中学入試注目作家
辻村深月さんのエッセイを読みました。
毎小で連載されていた内容を
まとめたもののようです。
文章はとても言葉を選んであって
平易で、小学3,4年生でも読めそうです。
一個一個の子の気持ちへの寄り添いが深ーく
とても面白く読みました。
どうして本を読まないとダメと言われるんですか?
という子どもの疑問に真摯に応える一節が参考になりましたのでご紹介しますね。
子どもの頃、同じような経験をされたとき、
本が好きなご自分ですら
きゅうくつな思いをされたとのこと。
大人になった今ならわかります。
それは「本を読みなさい」と大人が言う時には、
その多くが
勉強ができる子になってほしいという願いが
セットになって透けて見えているからです。
さすが。
それだよそれ!!!
と思いました。
教育熱心な親には痛烈なネタばらしですね笑
それでも辻村さんは読書をすすめます。
私自身が本は「おもしろい」と思うからです
(中略)
運動すると体が鍛えられるように、
本を読むと心が鍛えられます。
と書かれていました。
私は、毎小を読む年頃はどうだったろうか。
「偽原始人」の
主人公たちのような勇気はもちろんなくて
現実には親に抗えないでいる
自分の憂さを読むことで晴らしたり。
「夏の庭」のように
こんな素直になれないだろうと思う卑屈な自分では
素敵なことを教えてくれる人に
出会えないかもしれないけれど
それでも登場人物みたいな
ちゃんとしてる子供になりたいなと
密かに願ったり。
本を読みその世界に浸りながら
色んな思いが錯綜していたなと思います。笑
心は、、、鍛えられたのかな?
でも助けてもらったような気がします。
好きな本を読んで楽しんだらいいのです。
と辻村さんは言ってくれます。
自分に必要な本や、
世の中が知れる本を
読んでくれたらなとは、親としては思ってしまう。
しかし、小中学生のころの自分を思うと
全くそんな本を読めなかったし、
ー辻村さん風に言えば遊びの本だけ読んだー
退屈な役に立たなさそうな
勉強に結果を出すことしか
評価してこない親
他に何も興味持てない自分に
やきもきして親の言う事なんて
聞いちゃいなかったな。
数十年過ぎた本が好きだった私は今、読むと
苦しい本すら読んでいる。
開いて自分の無知さ、
知らなかった痛々しさに
息苦しい。
楽な読書しかしてこなかったからだと思う。
でも、出会えて少し読んでなんて苦しいんだ、
と思える世界がみえたのは、
辻村さんの言う通りの、
楽しい読書をさせてくれたあの日々の
おかげなんだろう。
楽しい読む、があるだけで、きっといつか
その経験は役に立つ。
いまは楽しい読む、でそれが国語の成績に
何かにすぐつながらなくても、仕方ない。
子どもには、大学受験もだけれど、
そんなことよりもっと先まで見据えて、
読むっていい、大事、と
思えるようになってほしい。
辻村さんの毎小連載は、たくさんの小さい読者からの質問にも回答されていて、こどもの疑問とのやりとりが、たくさん。
もちろんパーフェクトな回答でなくても親御さんがご自身で考えるほうが良いに決まってますが、
友だちと話す、自分の考えていることを知る。読む、書く、についての様々なヒントが隠されていますから、こんな考え方あるんだな、とこっそりと親御さんが読まれて参考にさせていただくといいかもしれません。
読書量と国語力、というお題では
やはりご自分の文章の国語の問題を解こうとされても、そんなこと書いたかな、と思い答えを見てなるほどと思った、というほっこりエピソードもありました。
更にそこに素敵なメッセージも続いていましたから、我こそは読書は好きでも
国語はできないというお子さんもまた、
是非読んでみて欲しいです。
国語ができなくても、私は読むことが好きならそれで大丈夫なんだ、と思えますよ。(受験伴走親からしたら嘆かわしいことかもしれませんけどね)
著者の人気作「かがみの孤城」の
シーンについてや、
「この夏の星を見る」の取材の話
ネタもとがちょこちょこ出てきますので
こちらの作品のファンの方も
(受験生は受験後か、息抜きに)
必読です
苦しい本、きっと読み切れないな、、、