圧倒的に高いことなども分かった。
公共施設の建て替え問題は、各施設ごとに検討されることが多く、市内のほとんどの施設を対象に利用状況やコストなどを網羅的に分析した例は少ない。このため、同じ悩みを抱える全国の約三十の自治体が同市に視察に訪れたという。
市経営改革推進室の吉川清志室長は「施設の統廃合ありきではないが、分析によって市民に考えてもらう材料はできた。施設の問題は街づくりそのもの。市民にも参画してほしい」と話す。
専門家らの検討専門協議会に参加した市社会福祉協議会の海宝嘉胤会長は「提言をどう実行に結び付けるか。複合的な機能を持った施設を造るには縦割り行政のままではできない」と指摘する。市は提言を基に、基本方針を八月中に定める。