春の化粧品CMソングについて振り返りたい季節になってきたので、そうすることにした。この企画は数日前に思いついて、暫定的なランキングもつけていたのだが気分が乗らず、その時には記事にしなかった。高円寺から電車で帰ってくる間に候補曲をすべてiPhoneで聴き直して、改めてランキング化してみたところ、当初とは順位が結構変動した。ところで化粧品のCMソングはおそらく主に女性をターゲットにつくられていると思われるため、男だけを対象にしたものの9割以上は大嫌いな私にも好ましいものが多い。
10. 不思議なピーチパイ/竹内まりや
1980年2月5日にリリースされた竹内まりやにとって4枚目のシングルで、資生堂化粧品のキャンペーンソングであった。オリコン週間シングルランキングでは、最高3位となる大ヒットを記録した。この前のシングル「SEPTEMBER」も竹内まりやの代表作とされているが、実はオリコン週間シングルランキングでは最高39位までしか上がっていないので、これが初の大ヒット曲である。この年の春の化粧品CMソングには、カネボウが渡辺真知子「唇よ、熱く君を語れ」、ポーラ化粧品が庄野真代「Hey Lady 優しくなれるかい」といずれもニューミュージックの女性アーティストによる楽曲が起用され、ヒットしていた。当時の竹内まりやはキャンパスポップというようなイメージの楽曲を歌っていて、アイドル的な受け入れられ方をされていたところもあった。青春ドラマ「ゆうひが丘の総理大臣」には、主要キャストの不良少年たちが部屋で竹内まりやのLPを聴くシーンがあった。ニューミュージックが全盛だった1970年代後半、アイドルポップスは時代遅れなものという印象があったのだが、この「不思議なピーチパイ」がヒットした少し後に田原俊彦や松田聖子のブレイクをきっかけとして、ふたたび盛り上がっていくことになる。また、後に竹内まりやの夫となる山下達郎が本人出演のカセットテープのCMにも使われ大ヒットした「RIDE ON TIME」によって、お茶の間的にもついにブレイクするのも、この数ヶ月後のことである。
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LOVE SONGS
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9. う、ふ、ふ、ふ/EPO
1983年2月5日にリリースされたEPOにとって5枚目となるシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高7位を記録した。資生堂化粧品のCMソングに使われてヒットした。デビュー・シングルが山下達郎が在籍したシュガー・ベイブ「DOWN TOWN」のカヴァー、大瀧詠一が制作したCMソングに参加するなどナイアガラ色が強めなのと、その「DOWN TOWN」が「オレたちひょうきん族」のエンディングに使われたり、ビートたけし扮するタケちゃんマンのテーマソングを歌ったりと、1980年はじめの日本のポップ・カルチャーにおいてわりと重要な役割を果たしたEPOの、本人名義として最大のヒット曲である。東京女子体育大学出身の健康的なイメージもひじょうに強く、この曲が収録されたアルバムのタイトルが「VITAMIN E・P・O」であるように、元気が出るポップスという雰囲気もあった。それでいて適度に遊んでいる風な歌詞もたまらなく魅力的であり、当時、わりと夢中になって聴いていた。春の訪れを感じさせる素敵なポップスであり、個人的にはNegiccoに楽曲提供してほしいアーティストの1人である。
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ビタミンEPO
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8. マイ・ピュア・レディ/尾崎亜美
尾崎亜美が1977年2月5日にリリースしたシングルで、資生堂のCMに起用されオリコン週間シングルランキング最高4位のヒットを記録した。1980年に松田聖子、河合奈保子、松本伊代などのアイドルに楽曲を提供し、近年のシティ・ポップ・リヴァイヴァルにおいては再評価されている尾崎亜美のこのヒット曲を、私は当時、リアルタイムのヒット曲として体験した。「あ 気持が動いてる たった今 恋をしそう」という気分について、当時、小学生であった私が完全に理解していたとは思えないが、その気分はなんとなく伝わったし、それがリアルに感じられる頃を過ぎ、しばらく経った現在においても、この曲を素晴らしいポップ・ソングだと思う気持ちには変わりがない。個人的にNegiccoに楽曲提供してほしいアーティストの再筆頭である。この曲が使われたテレビCMには、小林麻美が出演していた。
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尾崎亜美ゴールデン☆ベスト
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7. ニートな午後3時/松原みき
日本のシティ・ポップを代表する名曲「真夜中のドア~Stay With Me」でデビューした松原みきが1981年2月5日にリリースしたシングルで、資生堂のCMソングとしても使われた。オリコン週間シングルランキングにおいては最高26位とそれほどヒットしてはいないが、とにかくカッコいいサウンドとヴォーカルも最高である。松原みきは2004年に44歳の若さで逝去しているが、その芸術は永遠である。
