佐藤優樹(モーニング娘。’18)が出演した「ヤングタウン土曜日」を聴いた。 | …

i am so disapointed.

モーニング娘。'18の佐藤優樹が「ヤングタウン土曜日」に出演したという情報が入っていた。これは聴かなければいけなかったのではないかと思ったのだが、放送はすでに終了していた。しかし、私はiPhoneにradikoというアプリケーションを入れて、サービスエリアが居住地とは異なる放送局の番組も放送終了から一週間後ぐらいまでなら聴ける契約にしていたのではないだろうか。料金が毎月数百円ほど引き落とされているはずなのだが、もう何ヶ月も使っていない。以前はアイドルのラジオを聴いたり地方局のプロ野球中継を聴いたりするのに使っていたのだが、最近はその機会もすっかりなくなってしまった。使わないならば解約すればいいのだが、いつか使う日が来るかもしれないし、そのときにまた登録し直すのはどうも面倒そうだという理由でずっと継続している。そして、それはまさにこのようなときのためだったのだろう。

 

「ヤングタウン土曜日」は明石家さんまをメインパーソナリティーとして毎週土曜日の22時からMBSラジオで放送されている長寿番組で、ある時期からはハロー!プロェクト所属のアイドルがアシスタントとして出演している。私は当時、モーニング娘。のメンバーであった道重さゆみがレギュラーになった2007年6月から、やっとこさ聴きはじめた。当時、どちらかというと人気が低い方のメンバーであった道重さゆみがトークやバラエティーに活路を見いだし、少しずつファンを増やして、最終的にはリーダーまで務めあげるようになったのには、少なからずこの番組で明石家さんまと出会ったことによるものでもあると思う。道重さゆみのモーニング娘。'14(当時)前最後のテレビ出演は「痛快!明石家電子台」。芸能活動再開後、はじめての番組出演が「ヤングタウン土曜日」でもあった。

 

道重さゆみがモーニング娘。’14(当時)を卒業した頃、「ヤングタウン土曜日」に一緒にレギュラー出演していたのは10期メンバーの飯窪春菜であった。その後、道重さゆみにかわって鞘師里保がレギュラーになるが、2015年いっぱいでモーニング娘。'15(当時)卒業と同時に番組も降板した。私は道重さゆみが卒業した後も、鞘師里保がメンバーだった最後の日本武道館公演には行ったし、「ヤングタウン土曜日」もこの頃までは聴いていた。その後、工藤遥がレギュラーになるが、2017年12月でグループを卒業し、その後は13期メンバーの横山玲奈がレギュラーを務めている。その間、飯窪春菜はずっとレギュラー出演している。

 

「ヤングタウン土曜日」には2人のレギュラー出演者以外にも、ハロー!プロジェクトやそのOGからゲスト出演者があり、これまでに多くのメンバーが出演を果たしている。しかし、飯窪春菜と同じ10期メンバーで、2011年にグループに加入した佐藤優樹は今回がはじめての出演となった。なぜ、こんなに時間がかかったのか。人気がなくて声がかからなかったのかというと、そんなことはまったくなく、佐藤優樹はモーニング娘。’18の中でもトップクラスの人気を誇るメンバーである。逆に忙しすぎて出演できなかったのかというと、おそらくそうでもなく、要は危険すぎると判断されたのではないかと思う。

 

佐藤優樹がなぜそんなにも人気があるのかというと、まずパフォーマンスがすごく良いということが挙げられる。魂がこもっている。そして、キャラクターがかなり立っていて、ある意味において天才的な感性を持っているようでもある。アイドルやタレントの中にはいわゆる天然と呼ばれるキャラクターの人たちがいて、ひじょうに癒されたりイラついたり、人によって反応はそれぞれなのだが、佐藤優樹の場合にはそのレベルを超えていて、ただただ天才的である。ある程度、あるいは過剰に空気を読むことが要求される環境においては本領が発揮されず、ストレスを感じるタイプでもあるのだろう。そして、やはり周囲に迷惑をかけることもあり、言動、行動などを快く思わないグループや他メンバーのファンも一定数、存在すると思われる。これに対する私の見解は、「でも、そこがいいんじゃない」というようなものである。

 

