(東京杉並・神田川沿いのソメイヨシノ)
開花宣言から一週間。東京に戻るとすぐに神田川沿いを散歩した。
サクラは5分咲きといったところだろうか。
(水辺に近い方が水面からの照り返しで早く咲くのだそうだ)
「ああ、また一年経ったんだなあ」と感じるのは皆さんどんな時だろう。
私の場合それはサクラである。
サクラに時の移ろいを感じるのは私だけではあるまい。
小倉百人一首には花の歌が8首あり、うち6首が桜の歌である。百人一首の中で私が好きな歌2首もいずれも花の歌である。
花の色は 移りにけりな いたづらに
わが身世に経る ながめせしまに (小野小町)
六歌仙の一、小野小町は平安期を代表する歌人であり、かつ絶世の美女ともいわれているが、その出自、晩年は定かではない。
(能「卒塔婆小町」(粟屋明生さんのブログより)
旅の僧が卒塔婆に腰掛ける老婆に出くわす
老婆の正体は齢100歳となった小野小町であった
彼女は「100晩通ったらあなたに抱かれましょう」との言葉を信じて小町のもとに99晩通ったところで非業の死を遂げた深草少将の怨霊に苦しめられていた・・・
作者の観阿弥もこの歌からインスピレーションを受けたのではないだろうか)
人はいさ 心もしらず ふるさとは
花ぞ昔の 香ににほひける (紀貫之)
時の移ろいを詠嘆するこの歌にも桜の儚なさがよく現れているが、残念ながらこの「花」は桜でなく梅であることが明らかになっている。
(川沿いのモクレンが満開)
サクラを愛でるのもこれで65回目(もっとも子供の頃は愛でたりしてないが)、あと何回この目で楽しめるのだろう。
時の流れに身を任せつつも、日々無為に過ごすことなくモトを取らなくちゃ。
サクラはそんな思いを新たにさせてくれる。
(サクラの仲間だろうか グーグルレンズでは「サクラ」と出る)
(花がガチャガチャしていてソメイヨシノではなさそう)