さて、今回は1989年の全英シングル・チャートにランクインしていた曲の中から個人的に好きな10曲をカウントダウンしていきたい。1989年といえば平成元年であり、個人的には柴崎に引っ越してから少し経ったぐらいである。やっとこさ青山キャンパスに通える身分になって、渋谷ロフトのWAVEでCDをよく買っていた時代である。
10. King For A Day/XTC
アルバム「オレンジズ&レモンズ」からシングル・カットされたのだが、それほどヒットはしなかったのではないだろうか。それでもまあ好きなので、ぬるっとランクインした。アルバムジャケットはサイケ風だがわりと抜けの良いポップなサウンドという印象。
9. Good Thing/Fine Young Cannibals
「シー・ドライヴズ・ミー・クレイジー」の印象が強いが、同じアルバムからこの曲も全米シングル・チャートで1位になっている。モータウンっぽくてとても良い曲。
8. People Hold On/Coldcut featuring Lisa Stansfield
後に「オール・アラウンド・ザ・ワールド」をヒットさせるリサ・スタンスフィールドが、ここではコールドカットのフィーチャリング・アーティストなのだが、当時のハウス・ミュージックの旬な感じが出ていて良いものだ。
7. Eternal Flame/The Bangles
初期はもっとニュー・ウェイヴっぽかったような気もするのだが、この頃になるともうメインストリームのど真ん中で、この曲も全米シングル・チャートで1位に輝いた。王道的なポップ・バラードだが、スザンヌ・ホフスのユニークなボーカルのおかげで絶妙に良い感じになっているようにも思える。
6. Lullaby/The Cure
アルバム「ディスインテグレーション」からは「ラヴ・ソング」がどういう訳かアメリカのシングル・チャートで2位のヒットを記録してどういうことだと驚かされたものだが、それ以前にイギリスでヒットしていたこの曲の方がザ・キュアーの本質により近いような気がする。
5. Interesting Drug/Morrissey
ザ・スミス解散後、ソロ・アーティストとしてもわりと好調にヒットを記録し続けていたモリッシーの、これもまた全英シングル・チャートで最高9位のスマッシュ・ヒットソング。ポップでキャッチーなサウンドとメロディーにのせて歌われるのは、イギリスの階級社会やドラッグ文化に言及した、ひじょうに辛辣でユーモラスな内容である。いまやイギリス版ネトウヨのような悲しき存在になり果てたとはいえ、この頃は本当にすごかったことに間違いはない。
4. Voodoo Ray/A Guy Called Gerald
マッドチェスター・ムーヴメントの渦中の音楽のことを日本のごく一部では「おマンチェ」などと呼んだり呼ばなかったりしていた訳だが、ただそれを口に出して言いたいだけのようなグルーヴはなんとなく感じられた。そして、「おマンチェ」ものは必ずしもインディー・ロックの要素が入っているものだけでもなかったような気がするのだが、たとえば808ステイトとかこのア・ガイ・コールド・ジェラルドなどもマンチェスター出身であった。ストレンジでポップなとても良いダンス・ミュージック。
3. Keep On Movin’/Soul II Soul
ジャジー・BというDJを中心としたコレクティヴがソウル・Ⅱ・ソウルで、その地を這うようなリズムとストリングスをフィーチャーした洗練されたサウンドは、グラウンド・ビートと呼ばれたりもした。キャロン・ウィーラーのボーカルもとても良い。
2. Me Myself And I/De La Soul
フラワー・ムーブメント的なピースフルなイメージと、非マッチョ的で親しみがもてるルックスで日本のヒップホップファンのハートもしっかり掴んだデ・ラ・ソウルの代表曲。ミュージックビデオではステレオタイプを痛烈に批評しているようなところもあり、実に痛快である。
1. Like A Prayer/Madonna
ポップ・ミュージックのトレンドが移り変わっていく中で、トップスターでありながらアップデートを繰り返していたマドンナは、この楽曲においてまたしても最強を更新したように思える。宗教的イメージやゴスペル音楽の引用、ボーカリストとしての進化など、情報量も莫大だがポップ・ミュージックとしての強度が圧倒的であり、今日にまで至る後のポップシーンにあたえた影響は評価され尽くすことがないように思える。
