吉祥寺「くぐつ草」でカレーを食う | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

 

 ゴルフのレッスンの後吉祥寺で昼メシを食うことにした。

 いつもなら「キンテツ裏」に足を伸ばしてそこいら辺でメシを食い、そのまま歩いて帰るところだがこの日はみっちり苦行に励んだこともあってそういう気にならない。練習場から近いハモニカ横丁時々利用する定食屋に行ってみたのだが、あいにく休業だった。

 

 う~むどうしたものかと暫し悩んでいると、

「そうだ『くぐつ草』でカレーを食ってみよう」とひらめいた。

 

(吉祥寺ダイヤ街 創業1979年)

 

 私がくぐつ草なる店の存在を知ったのは今から20年ほど前のこと。当時私が耽溺していた花村萬月の小説に登場したのであった。

 

(花村萬月「吉祥寺幸荘物語」

 小説家志望で自意識過剰な童貞の主人公「僕」は未来が全く見えないまま吉祥寺でその日暮らしのバイトに追われる日々。そんな時アパートの住人の恋人に女性を紹介された「僕」はくぐつ草で彼女と待ち合わせる・・・)

 

 花村萬月の自伝的青春小説「吉祥寺幸荘物語」が上梓されたのは2000年のこと。1997年に「皆月」で吉川英治新人賞を、翌年「ゲルマニウムの夜」で芥川賞を受賞した同氏が作家として最も充実していた頃の作品である。

 

 青春小説の類はそれこそ星の数ほど存在しているが、私が今でも読み返したくなるのはこの「吉祥寺幸荘物語」と「横道世之介」・「続横道世之介」(吉田修一)位のもの。それだけ内容に普遍性があるのだろう。

 

 いつも店の前を素通りするだけで「くぐつ草」に入るのは今回が初めてのこと。

 地下の店内は鰻の寝床状で居心地がよい。1時を過ぎていたが店内は7分の入りでその殆どが女性客だった。

 

(「僕」と初対面の「佐和子さん」はどこに座ったのだろう くぐつ草HPより)

 

 メニューを見ると小説で「僕」が注文したカレーとビールのセットがあった。

 

(カレーとビールは合わないと思うんだが)

 

 少々高いが「くぐつ草カレーセット」を注文した。おそらく二度と足を運ばないので悔いを残したくない。

 コーヒーを飲みながら(←すこぶる美味かった)待つこと5分、「くぐつ草カレー」がやってきた。

 

(レーズンの載ったご飯の量が多いこと 薬味はラッキョウ、紅しょうが、ピクルス)

 

 旨い。

 スパイシーな味わいのカレーで、想像以上にイケる。

 画竜点睛を欠くのはかすかにパクチー臭がすること。おそらくコリアンダーパウダーが混入されているのに違いない。もっとも今回は食い意地を満たすというよりもいわば聖地巡礼だからこれもよし。

 

 久しぶりに幸荘物語を読み返してみるか、そんな思いにかられながら店を出た。