日本のトップスターである明石家さんまは、段取りやお約束をひじょうに大切にするタイプの芸人でもあり、それが乱されることをひじょうに嫌う傾向がある。道重さゆみが「ヤングタウン土曜日」のレギュラーになったばかりの頃、それはもちろん大チャンスではあったのだが、いまひとつ空回りしているような印象もあり、それはなぜなのだろうといろいろ分析した結果、分かったことである。しかしその後、道重さゆみはそのハードルを越えて、明石家さんまに鉛筆を投げつけるという事件なども起こしながら、バラエティー対応能力は確実につけていっていた。

 

佐藤優樹は基本的に空気を読まないのだが、それは本来の性質もあるが、それを良しとしてあえてやっているようなところもある。ある意味において、ロックなのである。事務所が「ヤングタウン土曜日」に出演させるのを躊躇った理由もじゅうぶんに理解できる。最悪、明石家さんまを本気で怒らせてしまう可能性すらあったのではないだろうか。年上でサブリーダーであり、この番組においては大先輩である飯窪春菜は胃薬を飲んでこの収録に臨んだのだという。

 

朝7時半ぐらいからこの日の放送をradicoタイムフリーで聴きはじめた私だが、あまりにおもしろすぎて、早送りも飛ばして聴くこともできずに、むしろメモまで取りはじめてしまうレベルであった。そのうちに仕事に行く時間になったので聴くのをやめて、続きは休憩時間にまとめて聴いた。

 

番組が開始してからしばらく、いつものように明石家さんまのフリートークが展開され、レギュラー出演者の村上ショージや「ヤン娘。(ヤンムス)」と呼ばれるアシスタントの飯窪春菜、横山玲奈が相づちを打ったりツッコミを入れる。この間、佐藤優樹の声はほとんど聞こえなかった。そして、紹介されると、やはりどうしてこれまで出演することがなかったのかという話になる。それについてぼんやりと理由が説明されるのだが、村上ショージは番組がはじまる前にスイカを食べているところをジーっと見られていて、なんとなくヤバさを感じてはいたようである。そして、明石家さんまは佐藤優樹について「頭がいいイタいやつ」と察し、「最悪のバージョン」などという。以前から明石家さんまの絶妙に微妙な「バージョン」という語の使い方が好きである。

 

CMの後、長寿コーナーである「前略のコーナー」がはじまる。パッパカパーパーパッパー♪というような剽軽なジングルが流れるのだが、これはずっと以前から変わらないものなので、出演者やリスナーにとっては聴き慣れたものである。しかし、これを聴いて佐藤優樹が爆笑するのだ。自らDTMで作曲や音源制作を行い、自宅で妹たちとレコーディングもするという佐藤優樹は音楽に対する本能的な感性をも持っているようであり、明石家さんまからはつっこまれていたが、これをはじめて聴いて爆笑する感性というのは正しいのではないだろうか。

 

そんな佐藤優樹を見て、明石家さんまは「不適合者」だとか「チャッキー」(ホラー映画「チャイルド・プレイ」に出てくる人形のことであろう)などと言い出す。モーニング娘。’18のメンバーの中で他のメンバーに負けない部分は、人をイライラさせることであり、直接は言われないが噂で聞くらしい。団体行動ができず、仕事でグループ全体で挨拶に行くときに1人だけいなかったりする。理由は先に1人で挨拶に行っていたかららしい。「えらい」などと言う明石家さんまに、飯窪春菜は「こっちの気持ちにもなってください」と魂の叫びを漏らす。

 

明石家さんまの印象を、佐藤優樹はずっと怖いと言っていて、それは番組の最後まで変わらなかった。特に目が怖かったらしい。「ヤングタウン土曜日」を私がはじめて聴きはじめた頃には、もっとパワハラ的なムードがあり、メンバーが心を痛めているようなこともあったのだが、道重さゆみ、飯窪春菜の頃ぐらいからかなりマイルドになっていった。この日の放送においても、全体的に和やかなムードが漂っていた。それでも、佐藤優樹は明石家さんまのことを怖いと感じた。それは表面的なものではなく、笑ったりおもしろいことを言ったりしていても、常にプロとして真剣に仕事に取り組んでいる明石家さんまの本質的な部分を、動物的に察したのかもしれない。明石家さんまは自分にもそのようにして人のことを見てきたというようなことを言い、「社会不適合者のお前は社会不適合者の俺を見抜く」などとも言っていた。

 

