(台風一過の井の頭公園 池のほとりの樹木が枝打ちされ無数にあったアオサギの巣がなくなってしまった)
つい最近まで、世の中は「上がってほしいもの」に溢れていた。例えば学校の成績や偏差値、オトコマエ、会社の評価とポジション、給料・・・。それが今では上がってほしいものは株価くらいだ。
一方で定年退職後のゆるふわ生活では下がってほしいものばかり。
体重、血圧、眼圧、悪玉コレステロール、中性脂肪、γーGTP、ゴルフのスコア、税金、介護保険料、物価と目白押し。
どうやら人生が下り坂に差し掛かると「上を目指す」という意欲がなくなって、落ちていくスピードを少しでも緩和できればよし、という心持ちになるらしい。
そんな私の生活で唯一上がれ上がれと祈っているのが株である。
すべった転んだしながらようやく雀の涙ほどの利益が出たところでやれやれとばかりに売却した東京エレクトロン(8035)だが、日経平均1000円安で同株も大きく値を下げたところで「今だ!」とばかり買い戻したのが7月のこと。
「八ヶ岳南麓のダボハゼ」とは何を隠そう私のことである。
するとどうだろう。
8月5日、日経平均は過去最大の4451円安の大暴落となり、そのあおりを受けてエレ君はわずか2日で100万円ほど値を下げた(泣、泣、泣)。
さあここでどうするか。
賢明な投資家なら損失確定を恐れず、いったん売却するだろう。この先の株式市況が読めない以上それが一番合理的な選択だ。
同じくらい賢明な投資家は大きく値を下げたところで絶好の買い場とばかり買い増しするだろう。半導体の将来が明るいと信じられればそれもまた賢明な判断である。
愚かな投資家は小心ゆえに損失確定に踏み切れず、かといって先見の明もないから株価の反転にも疑心暗鬼で右往左往するばかり。
その中でもさらに愚かな私は株価が回復するにつれて次第にスケベ心が湧いてきて、やおらナンピン買いに踏み切ったのである。
(何故かコシダカHD(2157)は利を生み始めた(といっても1万円位)8月末の権利確定に向けて世のカラオケ好きが買っているらしい)
株よ上がれ~
東京エレクトロンよ上がれ~
そして利が生まれたらさっさと売っちゃおっと。
これからのインフレ時代には現金より株でしょ。
半導体需要はこれから増加する一方だから東京エレクトロンの将来も明るいはず。
そんな理屈で始めた株式投資だが、どうやら下り坂の人生には向いていないらしい。
(てっぺんにアオサギがたった1羽 連れ合いを待っているのだろうか)