(東京ドーム1988年竣工)
ブログ友にして飲みトモの Nobu さんとの野球観戦の日がやってきた。
プロ野球観戦はおよそ10年ぶり、やはりNobuさんに連れられて観戦した巨人中日戦以来である。
私のプロ野球初観戦はおよそ60年前の1966年、後楽園球場の巨人大洋戦のこと。この年鮮烈なデビューを果たした我がヒーロー堀内恒夫が登板することを切望していたのだが、残念ながら先発は中村稔さん(2021年没)だった。
「中村はすごいんだぞ。堀内よりすごいぞ」
亡父は私を慰めるかのように、自分に言い聞かせるかのように中村を褒め称えたのを今でもはっきりと記憶しているが、肝心の試合の行方は中村が3塁打を打ったこと以外は覚えていない。
前年の1965年ジャイアンツは中村、「エースのジョー」城之内、「8時半の男」宮田(2006年没)の3人の20勝投手を擁して堂々優勝、V9への第一歩を踏み出した。
「20勝投手3人」というのはプロ野球史に残る不滅の金字塔である。
稲尾の4連投4連勝、杉浦の4連投4連勝なんてのは今は昔、投手の登板間隔が長くなった今日ではシーズン20勝をあげること自体並大抵のことではない。なんせプロ野球で20勝投手が出たのは2013年の田中マー君(24勝無敗 これも不滅の金字塔だ)が最後なのである。
(ドーム球場は涼しくて快適)
試合はというと、ひと言でいえば凡戦そのもの。
なんせスタメンに知った選手はほぼゼロのうえホームラン0本、打率1割台なんて輩がゴロゴロしている。たぶん両軍スタメンのホームラン合計数は大谷翔平の42本を下回っているだろう。
(丸よりほかに知る人もなし)
それにしても野球の凋落は目を覆うばかりだ。
才能のある多くの少年がサッカー、バスケットをはじめとする他のスポーツを選んでいることがスター選手不在の遠因なのだろう。
中日ファンが目立つ3塁側で観戦していると気分は次第に中日側に傾いていった。
どうせ知らない選手ばかりだし、リーグ優勝は阪神で決まりだから見知らぬチーム同士の草野球を眺めているようで気楽なもんだ。
(中日凡戦に勝利 よかったね~)
野球が終わればいよいよ酒の時間である。
水道橋駅の南、「ばん」と並ぶホルモン焼き界の双璧「でん」へ向かった。
(野球ファンもここまでは押し寄せてこない)
人気店の「でん」だが幸いコの字型のカウンターの一番奥が空いていた。
さっそく瓶ビールで乾杯~。
「前回もドラゴンズが勝ちましたけど、また勝っちゃいましたね~」とNobuさんはうれしそう。よかった、よかった。
(まずは「ホルモン炒め」から)
焼き物の種類が豊富で選ぶのが厄介なのでまずは「盛り合わせ(5本)」から。
「盛り合わせは一人ずつ一人前頼んでもらうから」
ぶっきらぼうな大将が厳かに宣言した。
何故だ。
つきだし代わりに必ず盛り合わせを頼め、というならまだ分かるのだが、別段頼まなくてもいいのに2人で頼むと2人前が条件というのは意味が分からない。
(顔がこわい大将)
(2人前が2段重ねになっている)
釈然としないものの、旨い。
なんなのさ、と言いながらも体は正直だ。
ホルモンはもともとガテン系の食い物だけあって塩分過多だが、この際そんなことを気にしている場合ではない。
ここは現役時代によく足を運んだ店だが10年前とちっとも変わっていない。
「大将いつからこの店任されてるの」
「8年前からかな」
「あ~、じゃオレと入れ違いか」
カウンター越しに与太話をしているうちに大将の顔が柔和になったようだ。
そうだ、と思い出したのが「網レバ(レバーを網脂でくるんで焼いたもの)」。
この名物をNobuさんに食ってもらおう。
「大将網レバちょうだい」
「売り切れ。赤くなっているのは売り切れ」
大将が指さす方を見ると、焼き物の札がずらりと並んでいて、その7割方が赤くなっているではないか。てっきり開店は1730だと思っていたのだがどうやら休日は昼からやっているらしい。
残念~。
そうこうするうちに大将が何やら旨そうな肉をまな板で切り始めた。
「大将それ、なに」
「レバユッケ。まだ少し残ってるけど食べる?」
食べますとも。
Nobuさんと私で一皿、隣のカップルのお客さんにも一皿お勧めして4人で仲良くガブリ。塩分控えめ(比較的ね)でレバーの滋味が五体に沁みていった。
(Nobuさん撮影 同じ写真が彼のブログにも出るはず)
「これ、旨いですね~。あ、『ハラミユッケ』ってのもありますね」
カップル♂の方がもっと欲しそうだ。
「大将、ハラミユッケはどうなのさ」
「レバのあとじゃ・・・」
やめときな、とばかり大将が首を振った。
だいぶ心を開いてきた大将は顔ほどこわい男ではないらしい。そういえばKBMはどうしているのだろう。
散々飲んで食ったところで店を出た。
「あ、まねきねこがあるじゃないですか~。カラオケ行きましょう!」
「ええ、カラオケですかあ」
渋るNobuさんを羽交い絞めにして「まねきねこ」に連れこんだ。
じゃあ1時間だけということで結局2時間唄いどおし(笑)。
(イヤよイヤよ、って体は正直じゃの~)
暑気払い2025の第1回はNobuさんのお力で無事終了。
次回は秋風が吹くころに秩父宮行って、大久保でヤクザな中華でも食ってからカラオケなんてのがいいんじゃないでしょうか。