シャクシャイン | …

i am so disappointed.

先日、テレビ朝日の音楽番組「ミュージックステーション」を久しぶりに観た。その日の昼にツイッターのタイムラインで、水曜日のカンパネラが出演することを知ったからである。

学生だった頃、「ミュージック・マガジン」という雑誌を毎週買って読んでいた。幅広いジャンルの音楽について詳しく書かれていて、この雑誌のおかげで出会うことができた音楽は数知れない。

しかし、ある時期から私の音楽の趣味とこの雑誌での音楽の取り上げられ方があまり合わなくなり、20年以上も前に買うのをやめてしまった。

昨年の秋、高橋健太郎さんが「ミュージック・マガジン」にデモについての記事を書いていることを知り、それを読む目的で久しぶりに「ミュージック・マガジン」を買った。以前のように雑誌の最初から読みはじめたところ、これがとてもおもしろく、全200ページを完読してしまった。

気になった作品はApple Musicで検索してすぐ聴ける場合も多く、じつに充実した時間を過ごすことができた。それから「ミュージック・マガジン」は発売日に毎号買って、やはり全ページ読破している。

そんな中で知ったのが、水曜日のカンパネラというユニットであった。

私は日本のポピュラー音楽界についてはとても疎くなってしまったので、この水曜日のカンパネラというユニットにどの程度の知名度があるのかはよく知らない。しかし、「ミュージック・マガジン」の記事を読んだ限りだと、かなり注目を集めてはいるようである。

オリコンのランキングデータを調べてみたところ、2015年4月15日発売のシングル「トライアスロン」は最高23位、同じ年の11月11日発売のアルバム「ジパング」は最高11位を記録している。

水曜日のカンパネラはトラックメイカーのケンモチヒデフミ、マネージャー兼ディレクターのDir.F、そして、ボーカルのコムアイの3人から成るユニットである。表舞台にはコムアイのみが立つことになっているようだ。ジャンルに分類するならば、ヒップホップやダンス音楽になるのだろうか。打ち込みのトラックにラップのようなボーカルが乗るのだが、これではまったく説明になっていなく、とにかくものすごくユニークなのである。

コムアイは23歳の女性で、慶応義塾大学に在学中である。このボーカルというかラップがかなり独特であり、一度聴いたらクセになってしまう。曲はケンモチヒデフミが書いているのだが、歌詞がかなり独特である。

私が聴いたのは最新アルバムの「ジパング」なのだが、収録曲の題材は「西遊記」の猪八戒、「鉄腕アトム」のウランちゃん、ライト兄弟、小野妹子などである。それがとてもポップでキャッチーでユニークな言語感覚で表現されている。

かなり気に入っていながらも、やはりサブカルチャー的というか、アンダーグラウンドな印象を持っていたのだが、「ミュージックステーション」で「桃太郎」と「ラー」をパフォーマンスした水曜日のカンパネラというか、コムアイはじつにポップアイコン然としていて、その突き抜け方がとても爽快であった。

「クイック・ジャパン」というサブカルチャー雑誌があって、1990年代にはおもしろがって、よく買って読んでいた。これもある時期から読まなくなった。それどころか、政治的文脈から自分を切り離して、戯れのみに没頭するようなサブカルチャー的態度に対する反感を私が持つようになり、この雑誌もそのようなベクトルを持つもののうちの1つだろうと、読んでもいないのに勝手にそのようにカテゴライズしていた。

ところが、最近、リニューアルされ、その表紙と特集がSEALDsの奥田愛基である。これは買って応援するしかないだろうということで、近所の書店で久しぶりに買った。

この号で奥田愛基とコムアイが対談している。年齢が同じで共に北九州の出身、他にも共通点が多数あり、ひじょうにおもしろい対談になっていた。

コムアイは中学生の頃から各地のデモに参加していたようなタイプの若者らしく、一見、サブカルチャー的なのに私が好感を持ってしまうのは、そういう芯の部分がにじみ出ているからではないだろうか、などと勝手に思ったりしていた。

その翌日の「ミュージックステーション」である。アルバムはApple Musicにたくさんあるので、少しずつ聴いていこうと思う。

初めて「ジパング」を聴いた時、1曲目の「シャクシャイン」でいきなり心をギュッと掴まれた。打ち込みのバックトラックに乗せて軽快にラップされるのは、北海道の地名や名物などである。ミュージックビデオを観ると、これも北海道の各地で撮られた映像が使われている。北海道出身の私としては郷土愛もはげしくくすぐられ、いきなりこのユニットに好感を持ったのであった。その後、次から次へと繰り出される傑作トラックの数々に夢中になるまでは、あっという間であった。



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