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i am so disappointed.

さて、今回は1987年6月13日付の全英シングル・チャートから個人的に好きな10曲を抽出してランキング化することによって、当時の気分のようなものをなんとなく再現してみたい。この頃の日本といえばバブル景気へまっしぐらという感じだったのだろうか、NTTの株価が上昇したことにより財テクブームが巻き起こったり、安田火災がゴッホの「ひまわり」を高額で落札したことが話題になったりと、いかにもな出来事が起こっていたと同時に、アサヒスーパードライが新発売されたり、国鉄が分割、民営化されJRになったり、このチャートの日付の前日には郷ひろみと二谷友里恵が結婚したりしていたようである。その前の日に放送された「ザ・ベストテン」では、TUBE「サマードリーム」が1位であった。それで、私はというと小田急相模原のコーポオンタから小田急線と神奈川中央バスを使って厚木キャンパスに通わなければならない一方で、東京タワーのわりと近くにあった東京プリンスホテルなどでアルバイトするという、アクロバティック気味な日常を送ってもいた。

 

10. Don't Dream It's Over - Crowded House

 

J-WAVEが開局するのはこの翌年なのだが、小田急相模原に住んでいたのでFM横浜をよく聴いていたような気がする。コンサヴァティヴでカジュアルで、自意識がどんどん薄まっていくような感じに同化したい気分に、このクラウデッド・ハウスとかシンプリー・レッドとかジョニー・ヘイツ・ジャズとかの感じはわりと好ましかった。この曲は特にメロディーが良く、わりと気に入っていたのだが執着するほどでもなかった。それぐらいがちょうど良いと感じた。

 

 

9. I Want Your Sex - George Michael

 

ワム!解散後、初のソロ・シングルだっただろうか。これもFM横浜の感じによく似合っているな、という感じがしてわりと好きだった。この曲を収録するアルバム「FAITH」がリリースされるのはこの年の秋だが、この時点ではまさかあれだけヒット曲が連発され、ソロ・アーティストとしても大成功することは予想できていなかった。歌詞の内容がどうこうで放送禁止になったとかならなかったとかいう話題もあったような気もするのだが、いまやはっきりと覚えていない。

 

 

8. I Still Haven't Found What I'm Looking For - U2

 

U2のアルバム「ヨシュア・トゥリー」はこの年の3月にリリースされ、大ヒットした上に高評価もされていた。アメリカのシングル・チャートでトップ30以内に入ったのはこのアルバムからが初めてだったのだが、しかも「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」と「終りなき旅」という邦題がついたこの曲が2曲連続で1位になった。個人的な好みとしてはシリアスすぎてそれほどでもなかったのだが、ブライアン・イーノのプロデュースワークもあり、音響的にユニークだったのと、流行っていたことによってギリOKという感じだったような気がする。

 

 

7. I'm Bad - LL Cool J

 

当時、まだ19歳だったはずである。ヒップホップそのものが新しいポップ・ミュージックとして注目されていたし、LL・クール・Jの存在はそんなジャンルのニュースターに相応しかった。この曲は2作目のアルバム「ビガー・アンド・ディファー」からのシングル・カットでとてもカッコ良いのだが、この次のシングル「アイ・ニード・ラヴ」はバラードでより幅広い層の音楽ファンにアピールした。

 

 

6. Luka - Suzanne Vega

 

デビュー・アルバム「街角の詩」の時点ですでに新世代のシンガー・ソングライターとして注目されていたのだが、2作目のアルバム「孤独(ひとり)」からシングル・カットされたこの曲は、児童虐待という社会問題をテーマにしたことが話題にもなり、全米シングル・チャートで最高3位のヒットを記録した。後にオルタナティヴ・ロック・バンド、レモンヘッズによってカバーもされている。

 

 

5. It's Tricky - RUN-DMC

 

ヒップホップというサブカルチャーはもっと以前から知られていたのだが、一般大衆的に広まるきっけとなったヒット曲といえば、1986年にRUN-DMCとエアロスミスがコラボレートした「ウォーク・ディス・ウェイ」であろう。この曲は同じアルバム「レイジング・ヘル」からのシングル・カットだが、ザ・ナック「マイ・シャローナ」、トニー・バジル「ミッキー」などが引用されることにより、ロックやポップスのファンにも親しみやすい楽曲となっている。

 

 

4. La Isla Bonita - Madonna

 

3作目のアルバム「トゥルー・ブルー」からシングル・カットされ、アメリカでは最高4位だったが、イギリスでは1位に輝いた。ラテンなフレイヴァーが感じられるこの曲は、元々はマイケル・ジャクソンの「BAD」のために提供したものの却下されたものらしい。戸川京子が「笑っていいとも!」の「テレフォンショッキング」に出演した際に、この曲のメロディーに乗せて「世界に広げよう友達の輪」の歌を歌っていたような気がする。

 

 

3. No Sleep Till Brooklyn - Beastie Boys

 

ビースティ・ボーイズのデビュー・アルバムにして全米アルバム・チャートで1位に輝いた「ライセンス・トゥ・イル」からのシングル・カット。当時のビースティ・ボーイズにはホモソーシャル的なノリが強烈に感じられるところもあり、個人的にはかなり苦手というか嫌悪すらしていた。後にコンシャス化して大丈夫になった、というかむしろ好きになったのだが、それから聴いてみるとデビュー・アルバムもなかなか良かった。

 

 

2. Big Love - Fleetwood Mac

 

フリートウッド・マックといえば、70年代に「噂」がものすごく売れて、それ以降のリリースした作品もその頃のファンが根強くてヒットし続けているという印象で、当時の若者が熱中するバンドという感じではなかったような気がする。この曲が収録されたアルバム「タンゴ・イン・ザ・ナイト」も当時はちゃんと聴いていないが、まさにそんな印象だったのだが、いま聴いてみると大人のポップスとしてひじょうにクオリティーが高いのではないかと思える。

 

 

1. I Wanna Dance With Somebody (Who Loves Me) - Whitney Houston

 

ホイットニー・ヒューストンは1985年のデビュー・アルバムから「すべてをあなたに」「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」といったバラードが大ヒット、「恋は手さぐり」などはアップテンポだったが、その類まれな歌唱力が発揮されたバラードの印象がひじょうに強かった。それが、「ホイットニーⅡ」からの先行シングルで「すてきなSomebody」の邦題がついたこの曲ではひじょうにポップでキャッチーになり、ヴィジュアル的にも一気に垢抜けた感じがあった。当時はその程度の印象であり、大ヒットしたことももちろん認識していたのだが、それからしばらく経った00年代初めぐらいに橋本駅近辺の街頭放送のようなもので久しぶりに聴いて、80年代ポップスの良いところが凝縮されたような素晴らしいダンス・ポップなのではないかと感じたのであった。サウンドや歌が当時の街やメディアに溢れていた気分や空気感を思い起こさせてくれるような、60年代のモータウンやフィル・スペクター・サウンドなどにそのようなものを想像していたのだが、この曲はわれわれの時代におけるそれなのではないかと思ったりもする。