次に名古屋に行ったのは、それから20年以上も経った2008年秋のことであった。当時、モーニング娘。の道重さゆみがCBCラジオという名古屋の放送局で「今夜もうさちゃんピース」という番組をやっていて、私はそれを毎週楽しく聴いていた。聴いているだけでは飽き足らず、話している一字一句を文字に起こしてブログに上げたりもしていた。
番組は東海地区ローカルであり、当時はradikoプレミアムなどというものも無かったので、リアルタイムにラジオで聴くのとは別の方法、当時の道重さゆみが言っていたところの、それぞれの実力を発揮して聴いていたわけである。しかし、やはり番組が本来意図しているほうに、リアルタイムにラジオで聴きたいと、それだけの理由で名古屋に行ったのだった。
着いたのが夜遅く、飲食店も営業している所が少なかったのだが、どうせならばご当地グルメ的なものが食べたいということで、予約していたホテルの下にあったローソンで名古屋風のイタリアンスパゲティーというのを買って食べた。名古屋のナポリタンスパゲティーは鉄板の上に玉子焼きが敷きつめられていて、その上に載っているということである。
「今夜もうさちゃんピース」の放送開始時刻が近づいてきたのでホテルを出て、近くにあったCBCこと中部日本放送の前まで行った。そして、トランジスタラジオをセットして、オープニングを聴いた。その日はメンバーの田中れいな、リンリンがゲスト出演していた。
翌日、山本屋本店で味噌煮込みうどん、あつた蓬莱軒でひつまぶし、矢場とんで味噌カツなどを食べた。
味噌煮込みうどんは思っていたよりもひじょうに硬く、しかしそれが現地流のようであった。また、100円でライスを注文し、一緒に食べる人が多いようであった。じつは私は鰻がそれほど好きではないので、ひつまぶしもどうしようかと思ったのだが、せっかく名古屋まで来たのでとりあえず食べてみようと思い、行ってみたのだが、これがとてもおいしかった。それまでたまたまおいしい鰻を食べていなかっただけなのだ、と思った。お櫃に入ったご飯を4等分して、まずはそのまな、次に薬味を入れて、それからだし汁をかけてお茶漬けで、最後はお好みででというようにして食べたのだが、さすがに量が多い。しかし、地元のOLだと思われる人達も含め、みんな普通にこの量を平らげていた。
それから数ヶ月後に道重さゆみがグループを離れて単独でバラエティー番組に出るようになるのだが、はじめのうちはそれがひじょうに貴重なことであった。しかも、なぜか東海地区ローカルの深夜番組であり、私はこれを観るためだけに名古屋に行って、ホテルに泊まった。そのついでに観光をしたり、名古屋で結婚した弟と久しぶりに会ったりもした。妻と一緒に行ったことも、一度だけあった。
道重さゆみは「今夜もうさちゃんピース」をモーニング娘。を卒業し、芸能活動を一時休止する2014年11月まで続けたのだが、その後、その枠はモーニング娘。のメンバーで愛知県出身のズッキこと鈴木香音が引き継ぐことになった。番組名は、「いつでもカンノンスマイル」である。
名古屋のローカルネタもよく話されていたのだが、中でもスガキヤのラーメンについて熱く語られているのが印象的であった。
以前に名古屋に観光に行く前に、職場でアルバイトをしていた愛知県出身の大学生に地元でおすすめの飲食店を尋ねたところ、スガキヤという答えが返ってきたことがあった。しかし、観光で行くような店ではないだろうと思い、結局、行かなかった。
スガキヤというと、東京で生活していると、即席めんのメーカーというイメージが強いのではないか。しかし、名古屋にはスガキヤの飲食店がたくさんある。もちろんスガキヤのカップラーメンもコンビニエンスストアなどではかなり良い場所に陳列されていて、私が最後に行った2015年にはスガキヤラーメン、味噌煮込みうどん、台湾ラーメンの3種類があった。
