日常生活において就業時間とか出勤日という概念がよく分からなくなって久しいが、この日も買い出しの用事があって、おそらく偶然に渋谷に行ったのだが、どういうわけか本来の目的地とは方向が違う道玄坂方面に向かっていた。渋谷Gladの扉はすでに堅く閉ざされていたのだが、「OPEN」というプレートがかかっていたので、もちろん開いて中に入った。掌にはすでにドリンク代である600円分の硬貨が握りしめられていたし、カバンには3月24日に白金高輪SELENA b2で行われるWHY@DOLLのライブへのチケットが入っていたので、おそらく確信犯である。いや、悪いことは別にまったくしてはいないのだが。
ちなみに、24日のチケットは予約が開始されてからすぐに購入したものの、いまのところ当日に行けるかどうかはまったく分からない状況である。青木千春さんの生誕祭はチケットを買っていたのだが、結局、行けずじまいであった。今回もそうなる可能性はもちろんあるのだが、24日のチケットを持っていればこの日のライブは無料ということであった。
現在、WHY@DOLLはワンライブツアー中であり、24日はそのファイナル公演となる。会場の白金高輪SELENA b2には行ったことがないが、以前にいろいろなアーティストが出演するライブにWHY@DOLLが出演した際に、行かれた方のブログやツイートを見ていて、とてもWHY@DOLLの世界観に合っていると感じたし、いつかここでワンマンライブを観てみたいとも思っていた。しかも、夜の部はフルバンドによるライブであり、ゲスト参加もする日高央さんによる新曲も初披露されるということである。
今回のツアーの実績ががこの先のユニットとしての活動にも大きな影響を及ぼすということで、特にこのツアーファイナル公演に対してはメンバー、運営、ファンそれぞれに並々ならぬ思いが感じられる。
この日のライブは毎月行われているレギュラー公演だと当初は告知されていたような気がするのだが、おそらくそのような状況もあり、「WHY@DOLL ワンマンライブツアー2018 FINALに向けて~Imagination公演~」というタイトルのライブになった。内容はファンがツアーファイナルを想像し、その意見を聞きながらこの日のセットリストを決めるというものである。
よって、セットリストを決めるためのトークのコーナーが30分ほどあり、それからライブがはじまるということであった。
私がGladに入ったのはおそらく19時を少し過ぎたか過ぎないかぐらいの時刻だったと思うのだが、ステージの上ではWHY@DOLLの2人がホワイトボードのようなものを見ながら、ファンに意見を聞いたりしているようであった。
人がかなり入っていて、私はドリンクカウンターでチケットをレッドブル+カシスと交換すると、そこから下に降りることは断念し、ほぼカウンターの近くでずっと観ていた。スペースを少し広げるか何かのためにマネージャーさんが来られたのだが、私の姿を見つけると、笑顔で会釈をしてくださった。今年になってから全然来れていないし、やっと来れても終わったらすぐに帰っている状態にもかかわらず、本当にうれしいことである。どうにかしたい。
どうやらセットリストが決まったようなのだが、私は最後の何曲かについてしか聞けていない。ファンが話している声を聞くと、アルバム「WHY@DOLL」からの曲がほとんど入っていないようだ。また、ライブの盛り上がりには欠かせない「秒速Party Night」や私が大好きな「clover」なども漏れているようである。
じつは私はこの時点ではこれがそのままツアーファイナルのセットリストになるのだと勘違いをしていたのだが、どうやらまったくそういうものではないようだ。
それにしても、決まったばかりのセットリストをステージ上で少しだけ打ち合わせをしただけでやれてしまうというのは、すごいことである。
SEはいつもの「Gemini」ではなく、私がこれまでにおそらく聴いたことがないものであった。そして、1曲目は「菫アイオライト」である。私が一昨年の秋にはじめて聴いて、すぐに気に入った曲である。この曲がなければいまだにWHY@DOLLのことを知らなかったかもしれない、といっても過言ではない。ディスコ・ミュージックの要素を取り入れたアイドルポップスは数あると思うが、その中でもひじょうにカッコいい曲である。私はこの曲をWHY@DOLLについての知識がほぼ無い状態で聴いて気に入ったのだが、歌詞の内容は新たなスタートへの決意が込められたようなものである。2011年にデビューしてからメンバーチェンジや音楽性の変化、上京など紆余曲折あり、T-Palette Recordsに移籍して最初にリリースされたシングル表題曲である。途中のラップパートでは、過去の曲のタイトルが次々と出てきて、ひじょうに盛り上がる。
次はアルバム「Gemini」から「GAME」。メンバーのちはるんこと青木千春さんとはーちゃんこと浦谷はるなさんとがライバルになって、恋のさや当てをするという内容である。曲の最後には、メンバーそれぞれから1人のファンに大きなファンレターが手渡される。青木千春さんの魅力は数知れないのだが、音楽的にはやはりあの天性のキャンディーボイスであろう。この日、「GAME」のパフォーマンスを観ていて、ソウルフルなしゃくりあげ唱法とでもいうような、新しい魅力をまた発見した。特に、「宣誓!」のところである。底知れない。
