(Aさんの庭の巨木もすっかり葉を落とした)
我が家のすぐ近くに別荘を構えるAさんに夏以来久しぶりにお目にかかった。
今回は庭の落ち葉が気になってわざわざ掃除にきたとのこと。
「ゆるふわさんのお宅は落ち葉もマメに片づけてらして、庭がきれいですね」
「まあそれほどでもないですけど」
私は落ち葉掃除なんぞ金輪際したことがない。なんのことはない、我が家の庭の落ち葉は北風にあおられて全て南側のAさん宅方向に飛んでいくだけなのである(汗)。
「父はこの前監視カメラをとりつけたんですよ」
「たしかに防犯上そのほうがいいでしょうね」
「いえ、落ち葉の溜まり具合を監視するためなんです」
Aさんのお嬢さんが笑いながら教えてくれた。
監視カメラで東京から落ち葉の状況を確認して掃除に来ようというアリさんをキリギリスは心から尊敬した。
「ところが監視カメラが見れないんです」
Aさんはつぶやいた。
「ワイハイがないから」
「ギョギョ!」
超がつくIT音痴のAさん(←以前テレビを接続してあげただけでエラく尊敬された)、WIFIの存在自体をご存知なかったらしい。
ひょっとして我が家のWIFIが届くかも、と試してみたが反応しない。
当然ながらAさん宅には光ケーブルは来ていない。これから引くならNTTのフレッツより地元CATV会社の方がいいですよ、ウチまで敷設されてるから引き込みはわけないです、とアドバイスした。
「でもねえ」
「落葉の監視以外に使わないからねえ」
どうしたものかと思案する2人を前にしていい案が閃いた。
「じゃあ私が時々落ち葉の様子を撮影してLINEで送ってあげましょう」
かくして「八ヶ岳南麓落ち葉通信」の特派員を拝命することになった。
特派員といっても散歩のついでに時々Aさんの庭を撮影するだけだから手間というほどのこともない。
困ったときはお互い様、これでお役に立てるなら望外の喜びである。
(「落ち葉通信」より 庭の落ち葉はピークを過ぎている)
(吹き溜まりの落ち葉も変化なし)
Virture is it's own reward (施しはそれ自体が報いである)
という箴言がある。
もうひとつの人助け(というほどのものでもないが)がタクシー代わりの送迎だ。
ご近所の飲みトモBさんのお嬢さんがニンテンドースイッチを接続してくれて我が家のホームカラオケが復活したのが今年の5月のこと。
(競艇場とかにタムロしてそうな怪しい風体のBさん)
これを機にいつもの反省会メンバーから厳選された3人で「大泉カラオケ党」を結成、グループLINEも立ち上がった。
その後そらの具合が悪くなったこともあってカラオケ党は休眠状態になってしまったのだが、ここに意外な効用が現れた。
「甲府で飲み会があるのでどなたか〇〇日××時に長坂駅まで送ってください」
「バッテリーが上がってクルマが動きません。勤務先まで今すぐ送ってください」
と、グループLINEはタクシー配車アプリの役割を果たすようになったのである。
今のところ私が他の2人を送ってあげることがほとんど。なんせ「毎日が土曜日」なのは私だけだから蓋し当然である。
とはいえあまりに偏るとお2人とも気を使うかも、ということでBさんには一度「心粋」まで送ってもらい、つい先日はCさんに森の寿司屋「森灯」まで送っていただいた。
配車アプリの暗黙のルールは「送るだけで迎えにはいかない」というもの。お互い飲ん兵衛だから晩酌を我慢して待機する辛さはよ~くわかる。
ところが先日ヘベレケになって長坂駅からタクシーで自宅まで戻ったCさんによるとタクシーの深夜料金が4000円を超えた(!)、とのこと。
晩酌をちょっと我慢するだけで友人の財布がラクになるならそれに越したことはない。休肝日を設けることもできるし、まさに一石二鳥、これからは送迎つきに進化させることにした。
今のところ送迎バランスシートは私の貸しが多くなっているが、情けは人のためならず、人助けはそれ自体が報いである。
それに、そう遠くない日に東京と八ヶ岳南麓の往復にクルマでなくバスか電車を使うことになるだろう。
そんな時はきっと2人にこれでもかという位にお世話になるはずだ。