また、明石家さんまは佐藤優樹がなにかを話すたびに飯窪春菜がビクビクしていることを察し、喉仏が動いていたことを指摘する。メンバーと話しているときが楽しいと言い、仲の良いメンバーは誰かと聞かれると、いないと答える。明石家さんまのことを「ヤバい奴」と言い、せめて「ヤバい人」ぐらいにしておいて、と言われる。明石家さんまは女性の洋服についているフリルのことを「チュルリラ」ということがあるのだが、これは「痛快!明石家電視台」に出演していた松尾伴内の造語であるらしい。おそらく、松田聖子のヒット曲「野ばらのエチュード」の歌詞から取られていると思われる。

 

そして、この日も明石家さんまは洋服についているフリルのことを「チュルリラ」と言うのだが、佐藤優樹は「名言出ましたね」などと完全に間違えた使い方をする。この時点で、佐藤優樹が何かを言う度に笑いが起きるような状況になっているのだが、村上ショージが「(さんまに)連れまわされるぞ」とか「アホ磁石」というようなことを言う。最近の「ヤングタウン土曜日」まったく聴いていなかったのでよく知らないのだが、おそらく明石家さんまの周りには磁石に引き寄せされるようにしてアホが集まり、その人たちをさんまは連れまわしているということなのだろうか。

 

「ヤン娘。ホメてま川柳ホメ短歌のコーナー」では、リスナーの投稿から以前にハワイに行った際に、佐藤優樹が寝坊をしたことによって、10期メンバー全員が連帯責任で外出禁止になったときのエピソードに言及される。楽しみにしていたハワイでの外出が禁止になり、落ち込んでいる上に、さらに佐藤優樹の謝罪やその後の態度がまったくなっていなく、最悪な状態な3人に対し、佐藤優樹は東京から持ってきたが飛行機の中でしおれたケサランパサランを生き返らせたり、ベランダに鳥がやってきたので、こっそり抜け出してブルーベリーを買ってきてあたえたりと、楽しい時間を送っていたのだという。

 

漢字がよく分からない理由について、その言葉に対してその漢字と決められているのが気に入らないというような話をするのだが、明石家さんまが一定の理解をしめすようなことを言った後で、お前が新しく考える活動をしろというようなことを言うと、「やめます」「大丈夫です」ということであった。また、後輩メンバーでは横山玲奈を高く評価しているという話の流れで、横山玲奈は佐藤優樹がちゃんと理解してくれていて、的確なことを言ってくれるというような話をするのだが、この間、バスで隣になったとき、などと話をはじめた途端に、明石家さんまがそれはツイてなかったなーなどと言う。すかさず「もうさんまさん嫌い、まさ」という佐藤優樹に対し、明石家さんまは「よかったー」「ラッキー」と応酬する。横山玲奈のカバンの中身がいつも多いというような話題で、明石家さんまが自分自身もそうなのだということで共感を示すと、荷物が多い人は悩みが多い、と佐藤優樹が割って入る。「誰が言った?」という明石家さんまの質問に対する佐藤優樹の答えは「まさ」というものであった。

 

佐藤優樹が両親のことを「父」「母」と呼んでいるというファンにはお馴染みのエピソードで、その理由の説明で、幼い頃には英語で呼んでいたという話になる。母のことは「マザー」か他の呼び方かというような話で、明石家さんまが「マザー」に響きが似ている適当な歌を歌い出し、ボビー・ヘブのヒットで知られる「サニー」のフレーズのようなものを歌っていた。

 

10期メンバーを決める前の合宿で、佐藤優樹は後に一緒にメンバーとなる飯窪春菜、石田亜佑美、工藤遥のことが大嫌いで、メンバー発表があったときには死ぬかと思ったらしい。石田亜佑美、工藤遥については合宿所でお化けが出たと騒いでいたので、佐藤優樹が驚いて声を上げたところ、この2人に怒られたらしい。自分たちで原因をつくっておきながら、怒られる意味が分からなかかったらしい。しかし、飯窪春菜によると、怒られた原因はそれだけではなく、他の候補者が夜遅くまで自主練的なことをしている中、佐藤優樹は何人かと鬼ごっこをしていたのだという。この件とは関係のない飯窪春菜については、お洒落すぎて嫌いだったらしい。

 

