アイドルネッサンス「前髪がゆれる」リリースイベント@新宿マルイメン屋上特設ステージに行った。 | …

i am so disappointed.

行きたいイベントには行ける時に行っておこうというシリーズの取り敢えず最終日に選んだのは、初のオリジナル曲が収録されたミニアルバム「前髪がゆれる」をリリースしたばかりのアイドルネッサンスである。

 

初日がWHY@DOLL、2日目がNegiccioだったので、いずれもT-Palette Recordsに所属するグループである。しかし、このレーベルだからといって好きになったわけではなく、好きな3グループがいずれも同じレーベルだっただけである。

 

これは1991年のプライマル・スクリーム、マイ・ブラディ・ヴァレンタイン、ティーンエイジ・ファンクラブがいずれもたまたま同じクリエイション・レコーズだったのと同じことである。誰が興味あんねん。

 

アイドルネッサンスは2014年にソニー・ミュージックアーティスツが40年目にして初めて立ち上げたアイドルプロジェクトで、カバー曲のみをレパートリーにして活動してきた。

 

元々アイドル全般に興味があったり好きだったりするわけではない私がアイドルネッサンスの存在を初めて知ったのは、2016年3月3日のことであった。

 

有楽町の三省堂書店で平積みされていた大森望「50代からのアイドル入門」という本を立ち読みしたところ、道重さゆみの卒業スピーチへの言及があったため、隣に積まれていた小島和宏「中年がアイドルオタクでなぜ悪い!」と一緒に買って帰った。

 

2冊ともとてもおもしろくて、一気に読んでしまった。当時、私は活動中のアイドルといえばハロー!プロジェクトとAKB48関連ぐらいしかよく知らなかったのだが、この本をきっかけに他のグループにも興味がわいて、Negiccoを聴いたところかなり気に入って今日に至るわけである。

 

同じ日にアイドルネッサンスも聴いて、わりと気に入っていた。元々大好きだったBase Ball Bear「17才」の他、かつて慣れ親しんだ曲がいろいろカバーされていておもしろかった。

 

Base Ball Bearの「17才」は当時すでに20代であったバンドのメンバーが、過去の輝いていた日々のことを歌った作品であり、そこには二度と戻らぬ時代であるがゆえの感傷も含有されていた。

 

それを10代の女性アイドルグループが歌うことにより、新たなリアリティーが生れていると感じた。そして、その輝いている時間はいずれ過ぎ去ってしまうわけで、それをおそらく深刻には認識していないであろうという切なさ、それがまた良いと思ったのである。

 

その後もカバー曲をレパートリーとして活動してきたが、遂にオリジナル曲がリリースされると発表があり、しかもその曲をつくるのは「17才」と同じ、Base Ball Bearの小出祐介だということであった。

 

数ヶ月前に発表された「交感ノート」は期待を大きく上回るものであり、リリースを心待ちにしていたのだが、今回、この曲を含む全4曲が小出祐介の作詞・作曲によるミニアルバム「前髪がゆれる」が、遂にリリースされた。

 

CDリリースに先がけてApple Musicなどで配信されていたため、あらかじめそれを聴いていたのだが、素晴らしい作品であった。アイドルもいろいろ細分化されていて、ヒップホップやヘヴィー・メタルやシティポップなど様々なジャンルがあるが、「前髪がゆれる」は音楽ジャンルというよりは、純文学をアイドルポップスのフォーマットでやってしまったという、そのような感想を持った。

 

このミニアルバムについては、いずれ改めて書いてみたいと思うのだが、今回はリリースイベントのことを主に書いていきたい。

 

私はアイドルネッサンスの音楽を楽しく聴いていただけで、ライブやイベントに行ったこともなければ、メンバーの顔と名前が誰一人として一致していないし、キャラクターもまったく知らない。

 

最近、メンバーのツイートがタイムラインに流れてくるようになった。期間限定でツイッターをやっているらしく、私がフォローしている方々がリツイートやいいね!を高頻度でしているためだろう。それがなかなかユニークであり、音楽のイメージから勝手に清楚で正統派アイドル的な先入観は、良い意味で裏切られた。この音楽性でこのキャラクターとか最高じゃないか、とそのように思っていた。

 

そして、今日のイベントである。あらかじめ17時30分から会場近くで販売されるCDを購入し、イベントスペース入場券と特典券をもらう。並んでいるファンの平均年齢が明らかに若く、おしゃれな若者や女性も多い。会場のマルイメンという建物はかつてのマルイメンズ館であり、1階のポール・スミスでやたらと高価なコートやマフラーやネクタイなどを買った記憶もある。まさか10代のアイドルのイベントをここに見にくることになるとは、当時の私は1ミリも予想していなかったに違いない。だから、人生はおもしろい。こんな世界が私を待っていたなんて(以下略)。

 

イベント開始15分前に集合し、屋上に案内された。外はすでに暗くなっていて、「OIOI」の赤い電飾がきらめいている。少し小雨もぱらついているようだ。この日は40℃近くの猛暑になるといわれていたので、少し雨が降るぐらいが丁度いい。特設ステージ前への入場券は番号順に行われたが、これは先着順ではなくランダムだったため、CD販売開始前から長蛇の列ができたりしなくてよかったと思う。

