パーセルズ「パーセルズ」を聴いた。 | …

i am so disappointed.

パーセルズはオーストラリア出身のポップ・グループで、現在はベルリンを拠点として活動している。昨年、ダフト・パンクがプロデュースした「オーヴァーナイト」というシングルを聴いてなかなか良いじゃないかと思ったのだが、たとえばダフト・パンクの「ゲット・ラッキー」だとかにひじょうに似た雰囲気があり、そのクオリティーの高さはプロデュースによるところが大きいのではないかと思った。

 

リリースされたばかりのデビュー・アルバム「パーセルズ」に、この「オーヴァーナイト」は収録されていない。しかし、結論から言ってしまうと、とてもゴキゲンなポップ・アルバムである。このアルバムには今年になってからリリースされたシングル「タイドアップライトナウ」「ビーマイセルフ」「ライトゥンアップ」も収録されているのだが、いずれも懐かしい雰囲気がありながらも新しいというレトロフューチャー感覚に溢れた最新型のポップ・トラックである。そして、アルバム全体、12曲すべてにおいて、そのクオリティーは保たれている。ディスコ、ファンク、AOR、フュージョン、エレクトロニクス、これらの音楽の心地よい部分だけを抽出してブレンドしたかのような音楽性で、スティーリー・ダンのアップデート版ではないか、というような感想を持った。

 

とてもキャッチーで分かりやすく、オフィスやドライブ中のカーラジオに似合いそうな曲が多いのだが、よく聴くととても緻密に構築されていることが分かり、イヤフォンやオーディオシステムでじっくり聴いても楽しめる。

 

エレクトロポップユニットなのかと思いきや、ドラム、ベース、ギターを含む5人編成のちゃんとしたバンドである。メンバーはルックスも良く、年齢もまだ若いようだ。オーストラリアの高校で知り合った仲間たちのようなのだが、当時はフォークやシンガー・ソングライター的な音楽をやっていたらしく、ベルリンに拠点を移してからよりテクノやエレクトリック・ミュージックの影響を受けはじめたのだという。

 

アルバムのアートワークには青空と飛行機とメンバーとの写真が使われているが、このアルバムを聴くことは、まるで音楽的な小旅行のようである。そして、アルバムの最後に収録された「クレジッツ」という曲においては、ライナーノートなどに記載されている作品にかかわった人たちの名前が、ベルリンのラッパー、ディーン・ドーソンによって読み上げられている。そして、そのバックで流れているファンキーなトラックもすごくカッコいい。このアルバムはここで名前が読み上げられた人たちが心から誇らしいと思えるほどに、優れたポップ・アルバムではないかと思える。

 

おそらくこのバンドが参照しているであろう多くの音楽が流行していた時代と比べ、現在は社会におけるポップ・ミュージックの影響力がひじょうに低くなっているのではないかという感じを受ける。しかし、あえてこの時代にポップ・ミュージックを志したこのバンドの音楽愛はそれだけ純粋なものではないかとも思え、その仮定はこのアルバムを聴くと真実味を帯びる。そして、このバンドはルックスやたたずまいからして、往年のポップ・アイコン的なバンドを思わせる部分もあり、世が世ならば時代を代表する大スターになっていたのではないかというようなポテンシャルも感じさせる。

 

 

 

 

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