くじけそうな時 この歌を口ずさもう。 | …

i am so disappointed.

「くちびるに歌を持て。勇気を失うな。心に太陽を持て」

 

ドイツの詩人、ツェーザル・フライシュレンの作品で、山本有三の翻訳が有名な「心に太陽を持て」の一節である。

 

WHY@DOLLの「clover」は2015年12月9月にシングルとしてリリースされ、翌年2月10日にリリースされた1stアルバム「Gemini」にも収録されている。

 

私は「Gemini」をリリースから約9ヶ月後にはじめて聴いたのだが、その時点でWHY@DOLLについての知識がほとんど無かったため、どれがシングル曲だとかいうこともまったく意識せずに聴いたのだった。

 

「Tactics」「ベクトル」「曖昧MOON」といったせつなカッコいいダンスチューンや宇宙的なイメージを感じさせる「shu-shu-star」「セツナSHOOTING STAR」「LOVERS ON EARTH」、そして大好きな「秒速Party Night」などの印象がひじょうに強く、「シグナル」「clover」といった曲はあまり印象に残らなかった。

 

もっとも私は当時、「Gemini」をがっつり集中して聴いていたわけではなく、早朝に1人きりの仕事場で軽いBGMとして流していた程度だったのである。

 

今年の8月、アルバム「WHY@DOLL」がリリースされたすぐ後にリリーズイベントに行き、それからわりと好きになって以前のアルバムも聴き直すようになったのだが、その過程で「シグナル」「clover」などもかなり好きになった。

 

「シグナル」は「公園通りを下りて行く」という歌詞があるように、おそらく渋谷が舞台になっている。かつて大好きだった渋谷という街だが、いつしかすっかり疎遠になっていた。しかし、WHY@DOLLのライブやイベントに行くようになってから、ふたたび好きな街になってきた。

 

キクチウソツカナイ。のアイドルは嘘ついてる!?」という番組にWHY@DOLLが出演した回があり、東京で一緒に暮らしている私生活の話やちはるんの双子の妹のエピソードなどひじょうに興味深いのだが、この中で「clover」と「shu-shu-star」を着席したまま歌い、その時にすごく良い曲だなと思ったのである。特にハモりの部分が美しいなと思った。

 

WHY@DOLLの楽曲では都会的でカッコいいものや、宇宙的なスケールを感じさせるもの、恋の切なさを歌ったものなどもすごく良いのだが、「シグナル」「clover」については、それらとはまた別の良さがある。

 

エンターテインメントとは、けして楽しくて愉快なことばかりとは限らない日常生活にひとときの憩いや癒しをあたえるものでもあると思うのだが、それは束の間の非日常としてのスぺクタルであることもあれば、より日常に寄り添って、勇気をあたえてくれるものの場合もある。

 

日常はけして順調にうまくいくことばかりではないが、それでも信じることをあきらめずにやっていこう、「clover」とはそのような、かなりリアルで本気の日常に寄り添ったメッセージを持った曲のような気がする。

 

ひじょうに普遍的なテーマであり、それでも素晴らしい詞、曲、アレンジ、そして、WHY@DOLLの歌によって、優れたポップ音楽として成立しているように思える。

 

WHY@DOLLはより大きな成長を目指して、札幌から上京して活動している。つまり、いまもより大きな夢を追っている過程にあるユニットである。それがまた、曲の内容とリンクしているように思えなくもない。

 

「何万後も費やして it's all right わかり合おうとしたけれど その笑顔が答えだよ」

 

言葉はとても大切だが、思いの最も重要な部分を表現するには至らないものである。それまでに費やしてきた時間の尊さを伝えうるのは、やはり心からの笑顔なのだろうか。

 

「信じる事をやめないで one more time 何度でもやり直せるさ 朝の光浴びて始めよう」

「かっこ悪い時も no more cry 私らしく笑えば どこにもない花が咲く」

 

もちろん人生は思いどおり行くことばかりではなく、それは夢や理想を捨てなければそれだけ直面する局面である。

 

しかし、たとえカッコ悪く見えたり思えたりしたとしても、それでもふたたび挑むことは尊いのだと、そのような確信をあたえてくれる。

 

そして、どのような状況においても、笑っているべきであり、それは信じることをあきらめないからこそ、できることである。

 

しかし、信じることは難しい。日常には信じることを止めさせるような、闇の力や悪意が満ち溢れている。マイナスの引力がひじょうに強い。そんな時にそれでも確信をあたえてくれるものがあるとするならば、それは圧倒的な美しさや正しさでしかないのだろう。

 

ある者にとって、アイドルとはそのようなものなのかもしれない。

 

WHY@DOLLのライブやイベントに行くと、多くのファンが振り付けのコピー、いわゆる振りコピというものをやっている。特にやらなくても十分に楽しめるのだが、おそらくやった方が楽しいと思う人が多いのだろう。私も当初はやや抵抗があったのだが、いまやあれは間違いなく楽しいという確信に至りつつある。

 

振りコピをやる理由、目的は人それぞれだとは思うのだが、私の場合、ステージの上でとても尊いものとして存在しているWHY@DOLLへの同化を目的としたものであるような気がする。

 

「clover」のイントロや間奏において、手の平をパーやグーの形にするというものがあり、要は「むすんでひらいて」の応用のようなものなのだが、おそらくWHY@DOLLの振りコピの中でも最もハードルが低いものの1つであろう。それをメンバーも最高の笑顔でやってくれるのである。これを一緒にやるだけで少しだけハッピーになれるという、素晴らしい時間である。

 

「くちびるに歌を持て。勇気を失うな。心に太陽を持て」

 

いまの私にとって、それはつまりWHY@DOLL「clover」のことに他ならないのである。

 

 

 

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