 

私は比較的良い番号であり、2列目の真ん中あたりを確保することができた。イベント開始時刻が近づくにつれ、次第に雨が強くなってきた。ライブを中止して、特典会のみになる可能性も出てきた。スタッフのような人たちがステージの床にブルーシートを敷いたり、スピーカーにビニールをかぶせたりしている。低音がそのビニールではね返り、変な音を立てている。

 

スタッフのような人からも、取り敢えずライブをはじめるが状況によって中止をするかもしれない旨が伝えられ、それでもやれるところまでやりますということで、イベントがはじまった。

 

メンバーがわりとわちゃわちゃしながら登場した。この雨の中大変だなとかかわいそうだなとか心配していたのだが、寧ろすごくテンションが高い。「めっちゃ降ってるやん」などと謎の関西弁のようなものを発しているメンバーもいて、すごく盛り上がっている。これが若さというやつだろうか。

 

アイドルネッサンスをちゃんと見るのははじめてなのだが、8人組であり、みんな小さくて若い。幼いという感想すら持ちかけてしまう。そして、1曲目「交感ノート」のパフォーマンスがはじまった。

 

それぞれの歌声がすごくいい。「ねぇ、交換しよう?」のリフレインが、また美しい。とにかく小さい子たちが一生懸命に良い曲をパフォーマンスしていることの素晴らしさ、そのような様に心が洗われるようである。

 

2曲目はミニアルバムの曲順どおり、「Blue Love Letter」である。Base Ball Bearの作風に最も近いロック調の曲だが、コーラス部分で盛り上る感じが素晴らしすぎて、少し感動する。いや、これはかなり良い。

 

この頃には雨はかなり弱くなってきて、MCではメンバーのテンションも高めである。ここでセンターで歌っていたメンバーがスタッフに呼ばれ、何かを告げられているが、この間も他のメンバーがMCで繋いでいた。

 

そして、スタッフのような人から、雨は弱くなってきたが、明日からツアーも控えていて体調を崩してもいけないので、ライブはここで打ち切りにさせてもらうというアナウンスがある。これに対し、ファンは概ね妥当な判断であるという反応であり、このまま特典会に入るのだろうと思われた。

 

しかし、スタッフのような方は、最後の1曲はメンバーで決めてください、と言った。そこで、今日は雨の日なので、大江千里の「Rain」をやるという。

 

メンバーが明らかにざわついていて、間違いなくこれはまったく予定に無く、突然決まったことなのだということが分かる。

 

どのようにやるかということをメンバー同士が短い時間で話し合い、スタッフもあたふたしているようである。これを見てメンバーの1人が、「大人たちが動いてる」というようなことを言っていて、おもしろかった。

 

そして、アカペラでやるということになった。いや、歌がしっかりしている。見事である。

 

アイドルネッサンスを見るのは今回が初めてなので、これがどれぐらい特別なことなのかはよく分からないのだが、なかなかプレミアム感を感じられて楽しかった。

 

決まったコールやアクションのようなものはほとんど無く、一部、手拍子的なものがあるのみであった。それでもけして盛り上がっていないわけではなく、ファンはひじょうにあたたかく、熱心に応援しているのが何となく伝わってきた。

 

大江千里は1980年代にかなり人気があった印象があるのだが、当時、大江千里(を聴いているような人たち)のことを完全にバカにしていたので、CMに使われていた「十人十色」とか以外はほとんど知らない。その後、旭川に帰省した時に内緒でドライブデート的なことを楽しむ後輩が車でよく流していたので、それから印象は良くなったものの、「Rain」という曲の記憶はまったく無く、完全な新曲のように聴くことができた。

 

捌け際に、1人のメンバーが遠くを見て「ギロッポンヒルズが見える」、 別のメンバーが「ギロッポンヒルズっていうの、あれ?」などと言っていて、愉快であった。

 

その後、特典会であり、これは「見送り会」といって、握手とかハイタッチとかそういうのは一切ないのだが、ただメンバー全員とお話ができるというものであった。いろいろな意味でハードルが高そうだったのでスルーしようとも思っていたのだが、ライブがかなり楽しかったので、これにも参加することにした。

 

メンバーが8人と多く、顔と名前が1人も一致していなく、キャラクターについてもほぼ把握していない中、かなりの苦戦が予想されたのだが、やはり会話のラリーが成立しそうになると剥がされ、ということを8人分繰り返したのみとなった。それでもメンバーはいろいろと話を振ってくれたりして、素晴らしいプロ意識である。

 

ハロー!プロジェクト育ちの私としては、大人数アイドルのリリースイベントにおける全員特典会などというのはそもそもこういうものだという認識はあったので、何だかいろいろ懐かしかったりはした。

 

NegiccoやWHY@DOLLの「大人のアイドルポップス」はもちろん至福であり、もっと世の中に知れ渡るべきなのだが、アイドルネッサンスのアドレッセンスの爆発とでもいうべき勢いは、やはり別ベクトルでめちゃくちゃ良い。現在のアイドルシーンの多様性と充実ぶりはとにかくすごいなと、そのようなことを感じたのであった。

 

 

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