続いて、「キミはSteady」。昨年の2月にシングルでリリースされた、とてもキャッチーな曲である。やはりひじょうに盛り上がり、MCの時間である。いつもながら、楽しい時間が流れる。
次のセクションは、アルバム「Gemini」収録の「Tactics」からはじまった。恋のかけ引きについて歌われたひじょうに都会的で大人っぽい曲なのだが、歌やダンスにおいて、切なさ、狂おしさがエモーショナルに表現されている。この曲をはじめて聴いた時、私はまだWHY@DOLLのメンバーの名前すら知らなかったのだが、ちょうどこの曲のテーマがリアルに共感できるような状況にいたため、あれはひじょうにラッキーだったと思う。現実的には、そんな呑気なことを言っていられるような状況ではなかったが。すでに渦中ではない現在、当時の感情を思い出すことはもうできないが、この曲の良さがより客観的に評価できるようになった。そして、音源だけよりもパフォーマンスによってその魅力が何倍にも増す曲でもある。
同じく「Gemini」収録で、切ない片想いをテーマにした「ベクトル」が続く。これもまたそのような状況の渦中で聴くと、これはまさに自分自身のことを歌っているのではないかと思える、つまりポップ・ミュージックとしてひじょうに優れた作品である。間奏のフュージョン風のギターソロと、WHY@DOLLのダンスがすごカッコいい。
そして、同じく「Gemini」収録の「曖昧MOON」。大人っぽくてカッコいい路線の曲が続く。これもまた恋の切なさをテーマにした曲で、個人的には「目線も声もが 棘で飴で」が最高に好きである。間奏はオルガンソロで、やはりWHY@DOLLのダンスがすごく良い。高校生だった頃に好きでよく聴いていたスタイル・カウンシルの音楽では、ミック・タルボットのオルガンの音色が効果的に使われていた。私がWHY@DOLLの音楽に自然と反応してしまうのは、長年の音楽生活によって培われた様々なツボをいろいろな方法や強さで押してくれるからでもあるのだろう。
続いて、これもまた「Gemini」から「セツナSHOOTING STAR」。ペンライトを持っているファンは、この曲では白く光らせて振るのだが、これがとても綺麗なのである。この曲は片想いをテーマにしていて、「太陽」のように眩しい「君」と、「ちっぽけな星」である「私」とを対比している。そして、いくら思いが強かったとしても、恋とは必ずしもハッピー・エンドで終わるとは限らず、虚しく終わってしまうこともあるのだというリアルな現実をも、また歌っている。
WHY@DOLLはファンの間では高い音楽性とパフォーマンスが評価されているのだが、世間一般的な人気や知名度は、メンバーが目標としているレベルには達していない。そして、その方法について真剣に模索している。
私は「セツナSHOOTING STAR」を、一般的な片想いの曲であると共に、そのようなWHY@DOLLの現状を歌った曲でもあるのだと、ダブル・ミーニングで捉えている。そうするとまた、ひじょうに味わいが深まり、愛おしく思えるのである。
「偶然じゃないならいつか 想いが本物ならいつか 届くと願っていても 運命は優しくはない 変えようともがいてみたって 燃え尽きる セツナSHOOTING STAR」
「君の宇宙(そら)と私の宇宙(そら) 心の中で繋がってたら 何度も祈ってみても 君は私を知らない 声をかけることも出来ずに 消えてゆく セツナSHOOTING STAR」
この後、MCに続いて、ライブは後半に入る。まずは、これも「Gemini」収録の「シグナル」からである。春の新しいはじまりを感じさせる、キャッチーな曲である。そして、歌詞に「公園通り」が出てくる、私にとっては新しい「渋谷」アンセムでもある。
「待ってました 知ってました どんな気持ちでも いつか伝わります」
この日、「セツナSHOOTING STAR」からMCを挟んで「シグナル」だったのはおそらく偶然だが、「君は私を知らない 声をかけることも出来ずに 消えてゆく」と「待ってました 知ってました どんな気持ちでも いつか伝わります」とは、まったく逆のことを歌っているようでいて、どちらも本当の気持ちであろう。現実的に思いや物事はそれほど白黒がはっきりとつけられることばかりではなく、大抵の場合はゆらいでいる。どちらかの選択をはっきりと求め続けられることは不自然であり、不安にもなる。WHY@DOLLに私が感じる安心感の一部は、このゆらぎのせいなのではないか、と思ったりもする。
そして、「Magic Motion No.5」である。初期の代表曲で、最高のダンス・チューン。振り付けがとてもかわいい。WHY@DOLLのファンにはメンバーの振り付けをコピー、つまり振りコピをする人が多い。しかし、別にしなければいけない、浮いてしまうということはなく、それぞれ好きなように楽しんでいる。WHY@DOLLのファンにはわりと大人な男性も多いのだが、それがアイドルのかわいい振り付けをコピーするのである。ライブに行きはじめた当初、私にはそれが少しは奇異に感じられ、一体、自分はこの域に達することができるのだろうか、というか、そもそもそうしたいのだろうか、などとわりとどうでもいいことを考えたものである。しかし、ある時期からはもう普通にやっていたし、前の方で跳びはねすぎてペンライトを落として壊したりもしていた(最近は後ろの方でわりと大人しく観ているが)。