調べていて分かったのだが、スガキヤは元々メーカーだったのが店舗もはじめたのかと思いきや、じつは店舗が最初で、それから市販もするようになったということである。また、スガキヤのお店にはラーメンの他にソフトクリームなどの甘味もあり、サイドメニュー的なものだと思っていたのだが、これも逆であり、まず甘味処だったのがメニューを増やしてラーメンも出すようにしたところ、こちらがメインになってしまったということのようだ。
行こうと決めたのだが、仕事が長引いて最終の新幹線に乗ることができなかった。翌朝に行くとなると、現地での滞在時間が短くなる。そこで、深夜バスで行こうという案が思いついた。これならば朝早く現地に着くし、運賃も新幹線よりもかなり安い。昔の深夜バスとは違い、座席がパーテーションで仕切られているし、車内も暗くしてくれるので、思っていたよりも快適である。
そして、早朝に名古屋に着いたのだが、じつはやることが無い。長い移動でお腹も空いているのだが、せっかくならばご当地グルメ的なものが食べたい。とはいえ、やっていそうな店も見当たらない。
名古屋で最もおいしいのは、じつは新幹線のホームのきしめんである、というのをどこかで読んだか聞いたかしたような気がした。朝の7時からやっているようだ。入場券を買って、入ってみた。住よしというお店である。店内ではラジオの朝のニュースがかかっている。何だか懐かしい感じがする。
券売機で食券を買うのだが、意外といろいろな種類がある。最も人気がありそうなかき揚げきしめん(玉子入り)というやつにしてみた。空腹だったせいもあってか、これがとてもおいしかった。
スガキヤのお店は、名古屋のいろいろな場所にある。もちろん名古屋駅の近くにもあるのだが、さてどこへ行くべきかと考えた。当時、鈴木香音は名古屋の大須商店街のこともよく話していた。以前に何度か行ったことがあったが、老舗のういろう屋さんがあったかと思えばエスニックな雑貨屋や鶏の丸焼きが食べられるブラジルっぽい店、権利関係がどうなっているのかよく分からない看板の玩具店などが並び、なかなかカオス且つエネルギーを感じたのであった。そして、そこにもスガキヤはある。
それにしても時間があったので、とりあえずやはりCBCには行っておこうと思った。写真は残っているものの、どこをどのように行く過程で撮ったものなのか定かではない。
とにかく名古屋駅の近くにはやたらと手足が長い人の形をしたオブジェ的なものがあったり、どこか繁華街にあった夜のお店が集まったビルには、「アイドル学園」「禁断の快楽」というような看板があり、有名な手羽先のお店である「風来坊」なども見つけた。そして、CBCの本社はやはり見ておいた。
そして、大須である。鶏の丸焼きが食べられるブラジルっぽいお店のことは鈴木香音もラジオで話していたが、この日はお休みのようであった。そして、玩具店の看板についてはやはり権利関係はどうなっているのだろうと心配になってしまったし、店頭にはとりあえず人気のあるいろいろなものが脈絡なく並べられていて、アナーキーな勢いを感じた。若者が好むおしゃれな店や、食べ歩きができるテイクアウトのお店もたくさんある。じつに楽しい商店街である。
そして、スガキヤである。ラーメンはたったの320円、豚骨ベースに和風だしがきいたやさしい味わい、これを給食を思い出させる先割れスプーンと少し似ているがやはり違う、ラーメンフォークで食べるのである。
辛さの中に旨味が感じられるラーメンなのだが、辛さが苦手な人向けに、辛さを控えめにしたアメリカンというのもあるようである。
先日、渋谷のライブハウスで週末には名古屋に遠征されるという方と台湾ラーメンの話を少しして、それから関連の動画を探したりしているうちに久しぶりに台湾ラーメンが食べたくなったのだが、かといって名古屋に行くことはできない。
神田に「郭 政良 味仙」というお店があったことを思い出し、やはり行って食べてきた。辛さを控えめのアメリカンの他に、逆に辛さを増したイタリアンというのもあった。














