『想うに』~悲しい過去を持つ女性に想う男性の物語~-NoName_0081.jpg

「早く起きなさい。」

お母さんの声が、うっとうしい。

心の中で
「話かけないで」って…


僕は少年ながら溜め息なんかついたりしてみた。


外は真っ暗で遊びになんか行ける感じではない。

「こら。走ったら危ないでしょ」

「でも早く行かないとブランコとられちゃうよ~」

近所の子供とお母さん…



そんなに早く行かなくても大丈夫だって。と僕は思った。





香苗の両親が亡くなったのだ。



殺されたのだ。



香苗に…



つづく
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ぼく「かな!遊ぼ」


香苗「うん」


いつも僕の遊び相手は香苗だった。


それが当たり前だった…


香苗「じゃぁ次は私ね」


ぼく「いいよ」


ぼく「終わったら、僕だからね」


香苗「…」


近所の公園にある一台しかないブランコ。
公園には他に4、5人の子供たちが、お母さんに見守られながら砂遊びをしている。

いつも、この公園のブランコは僕と香苗だけのブランコだった。

僕「もう交代」


香苗「もうちょっと」

僕「…」


いつも、このブランコは最後には香苗のブランコになる。


香苗のブランコに。

「帰るよ。」


「嫌だ。」


「帰るよ」


「は~い」

いつもの、やり取り。
このやり取りを聞いた後は公園の広さが広く感じ家に帰りたくなる。


他の子供たちが帰ったのだ。


僕「帰ろう。香苗」

香苗「うん。」



その時はいつも香苗は、不思議と素直にブランコを降りる。


そしてスタスタと僕の手を取り、家を急ぐ様に帰ろうとする。


香苗「帰ろう」


僕「もういいの」


香苗「帰ろ」


つづく