1980年代の前半、日本の地方都市に住む中学生から高校生として全米ヒットチャートを追いかけていたのだが、1983年を境にかなり雰囲気が変わった印象がある。原因はマイケル・ジャクソンのモンスターヒットアルバム「スリラー」から立て続けに全米1位を記録した「ビリー・ジーン」「今夜はビート・イット」、また、デュラン・デュラン「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」、カルチャー・クラブ「君は完璧さ」に代表される第二次ブリティッシュ・インヴェイジョン勢の躍進であり、それにはミュージックビデオの力も強く影響したと思われる。1981年に音楽専門ケーブルテレビチャンネルのMTVが開局し、その影響は次第にヒットチャートにも及びはじめていた。
私は1983年の全米ヒット・チャートがそのような過渡期であったこともあり、かなりバラエティーにとんでいるというかマイルドなカオス状態のように思え、とても好きなのだが、一方で前年までのある種の無垢さのようなものが失われたような感覚も覚える。おそらくまったく違うとは思うのだが、これは1950年代から60年代前半までのオールディーズとビートルズ登場以降のポップ・ミュージック界の違いにも匹敵するのではないかぐらいにも思っている。おそらくそれほどでもないのだろうが。
というわけで、そのある種のイノセンスが保たれていたと私が勝手に決めつけている1982年の秋に全米シングル・チャートで10位以内に入った曲の中からいまでも好きなものを10曲選び、適当なことを書きながら当時を懐かしむというのが今回の趣旨であり、まったくそれ以上でもなければ以下でもない。
10. GIRL IS MINE/MICHAEL JACKSON & PAUL McCARTNEY
問題のマイケル・ジャクソン「スリラー」からの最初のシングルで、ポール・マッカートニーとデュエットしたAOR的な楽曲である。このシングルを1枚目にシングルカットしたにには、おそらくマーケット拡大の意図があったのではないかと思われる。全米シングル・チャートの最高位は3位で、この頃にはまだこのアルバムがあれほどのモンスターヒットになるとは思われていなかった。マイケル・ジャクソンとポール・マッカートニーとが恋のさや当てをするという内容であり、後にブランディーとモニカがこれにインスパイアされた「ボーイ・イズ・マイン」をリリースし、大ヒットさせている。
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9. ABRACADABRA/STEVE MILLER BAND
9月の最終週に1位になったベテランバンドによる楽曲だが、てっきりニュー・ウェイヴのバンドだとばかり思っていた。よく分からない謎めいたポップスだが、中毒性はある。
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8. HEARTLIGHT/NEIL DIAMOND
ニール・ダイアモンドはアメリカの国民的ベテランシンガーソングライターであり、けして若者が支持するようなアーティストではなかったようだが、私はこのバート・バカラックとキャロル・ベイヤー・セイガーによる楽曲が素直に良いと思い、わりと好きだった。スティーヴン・スピルバーグ監督の大ヒット映画「ET」にインスパイアされ、書かれた曲らしい。
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7. YOU CAN DO MAGIC/AMERICA
1970年代に人気があったバンドだが、アメリカという名前にもかかわらず出身はイギリスらしい。1980年のAOR的なサウンドとコーラスが魅力的で、「風のマジック」という邦題も良かった。
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6. SOMEBODY'S BABY/JACKSON BROWNE
青春映画「初体験/リッヂモント・ハイ」に使われた、ウェスト・コーストのシンガー・ソングライター、ジャクソン・ブラウンのヒット曲で、全米シングル・チャート最高7位を記録した。映画も最高だが、あの娘が誰かのものになってしまうという内容の歌詞がたまらない気分にさせてくれる。
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5. WHO CAN IT BE NOW?/MEN AT WORK
オーストラリア出身のバンド、メン・アット・ワークによる全米シングル・チャート1位の大ヒット曲。翌年にやはり全米1位に輝いた「ダウン・アンダー」が有名だが、最初の全米ヒットは「ノックは夜中に」の邦題がついたこの曲である。イントロのサックスが印象的で最高である。
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4. JACK & DIANE/JOHN COUGAR
アメリカのロックンローラー、ジョン・クーガーによるNo.1ヒットで、愛すべきカップルを描いた歌詞も最高である。この前のシングル「青春の傷あと」(全米シングル・チャート最高2位)に続くヒットとなり、これらの曲を収録したアルバム「アメリカン・フール」も1位になった。この後、ジョン・クーガー・メレンキャンプ、そして、ジョン・メレンキャンプとアーティスト名を変えていくと共に、より本格的なロックアーティストとしての地位を獲得していく。
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3. STEPPIN' OUT/JOE JACKSON
アルバム「ナイト・アンド・デイ」からのシングルカットで、邦題「夜の街へ」があらわすように、何事が起こるかもしれないわくわく感を感じさせてくれる。
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2. MANEATER/DARYL HALL & JOHN OATES
1980年代前半にヒット曲を連発しまくったブルー・アイ・ドソウルのデュオ、ダリル・ホール&ジョン・オーツによるNo.1ヒット。モータウンのビートに最高のサックス、アルバム「H2O」はソウル・ミュージックからの影響が顕著で、R&Bチャートでも最高8位を記録した。
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1. I KEEP FORGETTIN' (EVERYTIME YOU'RE NEAR)/MICHAEL McDONALD
元ドゥービー・ブラザーズのボーカリストによるソロ・アルバム「思慕(ワン・ウェイ・ハート)」からシングルカットされ、全米シングル・チャート最高4位を記録した。AORの名曲の1曲とされていて、1994年にはヒップホップのアーティスト、ウォーレン・Gの「レギュレイト」でもサンプリングされていた。また、最近ではヨットロックのブームによって再注目され、2017年には旬のアーティスト、サンダーキャットのアルバムにゲスト参加したりもしている。
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