CMの後、「名言珍言ゆうとっtterのコーナー」のオープニングテーマ曲である、モーニング娘。の「ブラボー!」が流れた。飯窪春菜がコーナーの説明をする前に、佐藤優樹が「知ってる、この曲」などと言ってしまう。村上ショージは「ちょっと黙ってて」、明石家さんまは「この歌知ってるって、自分たちの歌やもんね」「大変やな、飯窪」とわりと冷静に言う。その後の飯窪春菜のテンションが異様に低く、村上ショージが「トーン低ッ!」と言ってウケていた。マツコデラックスやつんく♂が早くから佐藤優樹の才能を認めていたという話題の流れで、明石家さんまがこんなに言ってくれているのだからもっと頑張らなければというようなごく当たり前のことを言うのだが、これに対しては「頑張るって何を頑張ればいいんですか?」。本来、人生が180度変わったと言わなければならないところを、380度と間違えてしまったというエピソードがあり、かつて、明石家さんまの父親もまったく同じ間違いをして、それ以降、テレビに出ないことにしたらしいという話をすると、「さんまさんってお父さんいるんですか?」と反応し、明石家さんまは静かに「いると思うよ」と返していた。

 

アシスタントやゲストがセクシーなセリフを言って、それに対して明石家さんまがダメ出しをするという、いまどきセクハラとパワハラが一体化したようなコーナーなのだが、はじまった途端に佐藤優樹が「嫌だ」と言っていた。飯窪春菜がリスナーから投稿されたセリフを言う前に、佐藤優樹が何かを言って中断した。飯窪春菜は泣きはじめ、佐藤優樹は爆笑している。「なんではるなん泣いてるの?」と、佐藤優樹はどこまでも無邪気である。明石家さんまからも同情された飯窪春菜は「精神崩壊するんです」と心情を吐露した。「さゆみんと」さんというラジオネームが懐かしい。かつて「モーニング娘。’14 道重さゆみの今夜もうさちゃんピース」などでよく聞いた。

 

佐藤優樹がセリフを言わなければいけない場面では「なんでこんなことしなきゃいけないの?」、仕事だからや、俺だって恥ずかしいというようなことを言いながらも、やや上達を認め、期待を込めてやり直しを求められたのに対しては、「本当に嫌い」。

 

番組のテーマ曲は、現在もイーグルス「テイク・イット・イージー」であった。この曲をもうこの番組と結びつけずに聴くことができない。佐藤優樹の番組出演の感想は「疲れました」ということであった。

 

この放送を記録に残さないのはもったいないと思い、なんとなくおもしろかった部分について書いてみたのだが、字面だけではまったく伝わらない。周囲の人たちはなかなか大変だとは思うのだが、佐藤優樹はやはり天才であり、同調圧力や空気を読むことが重要視されがちで、自由な魂が育まれにくい現在の日本においては、宝のような存在だと思う。

 

先週、NegiccoやWHY@DOLLを観るために恵比寿リキッドルームで行われた「T-Palette Records Presents [Live]meets palette 201806」というイベントに行ったのだが、そこではじめてお会いしたモーニング娘。’18ファンの方と少し話をした。モーニング娘。’18やハロー!プロジェクトの近況が聞けて楽しかった。推しているメンバーは佐藤優樹だということであった。DA PUMP「U.S.A.」絡みで飯窪春菜のブログを久しぶりに読むということもその近辺ではあったし、モーニング娘。’18をめぐる松岡茉優と指原莉乃の対談を興味深く観たりもした。しばらく疎遠になっているモーニング娘。’18関連の情報に急にふれる機会が多く、さらにはこの「ヤングタウン土曜日」である。

 

モーニング娘。'18が今週、6月13日にリリースするシングルから「A gonna」という曲のことをツイッターのタイムラインで見たので、MVを視聴してみた。「ア・ゴナ」と読むのかと思いきや、「ええがな」が正しいようだ。いかにもモーニング娘。’18らしい美意識に貫かれた世界観の曲だが、流行のトラップを取り入れたようなところもあるゴリゴリのEDMである。もっと洋楽っぽくカッコよくすることも可能だと思えるが、この泥臭さこそがイズムなのだろう。現在、私が好んで聴いている日本のポップスとはひじょうに異なるベクトルの曲ではあるが、まったく嫌いではないし、むしろ聴き続ければハマってしまうのではないかという予感もする。以前から知っていた佐藤優樹という天才が持つ潜在的な強度を、グループそのものが体現しかけてもいるように思う。そして、MVを観ていて思ったのだが、私は生田衣梨奈さんの顔が本当に好きなのである(知らんがな)。