関東甲信越地方が梅雨入りし、今年も悲しくも淋しい雨の季節がやって来た。とにかく嫌で嫌で仕方がないことには違いないのだが、せっかくなので「雨の邦楽ソング・ベスト50」でも考えて気を紛らわすことにしたい。選曲、ランク付けの基準は個人的な趣味や嗜好、思い出補正などによるところがひじょうに大きく、また別の機会にやったならば大きく変わっている可能性はひじょうに高い。1回につき10曲で、5回にわたってやっていきたい。
50. 東京/きのこ帝国 (2014)
きのこ帝国はとても良いバンドなのだが、活動を休止してしまった。「東京」というタイトルだったり、タイトルに「東京」という単語が入った曲は数多くあるのだが、憧れでも失望でもなく、ナチュラルに生活環境としての「東京」をテーマにした曲として、ひじょうにしっくりくる。シューゲイザーと呼ばれる音楽などの影響も感じられるオルタナティヴ・ロック・サウンドが心地よく、演奏そのものが雨のようにも感じられる。
49. 6月の雨/谷村有美 (1990)
交通ストで電車が動かない日があった頃、フレンチポップや映画音楽などにひじょうに精通していることで一目置かれているCDショップマネージャーに車で送ってもらったのだが、その時にカーステレオで流していたのが谷村有美の音楽であった。随分と童貞っぽいものを聴いているのだな、などという実に不謹慎な感想を当時の私は持った訳だが、いま聴くと実はとても良かったのだということに気づかされる。雨の邦楽ソングを集めてみたとしてもいろいろな季節のものが混ざってしまう訳だが、この曲は「6月の雨」とはっきりしているところもとても良い。
48. 恋をしたのは/aiko (2016)
aikoが歌ってさえいれば何でもいい、というぐらいには個人的に大好きではあるのだが、この曲においては雨が舞台装置として良い役割を果たしていて素晴らしい。たとえば、恋をするという状態がどのようなものであったのかを、定期的に忘れたり思い出したりするのだとして、この曲にはその気分が詰まっているな、という気はするのであった。
47. 人魚/NOKKO (1994)
80年代の日本のポップ・ミュージックにおいて、レベッカが果たした役割はひじょうに大きく、もっと高く評価されるべきではないかと考えたりもするのだが、NOKKOのソロシングルで筒美京平が作曲、拠点を日本に移してそれほど経っていない頃のテイトウワがアレンジしてもいるこの曲にはより上品なムードもあり、ボーカリストとしてまた別の魅力が思いがけず発揮されているように思える。
46. Rain/大江千里 (1988)
かつての私はといえば、大江千里が象徴するようなものすべてを全力でバカにしているような愚か者だったのだが、実は「フレンド」などは秘かに好きで、「乳房」のカセットテープをこっそり買ったりもしていた。この曲は2016年、雨の新宿でアイドルグループのアイドルネッサンスがアカペラでカバーしたので初めて知ったのだが、原曲を聴くとかなり良かった。大江千里でなければ出せない、明確なオリジナリティーがある。そして、どうやらこの曲のモチーフとなっているのは、つつじヶ丘や調布市内のロータリーの情景であるというのも、京王線の柴崎に住んでいる私にとっては、とても高ポイントだったりもするのであった。
45. DISCO鎮魂巻-Requiem for the DISCO MUSIC-/パール兄弟 (1987)
ポップス絵巻的な素晴らしいアルバム「パールトロン」の最後の方に収録されたメドレーというか、組曲的なとても良い曲。雨は恋人達の気分を盛り上げてくれる、ひじょうに素敵な側面もあるのだということは周知の事実だが、ミュージカル風味でもあるこの曲の一部にも、それは存分に生かされている。
44. 人魚姫 mermaid/中山美穂 (1988)
ソウル/R&B的な音楽が歌謡界でもポピュラーになり、その影響はアイドルポップスにも及んだという好例。これはカッコいいや、と初めて聴いた時からすぐに好きになった。確か有名なイラストレーターが描いていたはずの水着姿のジャケットもとても良い。
43. 雨/Suchmos (2017)
日本のシティ・ポップ・リバイバルにおいて、わりと重要な役割を果たしたともいわれるSuchmosによる、ペトローズの曲のカバー。とにかくモテそうで、とても良い音楽であることは間違いない。
42. レインガール/佐野元春 (1993)
一時代を築いた後、成熟したロック・ミュージックを聴かせはじめた佐野元春による、貫禄さえ感じさせる〇〇ガールもの。
41. La La La…/小泉今日子 (1990)
藤原ヒロシがプロデュースした、ラヴァーズ・ロック調のとても良い曲。ネトウヨミソジニーをこじらせた某伝説のミニコミアイドル誌元編集長を発狂させるKYON2を推し続けてきたことは、完全に正解でしかなかったということを再認識させる素晴らしい曲。