昨年末ぐらいまで一時的にやっていた、その時にリアルタイムで好きな曲のトップ10をカウントダウンしていくというやつを気まぐれにこのタイミングで復活させてみたい。つまり、「心のベスト10 第一位はこんな曲だった」的なやつである。とはいえ、基本的にメジャーで売れている、あるいは実際にはそれほど売れていなくてもメジャー志向な音楽しかほとんど好きではないため、「心のベスト10 第一位」がそのままビルボードやオフシャルUKチャートやオリコンの1位と一致してしまうこともそこそこあるのではないか、という気はなんとなくしている。あと、前回と同様になんとなく飽きてきた時点で予告なくやめる可能性は大いにある。では、いってみたい。
10. Lost Cause - Billie Eilish
もうじきニュー・アルバムが出るのでひじょうに楽しみではある訳だが、これはまたしても先行シングル。トリップホップなどにも影響を受けたようなミニマリスト的なサウンドとマイルドにダークなボーカルで歌われる皮肉めいた失恋ソングだが、別れた恋人に対し、アウトローを気取っているが単なる無職ではないか、などと痛打を食らわせたりしている。
9. Having Our Way - Migos feat. Drake
リリースされたばかりのアルバム「カルチャーⅢ」から、特に良く聴かれているドレイクをフィーチャーした曲。約3年半ぶりとなるアルバムは豪華コラボレーションが目白押しだが、この曲についてはビッグスターが自家用ジェットについて言及したりもするリッチでゴージャスな気分が特徴的である。
8. He Said She Said - CHVRCHES
夏にリリースが予定されているアルバムからの先行シングル。シンセ・ポップ色がより強まった印象があり、ポップでキャッチーなところがとても良いのだが、内容はセクシズムやマンスプレイニングに対する痛烈な批評にもなっていて、そこがまたさらに良い。
7. Butter - BTS
昨年の「ダイナマイト」に続く英語詞のシングルで、全米シングル・チャートで通算4曲目の1位を記録した。現在のBTSは見る者、聴く者にポジティヴィティーをあたえる真実のポップスターといえる存在だが、それに相応しい強度が感じられる最高のサマー・ポップ。
6. Smile - Wolf Alice
収録アルバム「ブルー・ウィークエンド」は全英アルバム・チャートで初の1位を記録したが、シングル・チャートでインディー・バンドが上位にランクインするのはなかなか難しい昨今の状況である。オルタナティヴ・ロック的なサウンドはメインストリームでも少し復活してきているような気はするのだが。以前からのバンドとしてのヴィジョンがフルスロットルで実体化しているような、充実したサウンドになっている。
5. PINK BLOOD - 宇多田ヒカル
テレビアニメ「不滅のあなたへ」のテーマソングで、配信限定シングルとしてリリース。かなり以前からもうすでにベテランの域に達しているとはいえ、いまだに進化を重ね、最新型のポップ・ミュージックをつくり続けている偉大なアーティストの最新作である。実験性も感じられるオルタナティヴR&B的なサウンドに乗せ、ゆらぎながらも力強いメッセージが歌われ、ストレートに伝わってくる。
4. Pale Blue - 米津玄師
一般大衆に開かれた圧倒的な表現が絶大な支持を得た大傑作アルバム「STRAIGHT SHEEP」以降、最初のシングル。テレビドラマ「リコカツ」の主題歌で純粋なラヴソングだが、もちろん一筋縄ではまったくいくはずもない。ファルセット気味な歌い出しではじまり、ストリングスと鍵盤を主体としたサウンドと美しいメロディー、実はひじょうにアウトサイダー的で異質な個性が圧倒的な音楽的才能によって究極的なポップにたどり着いてしまったという、素晴らしい楽曲。
3. Save Your Tears (Remix) - The Weeknd & Ariana Grande
ザ・ウィークエンドの大ヒットアルバム「アフター・アワーズ」からすでに昨年、シングル・カットされていたのだが、アリアナ・グランデをフィーチャーしたリミックス・バージョンが全米シングル・チャートで1位に輝いた。昨年来のザ・ウィークエンドのロングヒットには、80年代ノスタルジア的なサウンドがコロナ禍の気分にハマったのではないかというような分析を見かけたような気もするが、この曲においてはワム!の「恋のかけひき」やリマール「ネバーエンディング・ストーリーのテーマ」あたりを連想させたりもする絶妙具合が実に良いところを突いていると感じさせる。
2. Kiss Me More - Doja Cat feat. SZA
「フューチャー・ノスタルジア」とはデュア・リパの昨年のアルバムタイトルだが、ディスコ・クラシック的なエッセンスを現代のテクノロジーやセンスでアップデートしたタイプのポップ・ミュージック全般にも相応しいような気がするし、確かにそういうのは流行っているように思える。今月にリリースが予定されているドージャ・キャットのアルバム「プラネット・ハー」からの先行シングルであるこの曲は現在ヒット中なのだが、どこか切なさが感じられるところがとても良い。そして、昨年のマイリー・サイラスの曲やデュア・リパのタイトルなどにも見られたのだが、オリヴィア・ミュートン・ジョン「フィジカル」からの引用が特徴的である。
1. good 4 u - Olivia Rodrigo
デビュー・シングル「ドライヴァーズ・ライセンス」は10年に1曲レベルの名曲なのではないかと思われ、今年の初めから大ヒットを記録していたのだが、この曲はそれに続く2曲目の全米NO.1ヒットとなった。これらを収録したアルバム「サワー」も大ヒット中で、オリヴィア・ロドリゴは一躍、時の人となっている。「ドライヴァーズ・ライセンス」がセンチメンタルなバラードだったのに対し、この曲には同じ失恋ソングでもアヴリル・ラヴィーンや初期パラモアのようなオルタナティヴ・ロック色が感じられ、復讐の気分が表現されているように思える。