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ザ・プレミアムベスト 松原みき
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6. 君は薔薇より美しい/布施明
1979年1月17日にリリースされた布施明のシングルで、カネボウ化粧品のCMに使われ、オリコン週間シングルランキング最高8位のヒットを記録した。ゴージャスなサウンドと布施明のヴォーカルが魅力で、懐メロとして認知していたのだが、とあるクラブイベントでECDがインストバージョンをスピンするのを聴いて、改めてその魅力に気づいたのであった。
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布施 明スペシャル・ベスト‾1965-2009‾
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5. 春咲小紅/矢野顕子
1981年2月1日にリリースされた矢野顕子のシングルで、カネボウ化粧品のCMに起用され、オリコン週間シングルランキング最高5位のヒットを記録した。YMOことイエロー・マジック・オーケストラの人気が社会現象化したテクノブームの余波の中、そのツアーに参加していた矢野顕子のシングルであり、かつ編曲をイエロー・マジック・オーケストラ(クレジットではymoymo)が手がけているということで注目を集めた。後に知ることとなる矢野顕子の規格外のアーティストとしての才能を日本の流行歌としてまとめあげ、ヒット・チャート史に残したという点でもひじょうに重要だが、純粋に春先のワクワク感が充満した極上のテクノポップでもある。
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ただいま。(紙ジャケット仕様)
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4. くちびるNetwork/岡田有希子
岡田有希子が1986年1月29日にリリースしたシングルで、オリコン週間シングルランキングでは初の1位を記録した。作詞は事務所の先輩であり、当時は結婚後の休業中であったSEIKOこと松田聖子、作曲は坂本龍一、編曲はムーンライダーズのかしぶち哲郎が手がけている。この曲のヒットから数ヶ月後に起こる事件によって、何十年間もの間、この曲を客観的に聴くことはできなかったし、カヴァーしたりDJでかけたりする行為を悪趣味なネタ消費としか思えなかったのだが、おそらくそのほとんどは純粋な楽曲の良さを讃えてのものだったのだろうとやっと思えるようになったので、長生きはするものである。
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4th アルバム「ヴィーナス誕生」(UHQCD)
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3. い・け・な・いルージュマジック/忌野清志郎+坂本龍一
1982年2月14日にリリースされた忌野清志郎と坂本龍一によるコラボレーション・シングルで、オリコン週間シングルランキングでは1位に輝いている。「ビックリハウス」「宝島」などを購読しているタイプのいわゆるサブカル系少年少女に絶大な人気を誇っていたRCサクセションとイエロー・マジック・オーケストラのメンバーによるコラボレーションということで大いに注目を集めたのだが、実際にそれが大ヒットしてしまうという、なんとも幸福な状況であった。歌詞の内容は他人の目など気にせず、とにかく自分らしく生きるのが良いという、現在でも、というかむしろ現在の方がより重要な人間の幸福についての強いメッセージとなっている。
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ベストヒット清志郎
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2. ROSÉCOLOR/中山美穂
1989年2月21日にリリースされた中山美穂による15枚目のシングルで、資生堂のCMに使われオリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。打ち込みのトラックに乗せたアダルトなヴォーカルが魅力的であり、当時から大好きだったが、思っていたよりも高い順位になった。
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中山美穂 パーフェクト・ベスト
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1. 春の予感~I've Been Mellow/南沙織
1978年1月21にリリースされた、南沙織にとって25枚目のシングルである。資生堂のキャンペーンソングに起用されたこの曲は、前年に同キャンペーンソングとして「マイ・ピュア・レディ」をヒットさせていた尾崎亜美である。イントロの淡いメロディーとサウンド、そして南沙織のヴォーカルが幼かった頃の私の春のリアリティーを思い起こさせ、それは40年(!)以上経った現在でも色褪せることがない。
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