スウェーデンの女性ポップ・シンガー・ソングライター、トーヴ・ローが4作目のアルバム「サンシャイン・キティー」をリリースした。ポップな楽曲に告白的なダークめな歌詞がのっていることが多かったが、今作においても基本的にその路線は継続されつつ、音楽的により実験性と、曲の良さがきわだっているような気がする。
アルバムのジャケットにはピンボケ気味のトーヴ・ローと一緒に、黄色い動物のキャラクターがイラストで描かれているのだが、これが新しい音楽性を象徴するものでもあるらしい。
プロローグ的な「グリッティー・プリティー」に続いて収録されている「グラッド・ヒーズ・ゴーン」は、恋人に振られた友人を慰めるような内容の曲である。タイトルから想像できるように、ここで歌われている友人はトーヴ・ローと同じく女性であり、彼女を振った恋人は男性である。わりとありがちな題材であり、曲もプロダクションもよくできている上に、高音域気味なトーヴ・ローのヴォーカルもハマっている。そして、ここにはバイセクシュアル的なニュアンスも入っているため、意味はより深まるのである。このアルバムの基本となっているテーマは、いわゆるシスターフッド的なもののような気がするのだが、トーヴ・ロー自身は「プッシー・パワー」であると説明している。これはじつにしっくりくるのである。
フィンランドのシンガー、アルマをフィーチャーした「バッド・アズ・ザ・ボーイズ」は失恋ソングであり、いわゆるエモい内容を持った内容である。そして、失恋の対象は女性であり、彼女は男どもと同じように悪い、と歌われる。
「ジャックス」ではイギリスのDJ、アーティスト、ジャックス・ジョーンズと共演し、よりクラブ・ミュージック的なアプローチのポップスに挑戦している。そこはかとない「beat UK」感というか、どこかノスタルジックな感覚もあり、なかなか良いものである。
「リアリー・ドント・ライク・ユー」では、永遠のアイドル、カイリー・ミノーグと競演し、個人的にはたまらないのだが、これもまたクラブにおける恋の痛ましい想いがクラブ・ミュージック的なトラックにのせて歌われるという、素晴らしいものになっている。
これまでの作品と比べるとやや明るくなったようにも感じられるのだが、やはり根底にあるのはダークめな感情であり、それを平気そうなポップスにのせて歌うがゆえのリアリティーというのが、作品のクオリティーが上がっている分だけさらに感じられ、すごく良いと思うのである。過剰にデコレートされたり、ファンタジー化されていない、大人の深刻なセクシュアリティーも、作品の持つリアリティーをより深めているように思える。