「Magic Motion No.5」のMVでは、人生の様々な局面で傷ついて苦しんでいる学生、サラリーマン、アーティストのような人たちが登場するのだが、歌い踊るWHY@DOLLを観て癒され、更には一緒の振り付けを踊るというものである。
私はWHY@DOLLの、中でもこの「Magic Motion No.5」の振りコピは、普段の社会的責任や窮屈な男性性というものから解放されるための、自由へのダンスだと捉えている。
「Magic Motion No.5」はWHY@DOLLが上京し、いわゆる武者修行の結果、勝ち取った待望のメジャーデビューシングル曲であった。「サンライズ〜君がくれた希望〜」はその前のシングルで、札幌から東京に拠点を移し、更に高い目標に向かって行こうという未来への希望が歌われている。
現在とは音楽性がかなり異なり、アイドルの曲でよくあるミックスと呼ばれるファンによる合いの手のようなものが入る。
WHY@DOLLを知ってからしばらく、私はこの曲を聴いたことがなく、はじめて聴いたのは昨年秋の札幌公演のアンコールにおいてであった。地元への凱旋であったこともあり、ひじょうに盛り上がった。この曲を特にライブで聴くと、あの時のことを思い出す。
続く「初恋☆キラーチューン」は「サンライズ〜君がくれた希望〜」のカップリング曲であり、やはり似たようなタイプの音楽性である。フロアのファンの人たちはかなり盛り上がって、楽しそうであった。
そしてMCがあり、いよいよ最後のセクションである。青木千春さんのソロ曲で、いまだに音源化されていない「Forever」からスタートである。この曲はファンの間でひじょうに人気が高く、ファンが好きな曲に投票する「リクエストアワード」でも上位に選ばれていた。
作詞は青木さん本人が手がけているが、はじまったばかりの恋における、未来への絶対的な希望が描かれている。
「永遠」とはすれっからしの大人である私が最も存在を疑う概念であるが、それだけにこの混じり気の無い信頼が、あまりにも眩しすぎる。
続いて、浦谷はるなさんのソロ曲「Notice Me」である。こちらも作詞が浦谷さん本人で、未音源化である。ジャズのテイストも感じられる、大人っぽい曲である。実は私がこの曲をライブで観るのは、今回がはじめてである。未音源化なので音源も持っていないのだが、昨年にリリースされたDVDを、以前に心優しいファンの方からいただいていたので、それで観ただけであった。
とても好きなタイプの曲だし、浦谷さんの雰囲気にもひじょうに合っていると。そして、「いつもとは違うミストに 仕掛けたわ甘いトラップ」というような歌詞を浦谷さんが書いているというリアリティーが、たまらなく良い。
短いMCの後、「Tokyo Dancing」「Show Me Your Smile」と続いて、ライブは終わった。
「Tokyo Dancing」は特にライブでは最高に盛り上がるダンス・チューンであり、最新シングルの「Show Me Your Smile」はジャズの要素を取り入れ、ミュージカル風でもある新しい路線である。
そして、アンコールはみんな大好きな「恋なのかな?」であった。これだけはファンの意見ではなく、WHY@DOLL自身が選んだ。
色々なタイプの曲が聴けて、もちろんWHY@DOLLのパフォーマンスは最高なので、やはり楽しいライブであった。私が特に好きな曲の多くが、セットリストに入っていなかったにもかかわらずである。
ライブ終了後に特典会となるのだが、本来、渋谷に出てきた目的である買い出しに行く目的地が21時までしかやっていないので、急いで会場を後にした。昨年末以降、グッズもいろいろ出ているし、あまりにも行かなさすぎてメンバーにもすでに忘れ去られている可能性がひじょうに高いのだが、いろいろ片付けてなんとかしたいものである。
その後、個人的なカウンセリングも入っていたりして、すべての用件を終わらせて帰宅するとまたしても午前1時近いわけだが、少しでも記憶が鮮明なうちに、楽しかったライブの感想はとりあえず記録しておきたい。
最後に、私が観たい最高のセットリストを考えてみたい。予想ではなく、個人的な好みである。現時点におけるWHY@DOLLの集大成、そして会場の雰囲気を想像した上で考えてみるのだが、おそらくこの通りにはまずならないだろう。
SE Gemini
1 恋なのかな?
2 恋はシュビドゥビドゥバ!
3 Promises, Promises
4 キミはSteady
5 マホウノカガミ
6 Dreamin’ Night
7 Tactics
8 shu-shu-star
9 セツナSHOOTING STAR
10 曖昧MOON
11 ラブ・ストーリーは週末に
12 忘れないで
13 Hello Hello Hello
14 夜を泳いで
15 Tokyo Dancing
16 菫アイオライト
17 秒速Party Night
18 Magic Motion No.5
(アンコール)
1.新曲
2.Show Me Your Smile
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