(2024年の梅雨入りは6月20日以降になりそう 丘の公園清里ゴルフコースより)
この日「ちりめん山椒をお配りする」という、律儀といえば律儀、アホくさといえばアホくさなミッションのためだけに東京に戻ることにした。八ヶ岳南麓はせっかく好天が続いているというのにもったいない話だ。
そんな八ヶ岳南麓を離れる日の昼メシに何を食うか。
まっさきに浮かんだのは八ヶ岳南麓随一のカツ丼セットの店「まつ浅」の半カツ丼と冷たい蕎麦のセット。
(チッ(手洟をかむ音)こちとら新宿は百人町(しゃくにんちょう)育ちの江戸前セットだい 値段はちょっと上がって1400円だ、どうだまいったか 2024年4月撮影)
ハフハフと熱々のカツ丼を食ったところに、冷た~い蕎麦をツルツルカメカメ、このコントラストがたまらない。
おそらく巷のサウナ好きの方はこの快感を全身で味わいたいのだろうが、裸にならずに済むだけカツ丼セットの方が上でしょう。
「まつ浅」に向かう道すがらふと頭をよぎったのが、看板があまりにもショボすぎる店「らーめん一休」である。旨いのか不味いのか、あすこにもカツ丼があったはずだ。
一休と私の腐れ縁(だよ、これは)もかれこれ7年になる。
同店で初めて食ったのは「らーめん」の看板につられたラーメンだが、看板倒れもいいところ。以来今日に至るまで一休ではカツカレー以外のものを食ったことがない。
気がつくと魔が差したというのだろうか、クルマは一休に向かっていた。
(「イチゲンさんお断り」と書いてある模様)
この日は一番のり。
さて騙されたと思ってカツ丼を食ってみるかと改めてお品書きを見ると、「カツ丼」でなく「煮カツ丼」とある。
(「ご飯大盛り+150円」とあるがこの店でそんなの頼むおばかさんがいるのかね)
山梨県は南麓といわず盆地(甲州古語では「国中(くになか)」という)といわず、カツ丼の後進地、未開地である。
何故かは知らないが、連中は卵でとじたカツを「煮カツ」、または「カツ煮」と呼んで一段低い下賤の食い物と考えているようだ。
「東京のシ(衆)はカツをわざわざ煮て食うだよ」
「てっ、揚げたもんをわざわざ煮るだケ?」
「蓼食う虫も好き好き、ってこんずら」
「バカにつける薬はない、ってこんずら」
「最後に愛はカツ、ってこんずら」
「客が怒っちもうから、ウチでは間違わんように『煮カツ』って呼ばざあ」
おそらくそんなところだろう。
ボクは憤激した。
だってさあ、ボクさあ、ボクサーなの(←これが分かる方は間違いなく1950年代生まれだ)。
なんだかムカっ腹が立ったが、事態は落ち着くところに落ち着いた。
やっぱしここはカツカレーでしょ(お~い)。
前回の轍を踏むわけにはいかない。
注文票に「ごはん3分の1」と大書したうえで女将さんに「ごはん3分の1で!」と大音声で伝えた。こんなデカい声を出すのは恵方参り以来のことだ。
(忘れまじ2024年3月の恥辱)
(水はセルフサービス この謎の注意書き(しかもデカい)はなんだ)
(これだ!これを水と間違える客は確信犯でしょ)
待つこと5分。
女将さんが「ご飯これくらい?」と確認してくれてカツカレーがやってきた。
(値段があがって1150円に その分つけあわせの野菜の量がすごい)
(味噌汁も超具だくさん)
旨い~。
やっぱさ、八ヶ岳南麓を代表する食い物といえばさ、カツカレーだよ。
(看板の北面はいちおう読める模様)